藤田 正和
2024年前半に執筆した記事をまとめたモノです。
「柔術を武術的に再生する」とはどういうことか?に関する私の考え方を具体例を挙げて紹介しています。
ブラジリアン柔術の各種テクニックについて、クラス用に作成したメニューを文章化した記事を集めています
ジョン・ダナハーの「Self Mastery: Solo BJJ Training Drills」について解説した記事を集めてみました。
読んだ本に対する雑感を書き留めたモノです。
1 「歴史」とは、特定の価値観に基づいて選択された事実を組み合わせて作成された物語である、と書いた。 「歴史」は、複数の事実群に対する評価を含む物語であるが、同じひとつの事実についても、語り手が違えば、全く異なる評価(ないし話)になり得る。 「同じひとつの事実であっても、語り手によって評価が異なる(=別の話になってしまう)」という現象は、対人関係において生じるあらゆる出来事についても等しく妥当すると思う。 以前私がブラジリアン柔術(BJJ)の試合に出た時の話になる
1 「柔術の歴史」について書かれた文章に目を通す機会があった。 一読して生成AIの手によるモノだと分かったのだが、文章作成者はブラジリアン柔術(BJJ)に「全く興味がない」とは言えなくても、ほぼ確実に「未経験」だろうと予測が付く。 (文中に登場していない人物を例に取ると、「クレイグ・ジョーンズ」を「グレッグ・ジョーンズ」と書くような表記の誤りも多数散見された。とはいえ、生成AIが登場する前から、「クレイグ」を「グレイグ」や「グレッグ」と書いている文章を目にした事は何度か
1 今年のADCCと同じ週に、「CJI(クレイグ・ジョーンズ・インビテーシナル)」というグラップリングの大会が開催される。 クレイグは、以前から「プロ・グラップリング選手のファイトマネーが低すぎる」と繰り返し訴えていたし、今年のADCCもそれを理由に出場を辞退していた。 だが、まさか彼自らADCCに対抗して、賞金トーナメントを開催するとは思いも寄らなかった。 CJIにおいては、参加者全員に1万1ドルが支払われ、(トーナメントの)優勝者には100万ドルの賞金が与え
1 以前、同名のタイトルで「テクニックを覚えるには打ち込みをしなければならない」という内容の記事を書いた。 また、その裏返しになるが、「スパーリングの中で、何となくテクニックを試しながら覚えようとするのは、非常に効率が悪い(練習法だ)」とも述べている。 さて、打ち込み(=テクニックドリル)をするには、当然ながらパートナーが必要になる。 道場によっては、正規クラス外で打ち込みをする時間そのものが取れないかもしれないし、仮に打ち込みの時間を確保できたとしても、良質の
1 以前ウチの道場で一緒に練習していた子のMMAの試合があった。 彼は、試合開始早々相手をテイクダウンして、パスガードし、バックを取って、試合時間の半分以上をバックキープして攻め続けていた。 それでも試合結果はドロー。 不思議に思って理由を聞いてみたら、試合の最終局面で、相手選手がバックからエスケープし、離れ際に一発(パンチを)貰って足にきてしまった(のがジャッジに響いてしまった)らしい。 ブラジリアン柔術的な発想から言えば、良いポジションを取って、圧倒的に試合
1 「ゴング格闘技」という雑誌に、ヘンリー・エイキンスのインタビューが掲載されていると聞き、私も手に取ってみた。 「ゴン格」の該当箇所では、ヘンリーの柔術を理解するためのカギとなる、「ウェイトディストリビューション」や「コネクション」という概念(本文中では触れられていなかったが、「アングル」の話も含まれる)を軸に、読者に向けて彼の技術を伝えようという試みがなされていた。 記事を一読した私の感想は、「文字情報に関する限り、(私にとって)目新しい内容が無くてホッとした」で
1 私が知るある人は、ブラジリアン柔術(BJJ)のギ(道衣)を山のように所持している。 稽古場で会う度に、彼はいつも違うギを着ている。 しかも、BJJに興味のない人には分かりにくい話で恐縮だが、彼が着ているのはShoyorollやMOYAといったハイブランド品ばかりである。 以前彼に「君は金持ちなのか?」と聞いてみたところ、「いや、ギはメルカリで新古品を買っている」と答えた。 彼の語りは続く。 「メルカリはいい。 世の中には、BJJを始めようと奮発して高い
1 年度が変わって二月程経過したが、この間ウチの道場にも何人かの見学者が来ている。 とりあえず、その中の5人に「貴方は競技柔術の存在を知っているか?」と問うてみたが、「知っている」という回答は0だった。 私もブラジリアン柔術(BJJ)の稽古を始める前は、BJJに試合があり、全国各地で競技大会が開催されている事なぞ全く知らなかった。 自分が担当している初心者クラスに来る人々の内訳を見ると、練習頻度は週に1~2回が大半で、中には月に一度という人もいる。 そういう人々に
