ギリシア

アンティークコインの世界 〜最初の一枚〜

アンティークコイン収集の始まりは、初代ローマ皇帝アウグストゥスの肖像を描いたアス銅貨だった。たった一枚のコインで人生が変わった瞬間。あの胸の高鳴り、感動、期待、そしてこれから何かが始まる予感。初恋に似たようなそんな全てを今でも昨日のことのようの覚えている。何事も一期一会。どこで何と出会うか分からない。どこで何が自分を変えるかは分からないのだ。

初めてこのアス銅貨を見た時、私は五つの考古学的着眼点

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「ディオニュソス」8

ホテル「ジョンズプレイス」は、ミトロポレオス大聖堂のそばにある。窓を開ければ、聖堂の端が見えるベランダまでついていた。でも、渡された部屋の鍵が、まるでゲームやアニメでみる宝箱の鍵の形だったのが何よりも嬉しかった。

夜に外へ出るには、階段の踊り場にある受付で声をかけていかなければならない。「どこへ行く?」と訊かれ、「コーヒーを飲みに行く」と答えると「キオスクで、シェイカーを買えばいい」と言われた。

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「ディオニュソス」7

——アクロポリスを降りたあと、何をしたのか憶えていない。アテネ市内をブラブラしたが、別段何をしていた訳でもないのだろう。だからもう、日を追って細かく書くのはやめにする。家に帰れば当時の日記が残っているし、それに、いくらか飽きてきた。

ギリシアに到着したまま、アテネ市内に5日ほど滞在していたと思う。

まずユースホステルに泊まった。が、他よりいくらか安いと言っても、荷物すら置いていけない相部屋や、

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「ディオニュソス」6

アテネのアクロポリスで、初めてパルテノン神殿を眼前にしたときは、そこまで何も思わなかった。荷物が重くて疲れていたからかもしれない。

(よくもまあ、こんな巨大な神殿を作ったもんだ…)

と、オパール色をした柱が立ち並ぶさまを眺めて、そう思った。建築に関しての云々なんかよりも、人の手が成しえたことの偉大さや、神が人に与えたものの偉大さ…そうした「かつての偉業」を前に、ただ佇むより他になかったのかもし

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「ディオニュソス」5

———本当は、ホテル「キモン」で目覚めるまでのことを、もっと詳しく書くことも出来る。15年ほど前の出来事だ。でも、それ以降の記憶がいくらか曖昧になってることに、いま気付いた。向こうでは、ずっと日記をつけていた。家に帰れば残っているから、そのうち読み返してみるのもいいかもしれない。

…シンダグマ広場のキオスクに、本を見ずに立ち寄れるようになると、途端に辺りにある景色に目が行くようになった。昼だった

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「ディオニュソス」4

アテネのアクロポリスは、夜間、ライトアップされる。だから、随分遠くにあるはずなのに、はっきりそれと分かった。…しかし、こんなにすぐにパルテノンを眺めるとは思ってなかった。ガイドブック以前に知っていた、およそ唯一の名前だ。すると

(これからひと月、何すりゃいいんだよ…)

と、思えてきて、アクロポリス自体が、まるで大きな墓にも見えた。

…シンダグマ広場の先には、「ミトロポレオス大聖堂」がある。い

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「ディオニュソス」3

アテネに着いたのは24時。目の前には広場があり、テラス席などがぽつぽつ並ぶ。道を挟んだ両脇のレストランだか、カフェだかが用意した席らしい。…そうだ。たしか、「シンダグマ広場」って名前だった。そこには「キオスク」と言われる屋台の売店もあった。ガイドブックに載っているままの姿だった。

夜中だというのに、広場にはやたらと人が多い。そこらを走る車のどれもが、クラクションをビービー鳴らしながら前の車にせっ

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【マークの大冒険】 マークの七つ道具

冒険家のマーク。彼は神秘の力を持つ宝物を利用し、困難な旅を切り抜けていく。今回は、マークが作中で使用する七つ道具を紹介していく。

【護りの指輪 アムラシュリング】
イランのアムラシュ地方で出土した指輪。12枚の盾を所有者の周囲に出現させる神秘の力を持つ。盾は所有者を保護する他、前方方向に勢い良く飛び、打撃を与える効果を持つ。

【護りの短剣 ルリスタンソード】
イランのルリスタン地方で出土した短

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「ディオニュソス」2

ギリシアの空港の名前は憶えていない。到着したのが、現地の時間で22時か23時か…それくらいだったと思う。そこらの看板を頼ろうにも、ギリシア語も英語も分からないから、なんとなく人の流れに従い、気付けば外に出られた。

そこには、地下鉄かモノレールか知らないが、駅があった。料金図を見たって、ここが何て駅なのかも分からない。それでも「ATHENA」の文字を見つけたときには救われた気がした。けれど、どの発

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「ディオニュソス」1

ギリシアに興味が湧いたのは、三島由紀夫のせいだと思う。どこかで好きだと言っていたから。

——まともに本を読みだしたのは20歳を過ぎてからだった。が、三島の本は難しい漢字ばかりでうんざりした。昔からの性格で、何かにつまづいてしまうと、それ以上先に行けない。分からないままにしておけないから、当然、漢字だらけの三島の小説を、人並みに読み進めることも出来ない。読み方すら分からない漢字ばかりだった。

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