ほりこーき

【TureDure】 思ったことをあることないこと時々真面目に書く随想録です。 【質…

ほりこーき

【TureDure】 思ったことをあることないこと時々真面目に書く随想録です。 【質問箱 de 三題噺】 質問箱に3つの単語(関連ない方がいい)を投げ入れてください。 その単語を使って、短編小説なり短編戯曲なり書いています。 https://t.co/uubLYqQ5Cj

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    質問箱に寄せられた3つの言葉を使ってお話をつくる企画。あなたもお題を投げ込んでねっ!(不定期更新)

記事一覧

ミモザ・シンクロニシティ

これで学校という場所で卒業式を経験するのはきっと最後だろう。友人の多くはこの先、何回も何十回だって学校という場所で卒業式を経験する。そのたびにきっとこう思う。”…

ほりこーき
2か月前
1

自己紹介:堀 光希(ほりこーき)

はじめまして。堀 光希(ほりこーき)と申します。インプロと呼ばれる即興演劇を人に教えたり、パフォーマンスしたり、研究していたりしています。インプロに限らず人材育…

ほりこーき
2か月前
19

TureDure 40 : 自由な発想の上手な潰し方〜戦さ場(バトルフィールド)ではなくて遊び場(プレイグラウンド)としての身体宣言〜

即興演劇なんて嫌なことだほりこーきです。例にもましてインプロの話です。 「インプロとは即興演劇のことです」と言えば多くの人にとって最悪な言葉として響く。「即興」…

ほりこーき
4か月前
16

True Dure 39 : 地獄にバラを飾りましょう

2023年も年の瀬である。今年のことは大切にしたいと思った。およそ3年ぶりに劇場にお客様を入れて、対面でパフォーマンスをすることができたからだ。時々人と話していてハ…

ほりこーき
4か月前
4

TureDure 38 : プレイフル・ラーニング

オトナのためのウエダゼミが2023年11月11日ー12日に吉野のネオ・ミュージアムにて行われた。 メタ認知とファンダムをテーマに岡部大介『ファンカルチャーのデザイン』が課…

ほりこーき
5か月前
17

True Dure 37 : インプロのパフォーマンスをする時に考えていること

ちょっと前にインプロ(即興演劇)のワークショップをする時にぼくが考えていることを書いた。今回は、インプロのパフォーマンスをする時にぼくが考えていることを書こうと…

ほりこーき
6か月前
6

2023.11.2

眠い。寝るのが好きだ。一時停止。また始まるとはいえ、一時的に停止。 また目覚める、再開。簡単には割りきれない現実が、単純には抱き寄せられない身体が、溢れた日常。…

ほりこーき
6か月前
2

TureDure 36 : 圧縮フォルダとカーニバル

最近、言葉ということを考える時に、あるイメージを使う。それが箱ということだ。ラッパーであるダース・レイダーさんの受け売りでもあるが、ぼくはダース・レイダーさんの…

ほりこーき
7か月前
5

ピュシスを覚えているか

「カフェ 古猫」にて。あっちはカフェモカ、こっちはエチオピア。 音楽はドン・シャーリー『Georgia On My Mind』。 ぬるんとしながらピカピカしたコーヒーカップにミルク…

ほりこーき
7か月前
6

めんそーれが聞きたくて

秋葉原はそろそろ秋を迎えて着火しやすくなってくる。この町は火事が多いところだったらしい。何かと燃えやすく、火事場にどれだけの泥棒がいたのだろうか。果たして何を盗…

ほりこーき
7か月前
3

ジョハリの窓と缶ビール

父はなんともない人だった。父はいつも夜の9時くらいに帰ってきて、ご飯を食べて、テレビを観て笑って、お風呂では湯船に浸かりながら寝てしまう人だ。ぐぉぉ〜っとお風呂…

ほりこーき
7か月前
3

しょうがないことの夜

名古屋駅で見上げた夜は高いビルと高いビルの間で窮屈そうにしていた。 ぼくは大学3年生で、こうして夏休みになったら地元に帰っては、高校時代のときの友人と久しぶりに…

ほりこーき
8か月前
5

TrueDure 35 : Pororoca、あるいは生成変化する光

今日は休みだ。外は暑いのでなるべく室内で過ごそうと思う。最近は仕事が忙しくて少し部屋が散らかってきているのでそれの片付けをして、今週末の出張に向けて洗濯をした。…

ほりこーき
9か月前
10

「サモエの嫁入り箪笥」第2話(最終話)

どれだけ眠っていただろうか。サモエはすでに暗くなりかかった夕ぼらけの中で重たい頭を持ち上げた。起きてすぐ体温がぶわっと上がって汗が滲んだ。暑くなったのでお水を飲…

ほりこーき
9か月前
4

「サモエの嫁入り箪笥」第1話

部屋にはサモエと妹のワカ、坊主のカキヤ、そして仏様が一人。仏様は生前はアンといった。サモエの旦那だった。生まれてから心臓弁膜症という病気で、永くは生きられないと…

