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向暑はるの日常 2022年

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2022年の日常です。
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2022年1月の記事一覧

胃もたれ万歳

胃もたれ万歳

あけましておめでとうございます。

と周りには言えるけど、向暑はる自身にはおめでとうとは言えないようなバタバタした年末年始だった。

まあそんな話は今度するとして、今年も始まったばかりなのだから楽しい日常で新年を迎えることにする。

年が明ける1日前に地元に帰省し、温かい家族と大切な友人たちに迎えられた。

実家では毎日豪華な食事が並べられて、寿司、刺身、肉と一人暮らしでは考えられない料理が向暑は

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親友は死んで、そして生き返った

親友は死んで、そして生き返った

ふと大学生活を思い出すとき、必ず”あの人”が向暑はるの隣にいつもいた。

それは元恋人でもない。

先輩でもない。

もちろん教授でもない。

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向暑はるの大学生活は、周りに何も頼ることのできない”0”の環境から始まった。

メールの設定も講義の選択もパソコンの設定も全部一人でやった。

だから講義も一人で受けていた。

想像していた華のキャンパスライフとはかけ離れた位置にいて、この先の4

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プライベート用のお金なんてものはない

プライベート用のお金なんてものはない

丘の上にあるマンションの角部屋は明かりが灯っていた。

既に日は沈んでいて、周りに何もないせいか妙に目立って見えた。

カーテンを閉め忘れてるぞーと、そこの住人にテレパシーを送る。

なぜかテレパシーが帰ってきた。

そこの住民は向暑はるだった。

急いで帰るが、無駄に電気のついていた8時間は取り戻せはしない。

電気代、電気代、電気代、、、

と脳内が一つの名詞に侵食されてしまう。

そういえば

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大学生活はもう過去の話

大学生活はもう過去の話

”ズッコケ3人組”

