藤田 正和

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藤田 正和

「武術」にまつわる話をメインに記事を書いています。 執筆のモチベーション維持のために、いわゆる「投げ銭」として、「クリエイター支援」や「記事購入」をして頂けると嬉しいです。

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    2024年後半に執筆した記事をまとめたモノです。

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    「柔術を武術的に再生する」とはどういうことか?に関する私の考え方を具体例を挙げて紹介しています。

記事一覧

選択問題

1 読者の方から次のようなご質問を頂いた。  「白帯の頃からハーフガードに絞って練習していくというのは、良くないのでしょうか?白帯の頃は幅広いガードを練習するべ…

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背筋を伸ばす?

「亀バック」と「バックマウント」  最近、かつて一緒にグラップリングを練習していた(が、更なる高みを目指して他所のジムへ移籍した)子達だけでなく、ウチの道場で一…

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noteの収益化

1 noteというプラットフォームは非常に良く出来ていると思う。    ここで記事を書いているからと言って、世辞を述べているわけではない。  noteの企業理念が「クリエ…

藤田 正和
2週間前
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コインの表裏

1 「歴史」とは、特定の価値観に基づいて選択された事実を組み合わせて作成された物語である、と書いた。  「歴史」は、複数の事実群に対する評価を含む物語であるが、…

藤田 正和
3週間前
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柔術の歴史

1 「柔術の歴史」について書かれた文章に目を通す機会があった。    一読して生成AIの手によるモノだと分かったのだが、文章作成者はブラジリアン柔術(BJJ)に「全…

藤田 正和
3週間前
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公正とは何か?

1 今年のADCCと同じ週に、「CJI(クレイグ・ジョーンズ・インビテーシナル)」というグラップリングの大会が開催される。  クレイグは、以前から「プロ・グラップリン…

藤田 正和
1か月前
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鉱山開発(2)

1 以前、同名のタイトルで「テクニックを覚えるには打ち込みをしなければならない」という内容の記事を書いた。  また、その裏返しになるが、「スパーリングの中で、何…

藤田 正和
1か月前
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HIKIWAKE

1 以前ウチの道場で一緒に練習していた子のMMAの試合があった。  彼は、試合開始早々相手をテイクダウンして、パスガードし、バックを取って、試合時間の半分以上をバ…

藤田 正和
1か月前
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初心に帰る

1 「ゴング格闘技」という雑誌に、ヘンリー・エイキンスのインタビューが掲載されていると聞き、私も手に取ってみた。  「ゴン格」の該当箇所では、ヘンリーの柔術を理…

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藤田 正和
1か月前
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エコとエコ

1 私が知るある人は、ブラジリアン柔術(BJJ)のギ(道衣)を山のように所持している。    稽古場で会う度に、彼はいつも違うギを着ている。  しかも、BJJに興味のな…

藤田 正和
1か月前
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違いの分かる男

1 年度が変わって二月程経過したが、この間ウチの道場にも何人かの見学者が来ている。  とりあえず、その中の5人に「貴方は競技柔術の存在を知っているか?」と問うて…

藤田 正和
1か月前
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High Percentage Gi Passes(2)

はじめに  本稿では、ゴードン・ライアンのHigh Percentage Gi Passes vol.2を取り上げる(High Percentage Gi Passesの入手方法については、次の記事を参照して欲しい)…

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藤田 正和
1か月前
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量が質に変わるまで?

1 前回、「上達の速度は、(練習)量×(その)質で決まる」 と書いた。  私の観察になるが、同じ道場に所属する会員の伸び(=上達)を比べてみると、稽古回数が週1…

藤田 正和
1か月前
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鉱山開発

1 これまでに何度か「テクニックを覚えるには打ち込みが必要だ」と書いてきた。  また、ジョン・ダナハーの「柔術の上達には、何よりもまず第一に(練習)量。次に、(…

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藤田 正和
1か月前
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柔術ブレイキング

1 先日、試合時間1分のグラップリングの大会が開催されたそうである。  「ブレイキングダウン」の影響を受けたのか否か?私は知らない。  また、そういうイベントを…