ほりこーき
9か月前
4

True Dure 34 : インプロ・ワークショップをやるときに考えていること

ぼくはインプロ(即興演劇)なるものをパフォーマンスしたり教えたりしている。ぼくがインプロに出会ったのは2013年だから、今年でインプロとの付き合いは10年になる。この…

ほりこーき
11か月前
7
ミモザ・シンクロニシティ

ミモザ・シンクロニシティ

これで学校という場所で卒業式を経験するのはきっと最後だろう。友人の多くはこの先、何回も何十回だって学校という場所で卒業式を経験する。そのたびにきっとこう思う。”辛いことや我慢のならないことがたくさんあった、誰にも気づかれず涙を流し、歯を食いしばって過ごした時間もあった。けれどそれらは今日という日のためにあり、そして今日から始まる明日への架け橋となるに違いない。あの子たちにもそうあってほしい。”と。

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自己紹介:堀 光希(ほりこーき)

自己紹介:堀 光希(ほりこーき)

はじめまして。堀 光希(ほりこーき)と申します。インプロと呼ばれる即興演劇を人に教えたり、パフォーマンスしたり、研究していたりしています。インプロに限らず人材育成や組織開発の文脈でワークショップや研修デザインをしたりしています。“なんだかよく分からないけど学んでしまっていた“という現象や、“なんだかすごく大変だけど学びがすごく愉快だ”という状態がどのような条件で起こるのかということに関心があります

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TureDure 40 : 自由な発想の上手な潰し方〜戦さ場(バトルフィールド)ではなくて遊び場(プレイグラウンド)としての身体宣言〜

TureDure 40 : 自由な発想の上手な潰し方〜戦さ場(バトルフィールド)ではなくて遊び場(プレイグラウンド)としての身体宣言〜

即興演劇なんて嫌なことだほりこーきです。例にもましてインプロの話です。
「インプロとは即興演劇のことです」と言えば多くの人にとって最悪な言葉として響く。「即興」だけでも嫌だし、「演劇」だけでも嫌だ。本当にその通りだと思う。人前で何かを表現するのだけでも嫌なのにそれを即興で行うなんて正気の沙汰じゃない。

そもそも即興なんてのは才能があって、十分にスキルがある上に度胸がって自己肯定感が爆高いクラスの

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True Dure 39 : 地獄にバラを飾りましょう

True Dure 39 : 地獄にバラを飾りましょう

2023年も年の瀬である。今年のことは大切にしたいと思った。およそ3年ぶりに劇場にお客様を入れて、対面でパフォーマンスをすることができたからだ。時々人と話していてハッとさせられるが、1年前(すなわち2022年12月)では、対面でマスクをせずにパフォーマンスをすることはかなり心理的ハードルの高いことだった。今となってはそんな気配もほとんどメディア上には無くなってしまったが、このことは忘れずにいたい。

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TureDure 38 :  プレイフル・ラーニング

TureDure 38 : プレイフル・ラーニング

オトナのためのウエダゼミが2023年11月11日ー12日に吉野のネオ・ミュージアムにて行われた。
メタ認知とファンダムをテーマに岡部大介『ファンカルチャーのデザイン』が課題図書として2日間。

はじめて訪れたネオ・ミュージアムは貯木による杉の香りが漂う場所にひっそりと佇む学びのアーキテクチャ。

バルコニーでモンドリアンの"ブギウギ"をサークルになってみんなで描き、自己紹介を回してすでに3時間。寒

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True Dure 37 : インプロのパフォーマンスをする時に考えていること

True Dure 37 : インプロのパフォーマンスをする時に考えていること

ちょっと前にインプロ(即興演劇)のワークショップをする時にぼくが考えていることを書いた。今回は、インプロのパフォーマンスをする時にぼくが考えていることを書こうと思う。というのも今年に入ってから劇場でお客さんを入れてインプロショーをする機会が多く恵まれていることもあり、書きたくなってきたからだ。

インプロは即興演劇のことなので、即興で演劇を創る。「どこまで即興なんですか?」と十中八九聞かれるが、本

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2023.11.2

眠い。寝るのが好きだ。一時停止。また始まるとはいえ、一時的に停止。

また目覚める、再開。簡単には割りきれない現実が、単純には抱き寄せられない身体が、溢れた日常。身体はいつも燃えている。炎症につぐ炎症が、私の身体を引っ掻きまわす。自分で自分を傷つけるループ。念仏唱えても救われない。

一時停止。暗闇よ、そばにおいでよ。私の身体のことを忘れさせてよ。たったの一時停止だけでも、私の身体が誰かに触れても

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TureDure 36 :  圧縮フォルダとカーニバル

TureDure 36 : 圧縮フォルダとカーニバル

最近、言葉ということを考える時に、あるイメージを使う。それが箱ということだ。ラッパーであるダース・レイダーさんの受け売りでもあるが、ぼくはダース・レイダーさんの本を読む前に言葉というのは「圧縮フォルダ」だと考えていた。これも同じように箱のイメージで言葉を捉えている。

