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写真・短編小説・詩

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2022年4月の記事一覧

残炎

残炎

どんなに何を言われても

あの子は黙っておりました

さみしそうな顔をして

じっと黙っておりました

言って伝わるものならば

話して伝わるものならば

あの子は話したことでしょう

あの子の心の残炎が

どんどん小さくなってゆく

消さないで

帰り道

私が薪をくべるから

心刀

心刀

君がどんなに叫んでも
周りはわかってはくれない
君がどんなに手を伸ばしても
誰も助けてはくれない
泣いたって始まらない
泣いたところで変わらない
今を変えたいと思うなら

今を斬れ

迷いあれば斬れず
決意あればこそ斬れる今を

優しい世の中ではない
時は容赦なく君を置き去りにするだろう

立ち上がれないのなら
ひざまずいていてもいい
熱い決意を胸に
渾身の力を込め
一刀両断

今を斬れ

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親子桜

親子桜

振り返らずに子は駅へ

母さんずっと見送った

振り返った母さんは

涙を流しておりました

その子は駅におりまして

電車を待っておりました

振り返ったその目には

涙があふれておりました

ホームに吹く春風よ

涙の便りを届けておくれ

線路脇には山桜

親子心は里桜

 ふたりをつなぐ桜木に

近く花は咲くでしょう

強がり

強がり

昨日もひとりぼっち

今日もひとりぼっち

きっと明日もひとりぼっち

さみしくないの

お庭のすずらん聞いてきます

さみしくないよと答えます

さみしいんでしょ

ひらひら蝶々が聞いてきます

さみしくないよと答えます

さみしくないんだね

ぽかぽかお日さま聞いてきます

さみしくないよと答えます

お日さまの光浴びてたら

とてもさみしくなってきて

ぽろぽろ涙が落ちました

そよ風の教え

そよ風の教え

あの花も あそこの花も この花も

誰も見てはいないけど

とても綺麗に咲いている

誰が見るとか見ないとか

そんなことを気にもせず

只々自然に咲くお花

綺麗に咲こうと思うなら

只々自然に咲けばいい

そんなことをそよ風が

そっと教えてくれました

ごめんねのかわり

ごめんねのかわり

会えなくたっていい

話せなくたっていい

伝わらなくたっていい

そんなことどうでもいい

ごめんねのかわり

私は頑張るの

あなたのいない空の下

ありがとう

ありがとう

ありがとう

そう思いながら

私との再会

私との再会

みんなどこに行くの
そんな疲れた顔をして

みんなどこに行くの
そんな疲れた体で

このゆりかごに乗って
終点まで行ってみたらいい
何もない駅のホーム
きっと私が迎えてくれるから

大切なものなんてわかってるはず
あなたはあなたらしく

さわやかに吹く風の中
きっと笑顔の私が伝えてくれるから

らしく歩いて行けばいいんだね
いつまでも そう どこまでも

全部で私

全部で私

騒がれて もてはやされた春の日々

花が散ったら嘘のよう

誰もいなくなりました

花がなくても桜は桜

花はたったの一部分

桜の私を見てほしい

春も私を見に来てほしい

ひとりぼっち

ひとりぼっち

波音が只々響くこの浜に
いるのは私とカモメだけ

私もいろいろあったけど
カモメもいろいろあったろか

お友達ではないけれど
ひとりじゃさみしいこの浜辺
いてくれるだけで只嬉し

お友達になれるかと
そっと見つめてみたけれど
カモメはそっぽ向いたまま
海に飛んでゆきました

カモメの去ったこの浜は
さみしい浜になりました

地蔵桜

地蔵桜

来てくれていますか?

足元には菜の花 
見上げれば満開の桜
約束しましたね
どこにいようと ここで会おうと
満開のこの桜の下で

来てくれていますか?

あなたが姿を見せないから
まるで私はお地蔵さん
いつの頃から人知れず
地蔵桜と呼ばれてる

来てくれていますか?

今年もあなたを待っています
たとえ桜が散ろうとも

あの時に戻れるなら

あの時に戻れるなら

一度 一時間だけ過去に戻れるとしたら 

私はいつを選ぶのだろう 

そして 何をするのだろう 

あの時に戻れるなら 

私は… 

きっと涙が止まらないんだろうな

チリンチリン

チリンチリン

しまい忘れた風鈴が

冬の風にさらされて

チリンチリンと鳴っています

夜祭りに 父さん買ってくれました

スミレ模様の優しい鈴音

思い出します

みんないた あの夏の日

チリンチリン

聞いていると

少し寒さが和らぐようで

祈り

祈り

あんなに毎日祈っても

あの子の小鳥はもどらない

私がどんなに祈っても

あの子の小鳥はお墓から

お空へ飛ぶことできません

祈って叶うものならば

いつでもどこでも祈るのに