藤田 正和
1か月前
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High Percentage Gi Passes(1)

はじめに  本稿では、ゴードン・ライアンの「High Percentage Gi Passes」を取り上げる。  High Percentage Gi Passesは、コロナ禍の最中にリリースされた無料教則だが…

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藤田 正和
1か月前
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選択問題

選択問題

1 読者の方から次のようなご質問を頂いた。

 「白帯の頃からハーフガードに絞って練習していくというのは、良くないのでしょうか?白帯の頃は幅広いガードを練習するべきという意見もあり、練習方法に悩んでおります。 」

 もし、質問が「ハーフガードに絞った練習で試合に勝てますか?」という内容であれば、試合弱者の私に答える資格はない。
 だが、ここでは「ハーフガードに絞った練習の是非」を問われているので

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背筋を伸ばす?


「亀バック」と「バックマウント」
 最近、かつて一緒にグラップリングを練習していた(が、更なる高みを目指して他所のジムへ移籍した)子達だけでなく、ウチの道場で一緒に稽古している若者もMMAの試合に出るようになった。

 私自身はMMAをやった経験がないし、「見る専」で知ったかぶりをするのが嫌いなので、これまで(プロの)MMAの試合は見ないようにしていた。

 だが、知り合いが出るとなると話は別で

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noteの収益化

noteの収益化

1 noteというプラットフォームは非常に良く出来ていると思う。
 
 ここで記事を書いているからと言って、世辞を述べているわけではない。

 noteの企業理念が「クリエイターの育成」にあるのだとしても、noteという場は、創作小説や漫画のようなクリエイティブな作品に限らず、私的な日記やSNSの代替物として利用する事も許されている。
 要するに、コンテンツの内容に対して(それが法に触れない限り)

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コインの表裏

コインの表裏

1 「歴史」とは、特定の価値観に基づいて選択された事実を組み合わせて作成された物語である、と書いた。

 「歴史」は、複数の事実群に対する評価を含む物語であるが、同じひとつの事実についても、語り手が違えば、全く異なる評価(ないし話)になり得る。

 「同じひとつの事実であっても、語り手によって評価が異なる(=別の話になってしまう)」という現象は、対人関係において生じるあらゆる出来事についても等しく

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柔術の歴史

柔術の歴史

1 「柔術の歴史」について書かれた文章に目を通す機会があった。
 
 一読して生成AIの手によるモノだと分かったのだが、文章作成者はブラジリアン柔術(BJJ)に「全く興味がない」とは言えなくても、ほぼ確実に「未経験」だろうと予測が付く。
(文中に登場していない人物を例に取ると、「クレイグ・ジョーンズ」を「グレッグ・ジョーンズ」と書くような表記の誤りも多数散見された。とはいえ、生成AIが登場する前か

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公正とは何か?

公正とは何か?

1 今年のADCCと同じ週に、「CJI(クレイグ・ジョーンズ・インビテーシナル)」というグラップリングの大会が開催される。

 クレイグは、以前から「プロ・グラップリング選手のファイトマネーが低すぎる」と繰り返し訴えていたし、今年のADCCもそれを理由に出場を辞退していた。
 
 だが、まさか彼自らADCCに対抗して、賞金トーナメントを開催するとは思いも寄らなかった。

 CJIにおいては、参加者

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鉱山開発(2)

鉱山開発(2)

1 以前、同名のタイトルで「テクニックを覚えるには打ち込みをしなければならない」という内容の記事を書いた。

 また、その裏返しになるが、「スパーリングの中で、何となくテクニックを試しながら覚えようとするのは、非常に効率が悪い(練習法だ)」とも述べている。

 さて、打ち込み(=テクニックドリル)をするには、当然ながらパートナーが必要になる。
 
 道場によっては、正規クラス外で打ち込みをする時間

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HIKIWAKE

1 以前ウチの道場で一緒に練習していた子のMMAの試合があった。

 彼は、試合開始早々相手をテイクダウンして、パスガードし、バックを取って、試合時間の半分以上をバックキープして攻め続けていた。
 それでも試合結果はドロー。

 不思議に思って理由を聞いてみたら、試合の最終局面で、相手選手がバックからエスケープし、離れ際に一発(パンチを)貰って足にきてしまった(のがジャッジに響いてしまった)らしい

