結城きき

拙い者ですが、不定期で気ままに続けております。よろしくお願い致します。 ……不確かなも…

結城きき

拙い者ですが、不定期で気ままに続けております。よろしくお願い致します。 ……不確かなものほど愛おしい。

記事一覧

詩 ブルーハワイを抱きしめて

ブルーハワイの色をした君の髪を見た時 頭から夏空を被ったのかと驚いた 風が揺らすたびその髪は自由に広がり 君は夏の空に溶けてゆくようだった 屈託のない笑顔も 夏空…

結城きき
2日前
4

詩 少女性

黄色い花弁が風に揺れる それは髪をなびかせる少女のよう 物憂げに揺れる細い身体 悩ましげに微かに俯くその姿 あれは あの夏に取り残してきた少女性だ 夏の熱にうなさ…

結城きき
9日前
5

詩 チョコミントとポッピングシャワー

チョコミントとポッピングシャワーのアイス その2つが好きなあなた わたしも同じだったけど あなたのことは好きになれなかった それなのに あなたが離れてゆくことに寂し…

結城きき
3週間前
1

詩 きらいなあなた

深くもなく 浅くもなく 滲まなければ掠れもしない 眩しくなく 暗くもなく 温かくもなければ凍えもしない ひどく曖昧な境目を揺蕩うように 世界との 誰かとのつながり…

結城きき
1か月前
3

詩 新しい日へと渡った君に

今日、 新たに昇った太陽に向かって君は飛び立った 恐る恐る地面を蹴って飛び立った 昨日から今日、そして明日へと渡る君 小さな羽を 広い空に大きく伸ばして飛び立った …

結城きき
3か月前
2

詩 今日或いはそれは過去

夜中に出会った野良猫や あなたが勧めてくれたロックバンド 値段の割に美味しくなかったランチや 中身はないけどどうでもよくなかった会話 送れなかったたった一言のLINE…

結城きき
5か月前
4

詩 友よ

「また明日ね」 夕暮れに響いた声は 遙か遠く夢の中 5時のチャイムに溶ける足音は あの日への帰り道を教えてくれるだろうか 永遠に果たされることはなく 無邪気に そし…

結城きき
5か月前
4

詩 春を待つ者

あの日、春風と競うように走り出した君は 陽射しに混ざり わたしの中で日溜まりになった またねと言ったはずなのに さよならと聞こえた君の声 微笑む顔はどんな酷い言葉…

結城きき
6か月前
3

詩 月灯

月灯を頼りに髪を梳かす君 君の輪郭は闇に浮かんでひどく朧気だ そのおくれ毛はいじらしさを持っているし その睫毛は哀しみを乗せている その唇は悩ましさを描いているし…

結城きき
6か月前
7

詩 君について

野良猫のあくびが陽射しに溶ける それをみて口元を緩めた君 僕は野良猫に少し嫉妬する 遠くで白いセスナが空を泳ぐ 君はそれを見て目を細めながら 空よりも遠くを見つめる…

結城きき
7か月前
3

【詩】 悲跡

色褪せた夜空に 貼り付けた悲しみ その悲しみも 夜空のように色褪せてゆくのか 色褪せて剥がれる日はくるのか それとも夜空に紛れて残るのか 朝日に燃やされて消えるのか…

結城きき
8か月前
1

詩 秋風

秋風ががらがら吹いてます 秋が泣いているのです 昨夜はとても冷えました わたしの心も冷え切って 隙間だらけになりました あなたを想うことさえも おざなりになったから…

結城きき
8か月前
2

詩 色々

この世界に色をつけたのは誰だろう 色鮮やかな世界だから 眩しくてクラクラした 眩しくてクラクラしたから 目を閉じた 目を閉じたから どこへも行けなくて座り込んだ …

結城きき
8か月前
3

【詩】孤独の…

陸に打ち上げられた魚のように 息のできる場所を求める 陸に憧れる人魚のように 誰かの優しさに期待する 孤独とは 息苦しいものでしょうか? どうか上手に息ができますよ…

結城きき
8か月前
3

詩 涙の輝き

涙のかけらを拾い集めて 夜空に放つ それは夜の闇に引っ掛かり星になって わたしの姿をした星座になった 夜を渡る鳥が 星のひとつを咥えた 鳥はそのまま東の空へと消え…