ぼくはこれまでワークショップと呼ばれる活動によく関わってきた。ワークショップのメニューを考えてデザインするだけのことも最近では多く

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ピュシスを覚えているか

ピュシスを覚えているか

「カフェ 古猫」にて。あっちはカフェモカ、こっちはエチオピア。
音楽はドン・シャーリー『Georgia On My Mind』。
ぬるんとしながらピカピカしたコーヒーカップにミルクを足そうとした。

「いつだって最後はミルクを入れるよね」

「もったいなくない?せっかくあるのに」

「単価なんてたかが知れてるでしょ」

「うわ、やなやつじゃん」

「好き好んで入れるならいいんだけど、もったいないか

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めんそーれが聞きたくて

めんそーれが聞きたくて

秋葉原はそろそろ秋を迎えて着火しやすくなってくる。この町は火事が多いところだったらしい。何かと燃えやすく、火事場にどれだけの泥棒がいたのだろうか。果たして何を盗んでいったのだろうか。

兎さんとは本名だった。田中 兎さんはサークルの同期だった。最もすぐにやめてしまったので、サークルの活動ではほとんど一緒になることはなかった。ぼくらのサークルといえば天体観測をするサークルで、20歳そこらの男女が夜に

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ジョハリの窓と缶ビール

ジョハリの窓と缶ビール

父はなんともない人だった。父はいつも夜の9時くらいに帰ってきて、ご飯を食べて、テレビを観て笑って、お風呂では湯船に浸かりながら寝てしまう人だ。ぐぉぉ〜っとお風呂場から父のいびきが聞こえる。たまにテレビで湯船で寝落ちしてしまってそのまま溺死することもあるなんてことも言っていたからいつもほんの少しだけ、心配している。

父はお風呂から出たらパジャマに着替えて缶ビールを飲む。スーパーで一番安いやつを段ボ

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しょうがないことの夜

しょうがないことの夜

名古屋駅で見上げた夜は高いビルと高いビルの間で窮屈そうにしていた。

ぼくは大学3年生で、こうして夏休みになったら地元に帰っては、高校時代のときの友人と久しぶりにお話をしていたりする。川内さんとはそんなに高校時代にすごい仲がよかったわけではないが、大学生になってからは、なんかそういうノリで、飲みに行こうとなったりする。

川内さんは正直タイプだった。大学生になってようやく私服姿の川内さんを見たが、

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TrueDure 35 : Pororoca、あるいは生成変化する光

TrueDure 35 : Pororoca、あるいは生成変化する光

今日は休みだ。外は暑いのでなるべく室内で過ごそうと思う。最近は仕事が忙しくて少し部屋が散らかってきているのでそれの片付けをして、今週末の出張に向けて洗濯をした。洗い終えた衣服を干そうと思って、ふと何か音楽でも聴きながらにしようと、ぼくはPororocaの『シャラズルデイズ』を流した。そしてぼくは洗濯物を干しながらこの曲に感化されて、泣いた。感動的な曲というよりは盛り上がるアッパーな曲である『シャラ

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「サモエの嫁入り箪笥」第2話(最終話)

「サモエの嫁入り箪笥」第2話(最終話)

どれだけ眠っていただろうか。サモエはすでに暗くなりかかった夕ぼらけの中で重たい頭を持ち上げた。起きてすぐ体温がぶわっと上がって汗が滲んだ。暑くなったのでお水を飲みに井戸の方へと向かった。サモエの家から井戸へは少し歩いたところにある。サモエはふらふらと少しずつゆっくりゆっくり水を求めて歩いていった。これまでこんなにも疲れたことがあっただろうかという気がしてくる。なんだか狐にでも化かされている気分がす

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「サモエの嫁入り箪笥」第1話

「サモエの嫁入り箪笥」第1話

部屋にはサモエと妹のワカ、坊主のカキヤ、そして仏様が一人。仏様は生前はアンといった。サモエの旦那だった。生まれてから心臓弁膜症という病気で、永くは生きられないとわかっていた。一昨日、吐血してすぐに亡くなった。突然の夫の死に接したサモエはテキパキと葬式の手筈を整え、手際よく段取りを進めた。サモエは仏となったアンを通夜の時からじっと眺めていた。カキヤの唱える般若心経は、子供の頃に聞いていたおばあちゃん

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True Dure 34 : インプロ・ワークショップをやるときに考えていること

True Dure 34 : インプロ・ワークショップをやるときに考えていること

ぼくはインプロ(即興演劇)なるものをパフォーマンスしたり教えたりしている。ぼくがインプロに出会ったのは2013年だから、今年でインプロとの付き合いは10年になる。この10年でぼくはインプロと出会い、学び、研究してきた。たくさんの人とのご縁があって、劇団、理学療法士、介護士、保育学生、医学部生や、業種業態に限らずいろんな企業にお邪魔してインプロのワークショップをしてきた。パフォーマンスもたくさんして

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