マガジンのカバー画像

祖母と私のつれづれぐさ

10
運営しているクリエイター

記事一覧

今日祖母が、半年ぶりに外出した。

今日祖母が、半年ぶりに外出した。

祖母にがんが見つかり、入院したのが今年の春ごろ。
「何もしなければ半年持つかどうかです」と言われてから、半年くらいたったことになるだろうか。
がんが結局摘出できなくて、もう家にも帰れないかもしれない、このまま死ぬかもしれない、そんなことを半ば逆ギレ状態の伯母から言われたこともあった。
そう、思い返すと今日は感慨深さを感じるべき日だった。

このところの私はというと、自分のことで手いっぱいになってし

もっとみる

八月十九日の日記

もうやだ。

と思うことが一日に何度あるだろう。

昨日は久しぶりに日中外出をした。学生時代のサークルの先輩後輩たちと集まってのホームパーティだった。昼頃から集まって、夜までやると言うスタイルだったので、夕方ごろ抜けるつもりだった。ところが、結局みんなが集まったのは午後の五時ごろ。久しぶりに会う人ばかりだったし、「会いたいので待っててください!」と可愛がっていた後輩に言われて抜けるわけにも行かず、

もっとみる

生前整理は終わらせてからにして欲しい(マジ)

昨日、祖母と二人でテレビを見ていたら、速報が入った。
『沖縄県知事 翁長氏死去 享年67』

「あら翁長さん!亡くなっちゃったの。・・・私と同じ癌だったのよねえ」
( えっ)
失礼なことに、知らなかった。しかも、手術をした時期も、祖母と同じ頃だったそうだ。
そのまま我が家は付けっ放しでNHKのニュースウォッチ9を見るので、そのまま翁長県知事死去についての詳しい報道が続いた。

これが伯母か私の母か

もっとみる

私と弟とこのせかい

「オレは、あの家じゃ日陰の存在だった」とよく弟は言っていた。
あの家、とは父親の実家のことだ。私は昔から学校の成績はよかった。
受験もまぁ成功した方に入るだろう。それを口々にみんなが褒める。弟は、あまり勉強は得意な方ではなかったため、言外に「それに引き換え弟くんはねぇ」という空気を感じていたのかもしれない。そんなこと思っていない、と本人たちはいうに違いないが、意識してるかそうでないかの違いだけだ。

もっとみる

主婦稼業と母親

退職してから9日、完全ニート生活7日めだが、主婦の偉大さを痛感する毎日である。
何しろぼんやりしている暇がない。働いている時より体を動かしているし頭も回している。
朝起きてまず洗濯機を回す。ここ2,3日は寝坊をしてしまっているが(何しろ疲れて6時7時に目を覚ませない)、洗濯物を干し、午前中は毎日祖母の生前整理の手足となる。今日は三段重ねの衣装ケース一個と、ウールの着物や反物の入った箱を一つやっつけ

もっとみる

死にたいと言う気持ち

祖母は抗がん剤を打ったその日から2,3日は非常に調子がいい。
食欲もあるし、何かと積極的にやろうとするし、何より明るい。孫ながらうちのばあさんは可愛らしいなと思う。
がしかし、副作用がおおよそ3日後ぐらいに現れる。すなわち発熱だ。そうなると食欲も落ちるし、彼女の気分も落ち込む。
「ああ、死にたい、死にたいわぁ」とぼやく。

伯母(祖父母の面倒をみると言って毎月乗りこんで来ている)は自他共に認めるマ

もっとみる

暇だからできること

一応、現在職を失った身分ではあるのだが、なぜか仕事をしていた時より一日中あくせく働いている。

今日はちょっと寝坊してしまったが8時前には起きて、洗濯物を干し、ご飯を食べて洗い物をし、昨日祖母に頼まれていた物置部屋の一角の整理に取り掛かる。何年開けずに放置されているのか最早誰にもわからない箱が、四畳半に山と積まれていた。これでも、祖母が病気になる前はダンボールのグランドキャニオンだったのが少しずつ

もっとみる

コンクリートのゆりかごに揺られて

夏の夜空は冬のそれと違って、青が強い気がする。
冬の夜空が漆黒、あるいは限りなく黒に近い濃紺ならば、今夜の夜空はまさしく紺碧の空だった。そこに小さなガラスビーズをひと粒ふた粒落としたかのように、白銀にちらちら光る星が、何とも言えずきれいだな、と思った。
そして南東の空の少し低いところに、赤銅色というよりは琥珀色に一際目立つ一つ星。そう言えば火星が接近しているんだっけと思い出す。
夏の夜空は湿気のた

もっとみる

大好きだった祖母、大嫌いな祖母

小さい頃から母方の祖母が大好きだ。
しっかりしていて何でもきびきびこなす。私の最大の理解者。怒ったりなんかしないでいつでも私に優しい。
そう信じていたからこそ、あの夜祖母を頼り、今こうして一緒に暮らしている。

けれど、私が二十数年信じ続けていたそれが、間違いだったことにしばらくして気づく。
まずは日頃の生活態度。実家にいる頃家族みんながしていただらしなさはもう許されるものではなかった。休みの日に

もっとみる