結城きき
9か月前
1

詩 彼岸花

彼岸花を両の手で やさしく摘んで取り上げる 祈りでも込めるように なにかを贖罪するように 両の手に包みこんだ彼岸花を食む 頬が朱く染まる 身体も朱く染まる 花弁のよ…

結城きき
9か月前
9
詩 ブルーハワイを抱きしめて

詩 ブルーハワイを抱きしめて

ブルーハワイの色をした君の髪を見た時
頭から夏空を被ったのかと驚いた

風が揺らすたびその髪は自由に広がり
君は夏の空に溶けてゆくようだった

屈託のない笑顔も
夏空に浮かぶ太陽のようにいっそう映えた

風に舞うたびこすれあう髪の音は
いつか君と遊んだ海の波音に似てる気がした

ブルーハワイの髪を撫でると
いつか君と歩いた砂浜を思い出した

あぁ
いつかこの夏も
いつかの夏になってしまうのか

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詩 少女性

詩 少女性

黄色い花弁が風に揺れる
それは髪をなびかせる少女のよう
物憂げに揺れる細い身体
悩ましげに微かに俯くその姿

あれは あの夏に取り残してきた少女性だ

夏の熱にうなされて 陽炎の彼方に淡く輝く
幼いままの私を 大人たちは許してくれなかった

遠くなる雷鳴が 少女時代に終わりを告げる
もう少しこのままでいられるなら
夕立に濡れてたたずもう
きっとすぐに止んでしまうのだろうけど

少女性を纏った向日葵

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詩 チョコミントとポッピングシャワー

チョコミントとポッピングシャワーのアイス
その2つが好きなあなた
わたしも同じだったけど
あなたのことは好きになれなかった

それなのに
あなたが離れてゆくことに寂しくなった
高架橋を過ぎる電車を煩く思うのに
過ぎたときの静けさに孤独が染みてくるように
あなたが私に飽きることに
なぜか勝手に寂しくなったの

あなたのことは嫌い
多分あなたも私を少し嫌いでしょう?

