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雨の日の美術館XⅥ

雨の日の美術館XⅥ

2017年11月19日(日)、ミノルと早紀江XII

 ミノルの部屋に着いたけど、お姫様抱っこはしてくれなかった。たった、1回のサービスなのかよ?まあ、良いんだけどね。なんか、どっと疲れた。金曜の12時近くに出会って、怒涛の如く土曜、日曜と同棲、婚約、結婚まで進む私の人生って何?それで明日は婚約指輪を買いに行く。オホホホホ。

 これ、口がムズムズする。誰かに話したい。学校で話したい。いや、それダメでしょ?金曜に出会って、2日間で両親に同棲と結婚の許可を取りました、なんて誰が信用する?美香さんには言っちゃったけどね。あくまで6ヶ月前に出会って、処女をなくしたのは11月!

「早紀江、玄関で突っ立ってないで、早く着替えなよ」
「ハーイ」私はミノルが脱いだジャケットをハンガーにかける。
「さってと・・・」

「ねえ、あなた、お帰りなさいませ。お風呂にしますか?お食事?それともわたくし?」
「まだ、やるの?女子高校生の若妻はしょうがないなあ」
「おおお!」
「なに?また、ジーンとなったの?」
「女子高校生の若妻だって!!『妻』とあなたは言ったよ!」
「ぼくは早紀江をどう呼べば良いんだ?」
「え~っとね、早紀江、サキ、キミ、お前、おい?・・・どれにしよう?」
「今まで通り、早紀江、キミ、でいいでしょ?」

「今まで誰も呼ばなかった表現がよい」
「わかんないよ」
「あ!そうだ!私を『ロゥリィ』と呼んで!」
「ロゥリィ・マーキュリー?」
「うん」
「それ日本人に無理だよ、面倒。舌を噛む」
「どうして?」
「ロゥリィは『Rolly』だから、『R』と『L』の発音が混在する」
「ほほぉ、ミノルさん、知的なご返答ですね!」

「だからさ、キミがお腹が減っているとして、食事 👉 お風呂 👉 わたくし、この順番にしようよ」
「動物に餌をあげないで下さい!」
「じゃあ、お風呂 👉 わたくし?」
「う~ん、ちょっと食べよっかな?」
「健康的で結構だ」

「変だね?ムカついたから赤飯とシュウマイをいっぱい食べたのに?」
「餃子も十個くらい食べてたよ」
「見てたの?」
「ああ」
「太るぅ~、ミノルと一緒だと太るぅ~」
「じゃあ、ダイエットするんだね?」
「明日からにする。なにか食べる!」
「じゃあ、面倒だから焼きそばにしよう」

 ミノルが腕まくりしてキッチンに行った。私もついていく。インスタントかと思ったら冷蔵庫から生ソバとソースを取り出した。冷凍庫からタッパに分けてある豚バラ、ジップロックに入ったざく切りキャベツとピーマン。

 豚バラとキャベツをレンジで解凍。90秒?なんで90秒?

 生ソバの袋をパンと叩いてほぐして、熱してオイルを適当に入れたフライパンに。電気ケトルのスイッチを入れた。

「早紀江、白いお皿を2枚出して」「ハーイ」

 ソバを炒めてる。炒まったら皿に移した。今度はレンジから豚バラを出してきてまた炒めた。炒めたソバとキャベツとピーマンを投入。ケトルからフライパンにお湯をちょっと入れて蓋をした。サッサと混ぜてソースを加えた。

「早紀江、冷蔵庫に青のりと紅生姜があるから持ってきて」「ハーイ」

 ソバを皿に盛り付けて、青のりと紅生姜を合わせた。

 できた。十分とかかってない!キューピー3分クッキングかよ!

 お皿をテーブルに持っていくと、ネギの浮いた中華スープをミノルが持ってきた。いつ作ったの!

「さあ、食べよう!」
「う~」食べた。うまい。「う~」
「何をうなっているの?」
「だってさ、ミノルといい、女将さんといい、魔法のようにすぐ料理がでてくるんだよ!」
「ああ、食材を準備していれば簡単だよ」
「う~、早紀江にはできない!」
「教えてあげるよ。1週間の食材の仕込みを一緒にしよう。そうすれば手間が省ける」
「う~、今のところ、私がミノルに提供できるのは女子高生のこの体しかない!」
「ああ、今のところ、ぼくにはそれだけでいい。女子高生の体に溺れた公務員なんだから」
「なんか悔しい!」
「もういいの?お腹いっぱいなの?」
「いいえ、全部食べます。おいしいです・・・」

 悔しい。彼の手際が良いのが悔しい。だいたいさ、オイルも塩も胡椒もソースだって計量スプーンは使わないし、レンジの設定だって見ないで適当にセット。味見もしない。なんなの?これは花嫁修業しないと立派な学生専業主婦になれないじゃん!!これでは体を提供するだけになってしまう!それも感じすぎて逝ってしまうから四十八手もダメじゃん!