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初心に帰る

1 「ゴング格闘技」という雑誌に、ヘンリー・エイキンスのインタビューが掲載されていると聞き、私も手に取ってみた。

 「ゴン格」の該当箇所では、ヘンリーの柔術を理解するためのカギとなる、「ウェイトディストリビューション」や「コネクション」という概念(本文中では触れられていなかったが、「アングル」の話も含まれる)を軸に、読者に向けて彼の技術を伝えようという試みがなされていた。

 記事を一読した私の

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エコとエコ

1 私が知るある人は、ブラジリアン柔術(BJJ)のギ(道衣)を山のように所持している。
 
 稽古場で会う度に、彼はいつも違うギを着ている。
 しかも、BJJに興味のない人には分かりにくい話で恐縮だが、彼が着ているのはShoyorollやMOYAといったハイブランド品ばかりである。

 以前彼に「君は金持ちなのか?」と聞いてみたところ、「いや、ギはメルカリで新古品を買っている」と答えた。
 彼の語

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違いの分かる男

1 年度が変わって二月程経過したが、この間ウチの道場にも何人かの見学者が来ている。

 とりあえず、その中の5人に「貴方は競技柔術の存在を知っているか?」と問うてみたが、「知っている」という回答は0だった。
 私もブラジリアン柔術(BJJ)の稽古を始める前は、BJJに試合があり、全国各地で競技大会が開催されている事なぞ全く知らなかった。

 自分が担当している初心者クラスに来る人々の内訳を見ると、

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High Percentage Gi Passes(2)


はじめに
 本稿では、ゴードン・ライアンのHigh Percentage Gi Passes vol.2を取り上げる(High Percentage Gi Passesの入手方法については、次の記事を参照して欲しい)。

 vol.1が「オープンガード」に対するパスガードを扱っていたのに対して、vol.2は「ハーフガード」パスについての説明がなされている。

 複数のパスガード・テクニックを紹介

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量が質に変わるまで?

1 前回、「上達の速度は、(練習)量×(その)質で決まる」 と書いた。

 私の観察になるが、同じ道場に所属する会員の伸び(=上達)を比べてみると、稽古回数が週1では現状維持。
 週2から伸び始め、週3~4回で伸びが安定し、週5以上稽古する人は爆発的に伸びている。

 したがって、「練習してもなかなか上手くならない」、あるいは、「壁にぶち当たって伸び悩んでいる」という人からアドバイスを求められた場

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鉱山開発

1 これまでに何度か「テクニックを覚えるには打ち込みが必要だ」と書いてきた。

 また、ジョン・ダナハーの「柔術の上達には、何よりもまず第一に(練習)量。次に、(練習の)質だ」という言葉にも繰り返し言及した。
 
 柔術の上達に関するジョン・ダナハーの見解は正しいと思うが、私の個人的な実感を述べるならば、「上達の速度は、量×質で決まる」と思う。
 「上達速度=量×質」という公式は、私の経験則に過ぎ

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柔術ブレイキング

1 先日、試合時間1分のグラップリングの大会が開催されたそうである。

 「ブレイキングダウン」の影響を受けたのか否か?私は知らない。
 また、そういうイベントを企画するのも、法に触れない限りは主催者の自由である。

 ただ、「1分間では、セルフディフェンスを表現しようがないから、〔このイベントは〕柔術の本質を破壊するものだ」と怒っている方がいた。

 「柔術の本質が何か?」はさておき・・・競技柔

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High Percentage Gi Passes(1)


はじめに
 本稿では、ゴードン・ライアンの「High Percentage Gi Passes」を取り上げる。

 High Percentage Gi Passesは、コロナ禍の最中にリリースされた無料教則だが、コロナ初期に「道場に通えない人々をサポートする」目的で配布されたBJJ Fanaticsの他の教則と異なり、ゴードンのファンサービスないし彼の教則の販促としての意味合いが強い。

 ま

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