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古今東西、逆・順、脱臼(近藤康太郎『三行で撃つ〜〈善く、生きる〉ための文章塾〜』を読んで)
クックパッドのレシピ通りに進めれば、だいたいの味の料理が出来上がる。
しかし、それはあくまで「だいたい」であり、プロの料理人になることはできない。そもそもプロの料理人になろうと食事をつくっているわけではないのだが、「昨年よりも今年の方が、料理が上手くなっているよね」という実感に至らないのは何故だろう。もう天井を打っているのか。これ以上、上達に転じることはできないのか──。
同じことを、書くとき
村上春樹も、マティスもミロも。(メイソン・カリー『天才たちの日課』を読んで)
なかなか2023年の目標が定まらない中ですが、数年前に読んだ『天才たちの日課』という本が目に入ってきました。
作家、科学者、音楽家、哲学者、科学者など、クリエイティブな仕事に携わってきた161人の「DAILY RITUALS(日課)」を紹介した一冊です。
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クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々副題の通り、本書で紹介されている人々の多く(本書に倣い「天才」といいます)が、
「よい読者」であろうと努めているか。(神吉晴夫『編集者、それはペンを持たない作家である』を読んで)
年末に読んだ本の感想を。
戦後、数々のベストセラー書籍を手掛け、「編集者」の定義を変えたとも言われている神吉晴夫さん。1966年の著書が、神吉さんの信念を宿した『編集者、それはペンを持たない作家である』というタイトルの新作に再編されています。
10〜12月は目の前の仕事に追われ(それはそれで必要なことでした)、なかなか長期的に自分自身の在り方について意識が回っていませんでした。
そんな中、神
2022年に読んだ書籍10選
毎年恒例、年間の書籍10選をまとめてみる。
といっても、今年は書籍よりも映画にフォーカスした1年だったので、数えるほどしか本を読めていない。だから紹介する本も、吟味したというよりは、「タイミングが合って読めた本だよね」という振り返りに近いような形になっている。
もちろん以下で紹介する本は、どれも僕の琴線には触れたものだ。だけど、いつものように「あの本も10選に入れたいな、いや、どうしよう」とい
スカートのデザインを学ぶのでなく、『スカートとは何か?』を学ぶ。(菅付雅信『不易と流行のあいだ』を読んで)
僕にとっての編集の師・菅付雅信さん。
菅付さんのことを「越境型編集者」と呼んでいる記事があったが、まさにその通り。もともと出版社で働いていた菅付さんだが、雑誌や本の編集に留まらず、CDジャケット、Webサイト、都市、組織、展覧会、教育システムなど、あらゆるクリエイティブの編集に携わってきた。
そんな菅付さんのワークポートフォリオのひとつが、自著の執筆だ。消費や幸福を論じた『物欲なき世界』、現在
相手がサブメンバーなら勝てるのか。(日本対コスタリカ)
残念ながら、昨日行なわれたワールドカップのコスタリカ戦、日本は敗北を喫した。
決勝トーナメント進出のために、最低でも「引き分け」で勝ち点1を取りたかったところ。チャンスを生かせず零敗。ドイツ戦で歓喜した人たちも、改めてサッカーの厳しさを味わったことだろう。
日本が敗退した直後、何名かが「スペインがドイツに勝つと、決勝トーナメント進出が確定する。体力温存のためにサブメンバーを出してくるから、日本
編集も生活も、ずっと続いていくから。(北尾修一『いつもよりも具体的な本づくりの話を。』を読んで)
世の中は、抽象的と具体的なことで構成されている。
……すごく当たり前のことを堂々と書いているけれど、いわゆるMECEで区分けしづらいのは、人によって感性・感覚が異なるからだ。ゆえに「何が抽象的で、何が具体的なのか」を識別しづらく、コミュニケーションギャップが発生する。
脳内で「これは抽象的で、あれは具体的だ」といった処理を能動的に行なっているわけでもない。だから第三者から「もうちょっと具体例を
忙しくしてしまうのは何故だろう(ジュリエット・ファント『WHITE SPACE ホワイトスペース〜仕事も人生もうまくいく空白時間術〜』を読んで)
タスク管理ツール「Todoist」には、いつだって「期限切れ」のタスクがたっぷり詰まっている。一生終わらないタスク量、首が回らない日々がデフォルトになっている。
そんなとき、「いかに効率的にタスクを処理するか」といった発想になりがちなのは何故だろう。
少し落ち着けば、やるべきタスクとそうでないタスクに整理して……といった健全な仕事のやり方が頭に浮かぶのだが、油断すると、すき間時間さえも大小のタ
名著を読む意味や理由など、ないのかも知れない(秋満吉彦『行く先はいつも名著が教えてくれる』を読んで)
NHK Eテレ「100分 de 名著」のプロデューサー・秋満吉彦さんによる著書。3年前から「100 de 名著」を観ており、番組を企画するプロデューサーの頭の中を覗いてみたくて、本書を手に取った。
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なぜ名著を読むのだろう読んだ方が良いのは分かっている。
だけど文体や時代背景などの違いにより、古典というのは往々にして読みづらいものだ。昨今は「ファスト教養」という言葉に代表されるように、そ
読書ラジオ振り返り(#131〜140)
読書ラジオ振り返り、今回で14回目です。
気付けば読書ラジオの振り返りが滞っていました。今回は、半年前に収録した2021年12年〜2022年1月収録分を振り返ります。
年が変わり、新年の抱負や行動目標を定めました。改めて自分に向き合うタイミングで「僕にとっての読書とは何か?」を意識しました。
昨年8月に会社を創業し、読書ラジオが1ヶ月ほど更新停止してしまったこともあります。その反省も踏まえ、
簡単に、絶望なんてするな。(上野千鶴子、鈴木涼美『往復書簡 限界から始まる』を読んで)
とにかく圧倒された1冊だった。
上野千鶴子さんと鈴木涼美さんのマッチアップなら間違いない。発売当初から思っていたものの、触手を伸ばさなかった。ちょうど昨年夏は、創業当初でバタバタしていたからだ。
手に取る時期が遅すぎることに反省しつつ、いまだからこそ気付けたポイントもあったはず。でなければ、こんなに胸が抉られるわけがない。
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この本は「フェミニズム」について考える1冊としても価値がある
ただ存在するだけで価値があるから。(岸見一郎『孤独の哲学』を読んで)
ベストセラー『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』の著者・岸見一郎さんの近著を紹介したい。
アドラー、三木清、マルクス・アウレリウスを取り上げながら、社会で問題視されている「孤独」について、岸見さんの見解が綴られている本だ。
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まず、自分のことを話す。
昨年8月に創業して、僕は時折、孤独感を抱くことがあった。僕は妻とふたりの息子と生活している。心から愛おしい存在であり、自他共に「孤独」とは見