「料理教室に行こうかしら?」
「え?なんで?」
「だって、旦那様より料理が下手なのは悔しい!」
「ふ~ん。別に気にしなくてもいいじゃないか?」
「料理もダメだし、ベッドも四十八手は感じすぎてできない!」
「いや、もうさ、早紀江のアンアンもだえてくれるだけでぼくは幸せだよ」
「く、悔しい!」

「それなら、分銅屋で女将さんから習えばいいんだよ。ぼくが遅くなって、早紀江の学校が早く終わったら、分銅屋に行って仕込みから手伝えばいいんだ」
「おおお!それはいい考えかもしれない!」
「明日、電話してお願いしてみよう」
「今の居酒屋のアルバイトもお願いして代わりが見つかったら止めようか?」
「ああ、そうしなさい」

 最初はミノルを振り回していたつもりだったのに、だんだん彼のペースになっているのが悔しい。『ああ、そうしなさい』だって!フンだ!

 後片付けをして、シャワーを二人で浴びた。お風呂は面倒。ムカついたのでミノルを触ってやらなかったが、こいつ、気にしないじゃない!触ってもくれないし!ムカつく。

 ベッドに入ると、ミノルがタブレットを持って横に転がった。「ねえ、早紀江、婚約指輪の検索したんだけどさ、見てみる」おっと。私のムカつきはどこに飛んでいってしまったのだろうか?「見る見る」我ながら現金なヤツだ。

「ねえねえ、婚約指輪と結婚指輪ってさ、婚約指輪の方が高いんだ!」
「そうみたいだね」
「どう使い分けるんだろう?」
「人それぞれだけど、結婚指輪は常用でいつも身につけていて、婚約指輪は結婚式とかのハレの日につけるとぼくは思うけど」
「そうか。あれ?婚約指輪は女性だけ?」
「プロポーズして結婚の約束、婚約の証で男性が女性に送る、って書いてあるよ」

「ミノル、高そうだよ。大丈夫?」
「平均だと30~39万円って書いてあるね」
「私、おもちゃ屋の指輪でいい!ミノルに悪い!」
「心配しなくても30万円や40万円ってどうってことないから」
「無駄遣いはダメ!貯金するの!大学の学費だって出す出すって言ったんだから!」
「貯金、あるよ」

「公務員でしょ?23歳で入りたての公務員は『はっきゅう』なのよ!」
「薄給?まあそうだけど、心配するな。株で多少儲かってるから。あとでいくら持ってるか説明してあげる。だから、婚約指輪も結婚指輪も学費も結婚式も出せるよ」
「おおお!私の夫は若いのにお金持ちだったの!!」
「お金持ちってほどじゃないけどね」

「私、土曜日の早朝、なぁ~んにも知らないで、結婚してよ、もらってよって言ったけど、実は宝くじの当たり券を引き当てたのね!」
「変な表現!」
「少なくとも宝くじを手に取っても当たり券だとは知らなかったんで、それ目当てじゃなかったけど、実は当たっていた、とっても幸せ、ってことです」
「ぼくも、アンアン感じる女子高校生の婚約者ができたので、とっても幸せです」
「まあ、私に提供できるのはこの感じやすい体だけだもんね」

「でもさあ、考えても見ろよ、早紀江」
「なに?」
「早紀江は18歳。ぼくは23歳だろ?年齢差じゃなくて、現在の年齢での結婚って、早紀江の高校の若手の教師が生徒をたぶらかしたって状態じゃないか?」
「そうだね。そうか!私の高校にも23歳のなりたての数学の先生がいて、同級生がキャーキャー言っているけど、その先生が生徒に手をつけたというのと同じなのか!」
「そう考えると、ちょっと不純だね」
「でも、処女はあげましたが、即、私の両親には了解をもらったので、不純でも何でもありません!」
「忘れないでね?処女をもらったのは11月という嘘で、了解は今月。即じゃなくて、1ヶ月後!」
「あら?」

「教師でなくてよかったよ。教師だったら叩かれるだろうね?炎上するね?」
「変だね、年齢で言えば同じなのにね?」
「そういえば、尾崎先輩は32歳だから美香さんと7歳差なんだよな。2歳、勝ったな!」
「そういう話?」

