オリエント・中東史㉒
イスラム文化は、オリエントの地で古くから発展したメソポタミア・エジプト・ヘレニズムの文化的基盤の上に、イスラム教とアラビア語が融合して成立したものである。中心となった都市はメソポタミアのバグダードとエジプトのカイロであり、イスラム商人の交易ネットワークによって、北アフリカや中央アジア、インドや東南アジアなど、広範囲へと広がっていった。主だった都市にはムスリムの研究機関であるマドロサ(学院)が設立され、先進的な学問研究や技術発展の成果もまた、都市間のネットワークを通じて各地へ伝