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福祉の仕事

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仕事中に気づいた発見や喜びを書いています。
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2023年3月の記事一覧

ハンドメイドマルシェに行く

ハンドメイドマルシェに行く

手作り雑貨のイベントや地域のイベントに顔を出すのは
個人的に好きなのもあるし
半分仕事も兼ねている。

他のお店の販売物やディスプレイは発見の連続だ。

 
先日行ったイベントでは
その日つけていたネックレスを作った人も出店していて
私を見てとても感動していた。

 
私がつけていたネックレスは
約半年前に新作として販売されていたものだし
買った場所はそこから片道一時間以上離れている。

作家さん

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小さな嘘と涙

小さな嘘と涙

コロナ禍になる前は毎年
とあるお店のおひな様を見に来ていた。

ひな祭りの時期だけ一般公開されるのだ。

 
古く、珍しく、美しいそのおひな様を見ていると
お店の方がお茶を出してくれて
お茶を飲みながらおしゃべりをする。

 
お店の方は私が何年何回通っても私を覚えておらず
毎回同じような話をする。

 
それが私の毎年の過ごし方だった。

 
 
コロナ禍により
3年ぶりの再開となった。

この

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転職して三年目突入

転職して三年目突入

私は障害者施設で働いている。

今の施設に転職し
ちょうど二年が経った。

 
二年と言うと「まだ二年」
そう感じる人もいるかもしれないが
私にとってはようやく二年経った気がする。

日々の過ぎていくスピードはやたら早いのに
年数を数えるとさほど年月が経っていないことが分かる。

 
幼い頃から結婚よりも好きなことを仕事にすることが夢だった私は
大学で臨床心理学を学び
専門学校で社会福祉を学び

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別グループでポスティングに行った人

別グループでポスティングに行った人

その日のポスティングは
利用者AさんとBさんと一緒だった。

 
私はAさんに担当のチラシとユニフォーム、名札を渡した。
Aさんは嬉しそうに受け取った。Aさんはポスティング作業が好きなのだ。

 
Bさんは「ポスティングに行きたくない。」と不穏だった。
物を投げ、蹴り、叩き
気持ちがなかなか切り替わらなかった。

 
ハァ、とため息を吐きたくなる。

Bさんの朝の送迎時も
不穏な状態で大変だったの

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病院で思い出す

病院で思い出す

その病院の前を通ったのはたまたまとしか言いようがない。

その病院を見た時
もう今から5年以上前なのに
ハッキリと浮かんだ。

 
この病院は元担当利用者が亡くなった場所だ。

最期に会ったあの日が浮かぶ。
弱々しく小さな体になっていたのに
ひどくビックリした記憶がある。

 
年々歩き方がおぼつかなくなり
理解度も減っていったけど
私を見るといつも笑顔でかわいかった。

かわいかったなぁ。

 

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パソコンの台数と残業ルール

パソコンの台数と残業ルール

私の施設はパソコンの台数が限られている。
そもそも一人一人にデスクがない。

私はそれに驚いた。

 
前の職場は正職員には一人一台パソコンだったし
事務職の方はパートだろうとパソコンがあった。

 
デスクがみんなで一つなのにも
パソコンが一人一台ではないことも
私には衝撃だったのだ。

 
正職員でパソコン(デスクトップ)をたくさんするのは私とリーダーで
私達は相手がやらない時にやったし
相手

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移転までカウントダウン

移転までカウントダウン

ポスティング作業をしている時
近隣の方とすれ違う時は
どちらからともなく挨拶をする。

 
場合によっては話しかけられる。

「こんにちは。いい天気ですね。」

そんな何気ない挨拶。

 
「気をつけていってらっしゃい。」

の労いの言葉。

 
それはこの地域が優しいからだと思っていた。

 
移転することが決まり
私は利用者と
移転先の地域に引っ越しのお知らせを配りに行った。

 
私は三日間

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自閉症の僕が跳びはねる理由・他/東田直樹

自閉症の僕が跳びはねる理由・他/東田直樹

以前、前の職場の施設長から薦められ、内容が気になったので購入。

 
とても珍しい、自閉症の方自身が書いたエッセイなのだが、目から鱗と言うか、読んでいてハッとすることがとても多い。

 
以前NHKに出演したらしいので、YouTubeで動画も見たのだが、作者の東田さんはこんな文章が書けるの!?と目を疑うような重度の自閉症だった。
会話ができない方が流暢な文章を書けているのだ。

ビックリした。
 

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移転前最後の買い物

移転前最後の買い物

私の職場はもうすぐで移転する。

毎週月曜日はお昼を買いに行く日なのだが
その日は今の建物で最後に行う買い物だった。

 
普段は徒歩で近隣のスーパーに行くが
挨拶がてら最後は
たまにしか行かない大型スーパーに買いに行くことにした。

 
その日は朝から雨だった。

普段は歩きで行くが
雨の日は車で行く。

 
「なぁなぁ、あそこに風船あんだよ。」

 
車内で利用者Aさんが話しかける。
その方は

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移転前、移転先での出来事

移転前、移転先での出来事

私は利用者と一緒に引っ越しのお知らせを配るように言われた。

先日、近隣の地域に引っ越しのお知らせを配った。
今度は施設移転先の地域に配る。

 
私は利用者と手分けをして配った。
何人か住人の方にも挨拶した。

 
「ご苦労様です。気をつけて。」
「お疲れ様です。読ませていただきますね。」
「もう引っ越ししてきたの?」

 
そんな風に気さくに話しかけてくれて
私は涙が込み上げた。

 
障害者

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移転先の下見

移転先の下見

職員会議の日は利用者が来ていない。

だからその日、会議の後
職員みんなで移転先の施設に行った。

 
その日来ていた女性職員みんなで車に乗り込む。
なんだか女子会みたいで楽しい。
キャッキャしながら駐車場に着き、少し歩いて移転先の建物に向かう。

 
私はギョッとした。
ずっと隣の建物が移転先だと思っていたからだ。

 
一人恥ずかしくなりながら、気を新たに建物の中に入る。

外観も中もあたたか

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パンをフォークで食べる

パンをフォークで食べる

潔癖気味な利用者がいる。

 
コロナ禍になり、潔癖になったらしい。
至る所にコロナ菌がついているのではないかと心配になり
しょっちゅう手を洗い、消毒をしている。

それだけではなく
自分の私物を誰かに触られないように持ち歩く姿もあるし
ポスティング作業時も人の家のポストに触れず
手以外で開けていた。

 
 
ある日、給食にパンが出た。
私の職場はパンが年に1回2回くらいしか給食に出ないからレア

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昼食はカマ

昼食はカマ

私の職場の施設では
毎週一回、スーパーやコンビニに行き、昼食を買っている。

予算は600円だ。
コンビニでの買い物はものによっては厳しい。

 
以前、ある利用者がさんまを一尾買って丸ごと食べた時は驚いたが
それから一ヶ月もしない内にカマを買った。カマである。

なかなか個性的な昼食だ。

 
その利用者はムシャムシャと心底美味しそうに食べた。
ペロリと平らげた。

 
私はカマを食べたことがな

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今年度最後の販売

今年度最後の販売

私は障害者福祉施設で働いている。

私の施設ではアクセサリーなどを作り、販売している。

 
今年初めての販売場所は
まだできて半年も経っていない新しい場所だった。

 
そこで福祉施設の全国大会があるらしい。
研究を発表したり、それを聞いたりするようだ。

 
新しい場所で分かりにくかったので私は下見に行き
その後、利用者2人と出掛けた。
本来は3人の予定だったが、1人都合が悪くなってしまった。

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