それなのに
チョコミントのような

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詩 きらいなあなた

深くもなく 浅くもなく
滲まなければ掠れもしない

眩しくなく 暗くもなく
温かくもなければ凍えもしない

ひどく曖昧な境目を揺蕩うように
世界との 誰かとのつながりを保つ

あなたとはきっとこれ以上仲良くなれないわ
わたしはきっとあなたが嫌いだ
嫌いな季節が夏という事でしか分かり合えないから

詩 新しい日へと渡った君に

詩 新しい日へと渡った君に

今日、
新たに昇った太陽に向かって君は飛び立った
恐る恐る地面を蹴って飛び立った

昨日から今日、そして明日へと渡る君
小さな羽を 広い空に大きく伸ばして飛び立った

上手く飛べなくても大丈夫
見えない羽はこれからもっと丈夫になるから
心細いなら昔の歌を口ずさめばいいさ

どうか君が
空の青さに泣きませんように
空の広さに絶望しませんように
太陽のまぶしさに目が眩みませんように
太陽の熱さに羽を焼

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詩 今日或いはそれは過去

夜中に出会った野良猫や
あなたが勧めてくれたロックバンド

値段の割に美味しくなかったランチや
中身はないけどどうでもよくなかった会話

送れなかったたった一言のLINE

そんなどうでもいいものを思い出して
無性に悲しく愛しくなる
傷がちくりと痛むたび
わたしはいま生きている最中だと自覚する

過ぎ去った想いは万華鏡
遠く手の届かぬ場所できらきら移ろう
わたしはただそれを見つめる
或いは
川面を

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詩 友よ

詩 友よ

「また明日ね」
夕暮れに響いた声は 遙か遠く夢の中

5時のチャイムに溶ける足音は
あの日への帰り道を教えてくれるだろうか
永遠に果たされることはなく
無邪気に そして純粋に残る約束

並走したあの頃に 去りゆく影に
ただ涙で応えよう

手を離した昨日も 待ちわびる明日も
ただ笑顔で見つめよう

詩 春を待つ者

詩 春を待つ者

あの日、春風と競うように走り出した君は
陽射しに混ざり わたしの中で日溜まりになった

またねと言ったはずなのに
さよならと聞こえた君の声

微笑む顔はどんな酷い言葉よりも悲しかった

わたしは季節のように同じ日々を繰り返す

今年も冬がきた
いずれまた春がくる
君の消えた 優しく暖かい春がくる

どうか春風に乗って 君の声が聞こえますように
君の言葉で春を告げて この寒い季節を終わらせて

冬の

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詩 月灯

詩 月灯

月灯を頼りに髪を梳かす君
君の輪郭は闇に浮かんでひどく朧気だ

そのおくれ毛はいじらしさを持っているし
その睫毛は哀しみを乗せている

その唇は悩ましさを描いているし
その指は慈しみを纏っている

月灯を頼りに君という存在を解いていく
冷たい部屋の片隅に私と君の温もりが灯る

明るいほうが君をよく見てやれるのに
月灯に浮かぶその姿の
なんと悲しく美しいことか

詩 君について

詩 君について

野良猫のあくびが陽射しに溶ける
それをみて口元を緩めた君
僕は野良猫に少し嫉妬する

遠くで白いセスナが空を泳ぐ
君はそれを見て目を細めながら
空よりも遠くを見つめるように
私がセスナなら 青くて広すぎて迷子になるわ
と呟いた

もうすぐさよならね なんて
悲しい言葉も零すから
この日が永遠になれと 胸の内で呪詛をつぶやく

きっとふたり
綺麗になんて生きられないね
綺麗がなにかを 産まれた瞬間に

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【詩】 悲跡

色褪せた夜空に 貼り付けた悲しみ
その悲しみも 夜空のように色褪せてゆくのか
色褪せて剥がれる日はくるのか
それとも夜空に紛れて残るのか
朝日に燃やされて消えるのか

なんにせよ 悲しみの跡は残るのだろう

ならば星よ隠して
見えないように 気づかないように
いつかそんな悲しみがあったことすら
忘れるほどの時が経つまで

詩 秋風

詩 秋風

秋風ががらがら吹いてます
秋が泣いているのです
昨夜はとても冷えました

わたしの心も冷え切って
隙間だらけになりました

あなたを想うことさえも
おざなりになったからでしょう
日々を繋ぐことさえも
おざなりになったからでしょう

秋風ががらがら吹いてます
わたしも泣いているのですが
秋風に消されてしまいます
消されてしまえば誰の耳にも届かぬようで
はじめからわたしは
泣いてなどいないようでもあり

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詩 色々

詩 色々

この世界に色をつけたのは誰だろう

色鮮やかな世界だから
眩しくてクラクラした

眩しくてクラクラしたから
目を閉じた

目を閉じたから
どこへも行けなくて座り込んだ

色鮮やかな世界はぐちゃぐちゃに見えた

君と出会って世界は真白に塗りつぶされた

真白な世界では
どこまで飛べるか分からなくて
ただ立ちすくんだまま 飛び立つ君を見送った

君のように恐れず空へと飛び立てたなら
誰かを傷つけず な

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【詩】孤独の…

【詩】孤独の…

陸に打ち上げられた魚のように
息のできる場所を求める

陸に憧れる人魚のように
誰かの優しさに期待する

孤独とは
息苦しいものでしょうか?
どうか上手に息ができますように

誰かの優しさは
私の冷たさを知らしめるものでしょうか?
その事実を怖れませんように

息苦しくても空を見上げたら
星は輝いて見えるでしょうか?
溢れる涙のわけを
知ることはできるでしょうか?

陸に上がって足が生えたら
たと

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詩 涙の輝き

詩 涙の輝き

涙のかけらを拾い集めて 夜空に放つ
それは夜の闇に引っ掛かり星になって
わたしの姿をした星座になった

夜を渡る鳥が 星のひとつを咥えた
鳥はそのまま東の空へと消えていく

わたしの姿をした星座が零れ落ちる
その星座はたちまち涙に戻った
わたしは喜んでその涙に濡れた

あの鳥が あの鳥の咥えた一欠片が
いつかわたしの希望になるのだ

涙に濡れながら 東の空を見る
やがて朝日の温もりで この涙も乾く

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詩 彼岸花

詩 彼岸花

彼岸花を両の手で
やさしく摘んで取り上げる
祈りでも込めるように
なにかを贖罪するように

両の手に包みこんだ彼岸花を食む
頬が朱く染まる 身体も朱く染まる
花弁のような睫が風に揺れる

秋の花よ 秋の風よ
なぜ悲しみを思い出させるのか
いや その悲しみこそ美しいのか