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自己紹介:堀 光希(ほりこーき)
はじめまして。堀 光希(ほりこーき)と申します。インプロと呼ばれる即興演劇を人に教えたり、パフォーマンスしたり、研究していたりしています。インプロに限らず人材育成や組織開発の文脈でワークショップや研修デザインをしたりしています。“なんだかよく分からないけど学んでしまっていた“という現象や、“なんだかすごく大変だけど学びがすごく愉快だ”という状態がどのような条件で起こるのかということに関心があります
もっとみるTureDure 40 : 自由な発想の上手な潰し方〜戦さ場(バトルフィールド)ではなくて遊び場(プレイグラウンド)としての身体宣言〜
即興演劇なんて嫌なことだほりこーきです。例にもましてインプロの話です。
「インプロとは即興演劇のことです」と言えば多くの人にとって最悪な言葉として響く。「即興」だけでも嫌だし、「演劇」だけでも嫌だ。本当にその通りだと思う。人前で何かを表現するのだけでも嫌なのにそれを即興で行うなんて正気の沙汰じゃない。
そもそも即興なんてのは才能があって、十分にスキルがある上に度胸がって自己肯定感が爆高いクラスの
True Dure 39 : 地獄にバラを飾りましょう
2023年も年の瀬である。今年のことは大切にしたいと思った。およそ3年ぶりに劇場にお客様を入れて、対面でパフォーマンスをすることができたからだ。時々人と話していてハッとさせられるが、1年前(すなわち2022年12月)では、対面でマスクをせずにパフォーマンスをすることはかなり心理的ハードルの高いことだった。今となってはそんな気配もほとんどメディア上には無くなってしまったが、このことは忘れずにいたい。
もっとみるTureDure 36 : 圧縮フォルダとカーニバル
最近、言葉ということを考える時に、あるイメージを使う。それが箱ということだ。ラッパーであるダース・レイダーさんの受け売りでもあるが、ぼくはダース・レイダーさんの本を読む前に言葉というのは「圧縮フォルダ」だと考えていた。これも同じように箱のイメージで言葉を捉えている。
ぼくはこれまでワークショップと呼ばれる活動によく関わってきた。ワークショップのメニューを考えてデザインするだけのことも最近では多く
「サモエの嫁入り箪笥」第2話(最終話)
どれだけ眠っていただろうか。サモエはすでに暗くなりかかった夕ぼらけの中で重たい頭を持ち上げた。起きてすぐ体温がぶわっと上がって汗が滲んだ。暑くなったのでお水を飲みに井戸の方へと向かった。サモエの家から井戸へは少し歩いたところにある。サモエはふらふらと少しずつゆっくりゆっくり水を求めて歩いていった。これまでこんなにも疲れたことがあっただろうかという気がしてくる。なんだか狐にでも化かされている気分がす
もっとみる「サモエの嫁入り箪笥」第1話
部屋にはサモエと妹のワカ、坊主のカキヤ、そして仏様が一人。仏様は生前はアンといった。サモエの旦那だった。生まれてから心臓弁膜症という病気で、永くは生きられないとわかっていた。一昨日、吐血してすぐに亡くなった。突然の夫の死に接したサモエはテキパキと葬式の手筈を整え、手際よく段取りを進めた。サモエは仏となったアンを通夜の時からじっと眺めていた。カキヤの唱える般若心経は、子供の頃に聞いていたおばあちゃん
もっとみるTrue Dure 34 : インプロ・ワークショップをやるときに考えていること
ぼくはインプロ(即興演劇)なるものをパフォーマンスしたり教えたりしている。ぼくがインプロに出会ったのは2013年だから、今年でインプロとの付き合いは10年になる。この10年でぼくはインプロと出会い、学び、研究してきた。たくさんの人とのご縁があって、劇団、理学療法士、介護士、保育学生、医学部生や、業種業態に限らずいろんな企業にお邪魔してインプロのワークショップをしてきた。パフォーマンスもたくさんして
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