結城きき

拙い者ですが、不定期で気ままに続けております。よろしくお願い致します。 ……不確かなも…

結城きき

拙い者ですが、不定期で気ままに続けております。よろしくお願い致します。 ……不確かなものほど愛おしい。

最近の記事

詩 新しい日へと渡った君に

今日、 新たに昇った太陽に向かって君は飛び立った 恐る恐る地面を蹴って飛び立った 昨日から今日、そして明日へと渡る君 小さな羽を 広い空に大きく伸ばして飛び立った 上手く飛べなくても大丈夫 見えない羽はこれからもっと丈夫になるから 心細いなら昔の歌を口ずさめばいいさ どうか君が 空の青さに泣きませんように 空の広さに絶望しませんように 太陽のまぶしさに目が眩みませんように 太陽の熱さに羽を焼かれませんように どこまでも飛んでいけますように 雨も降る 風が痛い 泣きたく

    • 詩 今日或いはそれは過去

      夜中に出会った野良猫や あなたが勧めてくれたロックバンド 値段の割に美味しくなかったランチや 中身はないけどどうでもよくなかった会話 送れなかったたった一言のLINE そんなどうでもいいものを思い出して 無性に悲しく愛しくなる 傷がちくりと痛むたび わたしはいま生きている最中だと自覚する 過ぎ去った想いは万華鏡 遠く手の届かぬ場所できらきら移ろう わたしはただそれを見つめる 或いは 川面を揺蕩う笹舟のように 彼方の方へ流れてくもの わたしはただそれを見送る

      • 詩 友よ

        「また明日ね」 夕暮れに響いた声は 遙か遠く夢の中 5時のチャイムに溶ける足音は あの日への帰り道を教えてくれるだろうか 永遠に果たされることはなく 無邪気に そして純粋に残る約束 並走したあの頃に 去りゆく影に ただ涙で応えよう 手を離した昨日も 待ちわびる明日も ただ笑顔で見つめよう

        • 詩 春を待つ者

          あの日、春風と競うように走り出した君は 陽射しに混ざり わたしの中で日溜まりになった またねと言ったはずなのに さよならと聞こえた君の声 微笑む顔はどんな酷い言葉よりも悲しかった わたしは季節のように同じ日々を繰り返す 今年も冬がきた いずれまた春がくる 君の消えた 優しく暖かい春がくる どうか春風に乗って 君の声が聞こえますように 君の言葉で春を告げて この寒い季節を終わらせて 冬の風に吹かれながら いつか芽吹く春を待つ

        詩 新しい日へと渡った君に

          詩 月灯

          月灯を頼りに髪を梳かす君 君の輪郭は闇に浮かんでひどく朧気だ そのおくれ毛はいじらしさを持っているし その睫毛は哀しみを乗せている その唇は悩ましさを描いているし その指は慈しみを纏っている 月灯を頼りに君という存在を解いていく 冷たい部屋の片隅に私と君の温もりが灯る 明るいほうが君をよく見てやれるのに 月灯に浮かぶその姿の なんと悲しく美しいことか

          詩 君について

          野良猫のあくびが陽射しに溶ける それをみて口元を緩めた君 僕は野良猫に少し嫉妬する 遠くで白いセスナが空を泳ぐ 君はそれを見て目を細めながら 空よりも遠くを見つめるように 私がセスナなら 青くて広すぎて迷子になるわ と呟いた もうすぐさよならね なんて 悲しい言葉も零すから この日が永遠になれと 胸の内で呪詛をつぶやく きっとふたり 綺麗になんて生きられないね 綺麗がなにかを 産まれた瞬間に忘れたから どうか繫いだ手に込めた力が 君を苦しめることがありませんように

          詩 君について

          【詩】 悲跡

          色褪せた夜空に 貼り付けた悲しみ その悲しみも 夜空のように色褪せてゆくのか 色褪せて剥がれる日はくるのか それとも夜空に紛れて残るのか 朝日に燃やされて消えるのか なんにせよ 悲しみの跡は残るのだろう ならば星よ隠して 見えないように 気づかないように いつかそんな悲しみがあったことすら 忘れるほどの時が経つまで

