詩 今日或いはそれは過去

夜中に出会った野良猫や
あなたが勧めてくれたロックバンド

値段の割に美味しくなかったランチや
中身はないけどどうでもよくなかった会話

送れなかったたった一言のLINE

そんなどうでもいいものを思い出して
無性に悲しく愛しくなる
傷がちくりと痛むたび
わたしはいま生きている最中だと自覚する

過ぎ去った想いは万華鏡
遠く手の届かぬ場所できらきら移ろう
わたしはただそれを見つめる
或いは
川面を揺蕩う笹舟のように
彼方の方へ流れてくもの
わたしはただそれを見送る

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