はじめに 本稿では、ゴードン・ライアンのHigh Percentage Gi Passes vol.2を取り上げる(High Percentage Gi Passesの入手方法については、次の記事を参照して欲しい)。 vol.1が「オープンガード」に対するパスガードを扱っていたのに対して、vol.2は「ハーフガード」パスについての説明がなされている。 複数のパスガード・テクニックを紹介しているvol.1と異なり、vol.2で紹介されているテクニックは一つしかない。
1 前回、「上達の速度は、(練習)量×(その)質で決まる」 と書いた。 私の観察になるが、同じ道場に所属する会員の伸び(=上達)を比べてみると、稽古回数が週1では現状維持。 週2から伸び始め、週3~4回で伸びが安定し、週5以上稽古する人は爆発的に伸びている。 したがって、「練習してもなかなか上手くならない」、あるいは、「壁にぶち当たって伸び悩んでいる」という人からアドバイスを求められた場合、もっともシンプルな回答は、「もっと練習しましょう!」という事になるだろう。
1 これまでに何度か「テクニックを覚えるには打ち込みが必要だ」と書いてきた。 また、ジョン・ダナハーの「柔術の上達には、何よりもまず第一に(練習)量。次に、(練習の)質だ」という言葉にも繰り返し言及した。 柔術の上達に関するジョン・ダナハーの見解は正しいと思うが、私の個人的な実感を述べるならば、「上達の速度は、量×質で決まる」と思う。 「上達速度=量×質」という公式は、私の経験則に過ぎないが、柔術に限らず、広く「モノを学ぶ」という学習行為全般について当てはまるだろ
1 先日、試合時間1分のグラップリングの大会が開催されたそうである。 「ブレイキングダウン」の影響を受けたのか否か?私は知らない。 また、そういうイベントを企画するのも、法に触れない限りは主催者の自由である。 ただ、「1分間では、セルフディフェンスを表現しようがないから、〔このイベントは〕柔術の本質を破壊するものだ」と怒っている方がいた。 「柔術の本質が何か?」はさておき・・・競技柔術の試合で「ベリンボロ」を始めとするモダンスタイルが席巻した時に「柔術の本質を歪
はじめに 本稿では、ゴードン・ライアンの「High Percentage Gi Passes」を取り上げる。 High Percentage Gi Passesは、コロナ禍の最中にリリースされた無料教則だが、コロナ初期に「道場に通えない人々をサポートする」目的で配布されたBJJ Fanaticsの他の教則と異なり、ゴードンのファンサービスないし彼の教則の販促としての意味合いが強い。 また、ゴードン・ライアンがノーギ&グラップリングにおける(現時点で)世界最高の選手
1 いつも私の記事を読んで下さっている方にとっては、同工異曲と言っていい話になる。 まだ筆が乗らないので、大目に見て頂きたい。 新しく入った会員さんに対して、私は「昔の自分は稽古で怪我ばかりしていた」「昔と比べれば、今の道場は空気が良くなった」と何度か口にしていた。 先日、1年程前に入会した方から「昔の道場(の空気)はどんな感じだったのですか?」と聞かれたので、次のように返した。 自分より弱い(=帯が下の)相手としかスパーリングをしない。そして、スパーリングをす
1 ヒクソン・グレイシーの言だそうである。 意地悪な見方をすれば、ヒクソンは人生のほぼ全てを柔術に捧げたから、柔術以外から人生について学ぶ機会がなかっただけとも考えられる。 だが、人生の重要事について学ぶ機会は、柔術以外のどんなモノにでもある。 子供の頃からスポーツや学業にひたむきに取り組んだ人は、その経験からきっと貴重な人生訓を得ているだろう。 そうした経験を得る対象は、大人になってから始めた仕事や趣味であったとしても変わらないはずである。 要は、目の前の今
1 一口に「スパーリング」と言っても、目的に応じていくつかの態様がある。 「スパーリング」をここまで細かく分類する必要があるかはさておき、これを①フリースパー②条件付きスパー③フロースパー(④ブラインドスパー)に分けて、クラス内で実施している道場は多いだろう。 さて、本稿の主題である「ガチスパー」である。 要するに、ブザーが鳴ったら全力全開、本気で相手を倒しに行くスパーリングを意味している。 上で紹介した記事の中では、meat-head sparring とい