「ねえ、同棲と婚約と結婚の話、これ私の高校で内緒にしておく?」
「ぼくは身上調査書に書かなきゃいけないし、尾崎先輩もご存知だ。ぼくの職場には公表する。女子高生をたぶらかした不純な公務員と叩かれるだろうけど。でも、早紀江だって、学校に住所変更をしなければいけないだろ?半年前からの付き合いです!って嘘はそのままにして公表すればいいんじゃないか?なんなら愛子おばさんに学校に行ってもらって説明してもらえばいいんじゃないの?」
「ジーーーーーーン」
「今度はなんだ?」
「私の夫はなんと知恵の回るお方でしょうかって、ジーン」

 おおお!なんとジグソーパズルが次々とはまっていくことよ!すごいね!これは私にできることを可能な限りサービスしないといけません!起き上がって正座した。

「おっと、今度は?」
「ハイ、旦那様。ここまで次々とジグソーパズルが合わさってしまうとですね、私としてはできうる限りのご奉仕を旦那様にいたしたく」とお辞儀した。「それで、かくなる上は、せめてフェラチオとかシックスナインでご奉仕させていただきたく」
「四十八手は諦めたんじゃないの?」
「いえいえ、ただ愛撫されてアンアンしているだけではマズイと。フェラだったらアンアンしないから、大丈夫でしょ?」
「したことないくせに」
「AVで見ました!簡単そうです!」

 ほら、脱いで脱いでとミノルのパジャマのズボンを下ろした。「今晩するの?」とかミノルが言うので「昨日の晩は寝ちゃったもん!」と答えた。パンツを脱がしながら、「ねえねえ、世界の若いカップルの半数は彼氏が彼女にこうしてフェラさせてるんだろうね?」「あのね、パンツを下ろされてマヌケな姿だけど、だいたいね、フェラさせてるんじゃなくて、フェラしたいと言ったのはキミ!」「あら?そうだったっけ?」

 おおお!口ほどもなくおっきくなってるじゃないの!早紀江が欲しいんだね?って、私は中川翔子か!オタクか!

 どうするんだろうね?これ?お口に入るかね?まあ、根元を握って。擦ってみる。おっと、育ってきた!硬いね?AVでは先っぽをまず舐めていたから・・・イヤラシイ小説だと男のムンムンする生臭い匂いがって書いてあったけど、シャワー浴びたんで石鹸の匂いしかしませんね?お口に含んでみよう!

 映画では噛まないようにとか言ってたね?歯をたてちゃいけない。お口の中で舌ですっぽりとくるむといいのかな?おお、気持ちいいのね?腰をちょっと突き上げてる。よしよし。もうちょっと喉の奥の方まで?あら?意外といっぱい含めるじゃないですか?映画だとこれで前後にカポカポしてたっけ?これって、結構ヨダレが出ちゃうんだね?

「さ、早紀江、気持ちがいい」って言われてもこっちは答えられません!うんうんうなずく。映画だと数分で出ちゃうけど、あれ?出ないじゃん!ゴックンしてみたいのに。どんなお味なんだろ?

 おいおい、なんか、私の体の方向を変えようとしてません?お尻を自分の顔の方に向けようとしてませんか?ミノルのTシャツを着ているだけだから、パンティー丸見えじゃん!こら、パンティーの上から縦に指を動かすんじゃない!ア!ダメじゃん!感じちゃって息苦しい!思わず口から離しちゃったよ。

「アン、ア!ミノル、ダメだよ。フェラできないじゃないの!」
「え~、攻められるだけってさ」
「大人しくしててよ。出るまでやるわよ」
「え~、お口に出すの?」
「ハイ、出してもらって飲みます!どんな味か飲んでみたい!」
「やれやれ」

 ・・・おいしくなかった。なんか苦い。ヤマト糊じゃないのね?でも、頑張ってゴックンした。

「早紀江、ほんとに飲んじゃったの?」と聞くから、口を開けて舌を出した。

「飲んだ。まずい」
「まあ、不味いんだろうね。でも、ありがとう。これからは飲まなくていいからね」
「イヤです。何度でも飲みます!」

 私はミノルの横に転がった。キスしてやった。口の中の残りを彼の口に舌で押し込んだ。「ほら、不味いでしょ?」「・・・早紀江・・・不味いね・・・」「そうでしょ?」

「早紀江のはおいしいのにな」
「ちょっと待って!私の、飲んだの?知らなかった!」
「溢れていたから啜った」
「ああ、なんてこと!」
「塩辛かったけど、これよりもいい味だった」