          【詩】 悲跡

          詩 秋風

          秋風ががらがら吹いてます 秋が泣いているのです 昨夜はとても冷えました わたしの心も冷え切って 隙間だらけになりました あなたを想うことさえも おざなりになったからでしょう 日々を繋ぐことさえも おざなりになったからでしょう 秋風ががらがら吹いてます わたしも泣いているのですが 秋風に消されてしまいます 消されてしまえば誰の耳にも届かぬようで はじめからわたしは 泣いてなどいないようでもありました 今夜もとても冷えそうです

          詩 色々

          この世界に色をつけたのは誰だろう 色鮮やかな世界だから 眩しくてクラクラした 眩しくてクラクラしたから 目を閉じた 目を閉じたから どこへも行けなくて座り込んだ 色鮮やかな世界はぐちゃぐちゃに見えた 君と出会って世界は真白に塗りつぶされた 真白な世界では どこまで飛べるか分からなくて ただ立ちすくんだまま 飛び立つ君を見送った 君のように恐れず空へと飛び立てたなら 誰かを傷つけず なにかを失わず そのたび涙も流さずに済んだのだろうか ならば どこへいけばいいのだ

          【詩】孤独の…

          陸に打ち上げられた魚のように 息のできる場所を求める 陸に憧れる人魚のように 誰かの優しさに期待する 孤独とは 息苦しいものでしょうか? どうか上手に息ができますように 誰かの優しさは 私の冷たさを知らしめるものでしょうか? その事実を怖れませんように 息苦しくても空を見上げたら 星は輝いて見えるでしょうか? 溢れる涙のわけを 知ることはできるでしょうか? 陸に上がって足が生えたら たとえその足が痛んでも 進むことができるでしょうか? 息ができなくても叫び 足が血

          【詩】孤独の…

          詩 涙の輝き

          涙のかけらを拾い集めて 夜空に放つ それは夜の闇に引っ掛かり星になって わたしの姿をした星座になった 夜を渡る鳥が 星のひとつを咥えた 鳥はそのまま東の空へと消えていく わたしの姿をした星座が零れ落ちる その星座はたちまち涙に戻った わたしは喜んでその涙に濡れた あの鳥が あの鳥の咥えた一欠片が いつかわたしの希望になるのだ 涙に濡れながら 東の空を見る やがて朝日の温もりで この涙も乾くだろう

          詩 涙の輝き

          詩 彼岸花

          彼岸花を両の手で やさしく摘んで取り上げる 祈りでも込めるように なにかを贖罪するように 両の手に包みこんだ彼岸花を食む 頬が朱く染まる 身体も朱く染まる 花弁のような睫が風に揺れる 秋の花よ 秋の風よ なぜ悲しみを思い出させるのか いや その悲しみこそ美しいのか

          詩 彼岸花

          【詩】月の上

          年をとるごとに 会いたい人が増えていく 会えない人も増えていく どうか わたしがそちらへ向かって旅をする日 わたしがひとり迷わぬように きれいな夜の月の上 手をふりながら待っていて

          【詩】月の上

          【詩】別れ

          椿がポタリと落ちるように 或いは 雨で石が削れるように それはいつか訪れるもの 波が寄せては返すように 或いは メリーゴーランドのように キラキラと光り輝き繰り返すもの 美しく悲しく紡ぐむもの

          【詩】別れ

          詞 夜の死神

          眠れない惑星の上 笑えない僕の未来 死神が目の前で ステップ踏んでるよ さわれない君の手 離れてく時計の針 死神が目の前で 歓声をあげてるよ いつか変わるかな いつか変わるかな 僕が僕の為に すべてを捨てるように振り切って 耳鳴りの奥で 確かに囁くもの 孤独な真夜中にひたすら抱きしめる 吐き捨てる日々に 嘘つくよ君に 孤独な真夜中をひたすら走ってる

          詞 夜の死神

          ー詩ー 塵芥

          吹き溜りに集まったわたし達 隅にいないと人に踏まれるから それでも予期せぬ風に吹かれて 宙に舞ってしまう そんなとき 怖いけど目をあけて周りをみまわす 窓から差し込む日差しを浴びて キラキラと鈍く輝くわたし達 あなたもわたしも光り輝く塵芥

          ー詩ー 塵芥