そんな呼ばれ方をし始めたのは、まだ大学に入って半年も経っていないある夏の日。

大学に入って一番の問題はとにかくお金がなかったこと。

親に無理を言って学費を払ってもらったので、生活費はわずかしか貰えなかった。

だから向暑はるは入学式の次の日くらいに、一人暮らしの家から比較的近いファミレスでアルバイトを始めた。

そのような同じ考えを持つ人が向暑はる以外に二人もいた。

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好きな音楽は受け継がれていく

好きな音楽は受け継がれていく

好きな音楽の系統は両親に影響されると向暑はるは確信している。

これは持論でしかない。

幼少期に、今は亡き世界的に有名なアーティストのDVDを父親から散々見せられた。

とりあえず見ろ、かっこいいから、と半ば強制的に、画面に目を置いていた向暑はるだけど、特別かっこいいとは思わなかった。

むしろ古臭い。

80年代〜90年代のポップスは古臭いと思うくらいには、向暑はるの耳は21世紀の音が馴染んで

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”忙しい”は最大のライバル

”忙しい”は最大のライバル

本日は軍配は”忙しさ”に上がった。

電車の中で目眩と頭痛に襲われたのはこれが初めての経験かもしれない。

向暑はるはこれまで、”忙しい”という言葉に逃げるのではなく、常に戦って生きてきた。

忙しいことを理由に、何かを断るのではなく、もうちょっとだけ無理したら自分がどう成長できるのかを考えて行動していた。

結果として得たのは、体調不良だけである。

このご時世、体調不良を周囲に感じさせると、何

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一方的に命を嫌っている

一方的に命を嫌っている

年末恒例の大型歌番組の出演者が決まった日、

3つ歳が上の会社の先輩は、初出場の男性アーティストを見て、大いに興奮していた。

よほど嬉しかったのだろう。

席が二つ離れているはずなのに、仕事中ずっと鼻息が聞こえていた。

向暑はるはそのアーティストのことを知らなかった。

”若者から大人気”と誰かが書いた記事の見出しになっていたから、向暑はるはもう若者ではない。

いや、でも同期くんは知っていた

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おっぱい、おっぱい。

おっぱい、おっぱい。

おっぱい、おっぱい。

全国の高校3年生が目の前の問題用紙と必死に戦っている時、向暑はるはそんなことを毎年思う。

決して欲情しているわけではない。

あの時はどうだったか知らないけど。

地元に大雪警報が出された5年前の冬。

車は徒歩と同じくらいのスピードで走り、息子以上にイライラしていた向暑はるの母親と後部座席でひたすら勉強をしていた向暑はる。

毎年この日に限って地元では大雪が降り、受験生

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いつもの最寄り駅まで②

いつもの最寄り駅まで②

次に音を支配したのはthe pillowsだった。

今日のシャッフルは向暑はるの気分に合っている。

今日はじめましての信号は目の前で赤になったけど、気分がいいのでのんびり待つことにする。

信号の奥には2つ目の公園があって、四季それぞれに違った色と景色を見せてくれる。

先日雪が降った時は、金髪で短パンのまるでギャルと言わんばかりの女性が自撮りをしていた。

2シーズン遅れたのか、それとも早ま

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いつもの最寄り駅まで①

いつもの最寄り駅まで①

2階建てアパートの2階角部屋。

いつものようにドアを開けると、乾燥した冷たい風がコートの中に潜り込んでくる。

玄関の先には階段があって、そこから360度向きを変えると、今日もランドマークが”シンボル”として堂々と建っているのが見える。

いってきますと心の中で呟く。

階段を下っている間に、鍵をコートのポッケに入れて、もう一つのポッケから無線のイヤホンを取り出す。

沈黙が多い冬のこの時間に、

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朝5時、お湯の中

朝5時、お湯の中

家のどこからか冷え込んだ風が勝手に押しかけてくる。

まるで有無を言わせない宗教の勧誘である。

気がつけば部屋に居座り、向暑はるが作った熱々のコーンスープから出る湯気を全て食べてしまった。

残ったのは熱くもない冷めてもいない生ぬるいコーンスープである。

どうにかして体を温めたいと思ったので、光熱費なんぞクソ喰らえと思いながら、お風呂の蛇口を捻った。

そんな朝5時。

蛇口から出るお湯は素手

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火災報知器と生活音

火災報知器と生活音

ピッ、、、ピッ、、、ピッ、、、

クリスマスの朝、火災報知器が鳴った。

周りを見ても煙は見えないし、火種も作ってはいない。

よく聞くと一定間隔で何かの”声”を発している。

“電池切れです”

えー、クリスマスにかよー。

クリスマスだからと言って特別な予定はなかったし、電池が切れれば鳴るという決して理不尽なことではないのだけど、

世界的に見ても”特別な日”の予定が”火災報知器の電池の入れ替

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蜘蛛とマイヒーロー

蜘蛛とマイヒーロー

寝ぼけ瞼を擦りながら目を開けると、今日は珍しく天井が見えている。

いつもは大体横向きか、頭が枕に食べられているはずなのに。

白を基調とした天井を見ると、ポツンと黒い点が一つ。

染みや汚れだと思ったけど、カサっと動いた気がしたので、一瞬ヒヤリとした。

瞼をすばやく擦り、通常の視力が回復した後、じっくりと黒い点に目を凝らす。

なんだ蜘蛛か。

噛んでくれないかな。

向暑はるは、家の中に勝手

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素直でいることは警察の始まり

素直でいることは警察の始まり

いつからか、初詣に行けば流れでおみくじを引くことが毎年の決まり事のようになってる。

しかし今年は初詣と厄祓いがセットだったため、おみくじは引いていない。(?)

ランチのAセットとBセットを同時に頼む人はいないでしょ?

それと同じである。

という言い訳はこれくらいにしておいて、おみくじを引くのが少しだけこわかった。

昨年引いたおみくじの内容が悉く的中して、”ただの紙切れされど紙切れ”に人生

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