「この準国家公務員の変態!女子高校生の溢れたものを啜る変態!」
「普通の男女だったらするでしょ?」
「あ!他の女のも舐めたのね?舐めたんでしょ!啜ったんでしょ?」
「いや、だから付き合っている男女はするって」
「なんか、また悔しくなってきた!」

 ミノルは、まあまあ、とか言って、誤魔化して私のパンツを脱がしてしまう。あれ、フェラしていただけで濡れてるぞ、前戯いらないね?とか言いやがって・・・挿れられた・・・奥まで・・・悔しいのがどっかに行ってしまった・・・誤魔化された!あ~あ。

 敵は1回しゃせーしているので長持ちしてる。昨日、気づいたけどミノルは早漏じゃないんだね。AVでは30分で終わるのに、1時間くらいもてあそばれた。

 昨日と違って、横からとか後ろからとか、たいいってのを変えてくる。あら?当たるところが違うと感じ方も違うのね?なんか、2日目にしてミノルに女子高生の体を開発されている。アンアンし過ぎて、また失神したじゃないの!

 息も絶えだえになった。ミノルも私の横に転がった。「あなた、ハァハァ、私に無断で四十八手、何種類か試したわね!ハァハァ、あの後ろからおっぱいとクリとあそこと同時に攻めるの止めて!私、本当に死にます!」

 そこで、ミノルのスマホが鳴った。今度は何?

「あ!昨日のアラーム、解除してなかった。早紀江、おめでとう!これでぼくらは48時間経過しました」
「ハァハァ・・・たったの48時間?!2ヶ月は経ってない?」
「たったの2日間だけです」
「私、年取った気がする・・・」
「大人になったんだよ。奥様」
「ジーーーーーーーーーン」

2017年11月20日(月)、ミノルと早紀江XIII

 スマートウォッチのアラームをバイブだけにして午前5時にセットしておいた。そぉっと起きる。ミノルはまだ寝ている。寝ていると可愛いのに、私の上におおいかぶさっている時は可愛くない。一方的に虐められている。いやじゃないけど。

 さあ、今日こそは朝食を作るのだ。昨晩、冷蔵庫と冷凍庫の中はチェックしたので、よし、オムレツを作る。コーヒーはミノルが夜セットしているので、スィッチを入れるだけ。彼はトースターを持っていない。電子オーブンレンジでパンを焼く。蓋を開けると各種モードが書いてあるのでこりゃ簡単だ。バターわっと、発酵バター?だいたい昨日観察してあるので、食器とか場所はわかった。

 オムレツは、私は青唐辛子を入れたいところだけど、それはない。今度買ってこないと。玉ねぎとピーマンとハムを刻んで卵に混ぜる。変形スパニッシュオムレツ。スープは・・・なんだ、インスタントもあるじゃん。手抜きでそれを使おう。

 トーストはバターをたっぷりつける。マツコほどじゃないけどかなりタップリ。よし!できた!25分!ミノルだったら15分だろうが、まあいいや。今度は和食を作ってやるんだ!

 ベッドに行って「あなた、朝ですよぉ~、おはよう、チュッ」とベタなことをしようとしたら、ミノルはパチっと目を開いた。「おはよう。オムレツだね?」とか言う。知ってたの?起きてたの?「ああ、5時にキミが起きただろう。朝食は任せようと思ってさ」と抱き寄せられてほっぺたにキスされた。あ!また、ジーンとした。ベッドに入り込もうとしたら起き上がって逃げられた。チェッ!

 バタバタしたけど、だんだん慣れてきた。例えば、二人でシャワーするとか、髪を乾かすとか。「化粧台、買わなきゃな」とミノルが言う。

 へへへ、化粧台買わなきゃだってさ。へへへ。

 7時きっかりに部屋を出た。ミノルの腕にしがみつく。ミノルは、今日は立川に行って、それから市ヶ谷の防衛省に行き、それで部屋に戻ると言う。だから、彼は東京メトロで西日暮里まで行って、山手線で新宿、中央線で立川。私は時間があるから、東京メトロで上野、JRで大宮まで行くことにした。

 なんか新鮮!でも、近所の人たちが私たちをジロジロ見ていた。まあ、そうでしょう、そうでしょうとも。一人暮らしの会社員が、部屋から制服姿の女子高校生と手をつないで出社するんだから。

 わたしわぁ、このひとにぃ、かんきんされてぇ、りょうじょくされたんですぅ~!!!って叫んだらどうなるんだろうか?

