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本のカバーは日本独自の「恥の文化」?ー元編集者大学院生が、日々立つ書店で気になった着膨れ本とSDGsの足並みを、人類学的に考えてみた話
「本のカバー、おかけしますか?」
書店でこう聞かれたら、あなたはどう返すだろう。
「はい、お願いします」
「いいえ、結構です」
「袋は有料?じゃあ、いいです。カバーは、無料ですか?じゃあ……」
「自分でかけたいので、冊数分全部ください」
「カバーだけください」
書店に立っていると、おおむねこのような返答がある。レジ袋が有料化されたこともあり、そのまま持ち歩くのもなんだし、カバーは無料サービス
〈病気〉を人類学してみたらー三十路の婦人科検診で見つかった身体のネックレスと、来たる治療の将来と、代替不/可能性について
「ネックレスが見えますね」
2年ぶりに訪れた婦人科で、主治医からこう言われた。(ネックレス……?)この場に、さほど似つかわしくはないワードに、耳を疑った。生理不順や不正出血が気になってはいたものの、日々の忙しさにかまけ、怠惰も手伝い、30歳を迎えた先日、節目としてようやく久しぶりに診察に訪れた。卵巣に、ネックレスサインが見え、気になる所見だという。
「ひとまず血液検査をしてみないことには……」
性愛(対人)関係は、コスパ的〈交換〉関係なんかじゃなくって、〈贈与〉なんじゃないかと思った話ーリモート授業と、交錯しない視線と、ある人類学的備忘録
【失われた2年】
「だって、コスパ悪いじゃないすか〜」
耳を疑った。ともに書店で働くアルバイトの学生さんと話す機会が増えた。帰途にふと、互いの恋愛事情を話す機会があった。語ったのは、大学2年生。今年30を迎えたわたしとは、10(!)もの年の差がある……。
聞けば、コロナ禍で入学し、キャンパスへ足を運んだのも片手で数えられるくらいだという。彼らが高校時代に想像していた学生生活を思えば、「失われ
〈正しい〉言葉遣いできなかったくらいで公開叱責される社会もそうそうないから、安心して大丈夫よ、って話ー書店でのマンスプレイニングで考えた、ささやかに抗う働き方
〈正しい〉言葉遣いって、なんだ?
言葉遣いを、指摘される。
常に、〈正しい〉言葉遣いを、と。
大学院生をしながら、合間に働く書店。全国でも随一の規模を誇る大型書店。「学生の割にはしっかりしている」とかなんとかで、当初の予定とは異なり、不本意ながらも、棚よりレジでの接客業務を担当させていただいている(させられている)29歳だ。
先日、社員らしき男性から、言葉遣いの件で指摘を受けた。
「来生さ
「ワタシを救えるのはわたしだけ」
わたしの過去の一端を知るたびに、自分は特別な存在なのだと再認識する。自分こそが彼女を助けることができる救世主なのだと盲信し、自分勝手に突き進む。カレには、自分しか見えていないにもかかわらず、カレだけが一向にそのことに気づかない。
「カノジョを救えるのは自分だけだ」という建前と正義、使命感のもと、自らを救おうと必死な様が、わたしの目にはなんともかわいそうに映った。その行動が彼をさらに苦しめているよ
わたしは、わたしでしかいられない。
あらためて、そう感じた映画だった。
遅ればせながら、映画『ある少年の告白』("BOY ERASED")を観た。ずっと気になっていて、観たくてしかたなかったのに、どうしても観れなかった。幼い自分の内面を振り返らずにはいられなくなるのではないかと、怖かった。(一部、本作のネタバレを含みます。未観の方は、お気をつけくださいませ)
舞台はアメリカの田舎町。あるきっかけで、「自分は男性のことが好きだ」と