 って、ミノルは「おはようございま~す」とか卒がなく挨拶してる。私はちょっと下を向いた。恥ずかしくなる。

 おっと分別ゴミの日とかミノルに聞いておかないとね。エライね、私は。だんだん若奥様の発想になってきてるじゃん!

 朝、ミノルの部屋から叔母様に昨日のことを報告した。へぇ~、お兄さんがはしゃいでた?どんちゃん騒ぎ?ご近所さんも親戚も来たの?お赤飯!なんて喜んでくれた。

 同棲オッケーなんて、私たちの頃だったら破門って言われたものねえ、と言う。それでミノルに言われた住所変更に叔母様が保証して学校に連絡して欲しいというのを頼むと快く承諾してくれた。学校では親代わりなので叔母様のことは先生方は知っているのだ。今日にでも行こうか?と言う。ええ~、もう今日?

 ウチの学校は3年生の前期でほとんどの必修単位は終わってしまって、後は受験コースなのだ。私は推薦の1次も通っているので、曜日によるが午後は暇になる。叔母様に担任の予定を聞いて、3時頃どうだろう?連絡しますと伝えた。

 ちょうど担任の上田女史も予定が空いていたので3時にアポを入れた。叔母様、力を入れたのか、かなり服装が派手。叔母様が折り入ってのご相談、なんて言うので応接室に通された。

 叔母様は、私の説明した6ヶ月前からなんて話、ミノルの話(遠藤家のお婿さんとか言ってる、さすが遠藤家、いい加減)、結納は卒業前だが式は卒業後にとか、ミノルと同じだよぉ。話がだんだん脚色されていく。なんなのですかね?これは。

 上田先生は「もう昭和・平成じゃありませんから、よろしいんじゃありませんか。むしろ、早紀江ちゃんに私は先を越されちゃったわよ。羨ましいわ」なんて言う。上田女史は27歳なのだ。「早紀江ちゃんも18歳で、もう両親に公認ということなら同棲だって学校として問題ではありません。学業に差し支えなければ結構ですよ。早紀江ちゃんは、必修単位もほぼ終わっていて、推薦1次も通っていますし、後は面接、試験だけすから」

「まあまあ、上田先生、ご理解いただきありがとうございます」と叔母様。

「上田先生、このこと、みんなにはどうしましょうか?」と私は聞いた。
「そうねえ、当校の教師と生徒の話でもなく、ご両親、ご親戚の了解もあるのだから、いずれみんな知ることだし、公にしてもいいんじゃないの?教頭、校長に報告しておきますが、構わないと私は思うわ」
「先生、ありがとうございます」
「まったく、早紀江ちゃんみたいな浮いた噂もない子が婚約、結婚だなんて信じられないわ」
「上田先生、私も心配していたんですよ。男子と付き合ったという話も聞いていませんし。それが急にで、私もビックリです」叔母様、先生、スミマセン。今朝までアンアンしていたんです。ゴメンナサイ。

「じゃあ、事情はわかりました。早紀江さん、おめでとうございます。幸せになってね」ハイ、もう十分幸せです、先生。

 私も今日はもう用事もないので、叔母様と一緒に帰ることにした。喫茶店によった。

 叔母様が「お兄さんも丸くなったんだか、なんだか、よく許したね。ビックリした。それとも、黙っていられて妊娠してデキ婚なんて自分の妹のことを思い出したのかしら?」

「遠藤くん、遠藤くんて息子みたいに言ってたわ。それでお父さんもお母さんもミノルも私をおいて、勝手に結納とか、結婚とか話を進めてるんです。ひどいよねえ?」
「まあまあ、いいじゃありませんか。じゃあ、これで住所変更して、私がハンコを押せばいいわけね?」
「お手数をおかけします」
「居酒屋のバイトはどうするの?」
「それがね、私、料理がミノルよりも下手なんで、居酒屋のバイトは代わりが見つかったら止めて、料理を習います。ミノルの懇意の小料理屋さんの女将さんのところへ修行にでます」
「あらあら、ちゃんと考えてるじゃない」

「あの、それでね、叔母様、今日はミノルが残業しないで早く帰るから、銀座に婚約指輪を買いに行こうと言われてます」
「フットワークいいじゃない?考えるより行動って、早紀江ちゃんと同じね」
「ハイ、なんか叔母様がミノルを振り回すなって言われてましたが、私が振り回されてます。部屋の鍵もいただきました」
「いいわねえ。羨ましいわよ」

「ねえ、叔母様、低用量ピルって、何?」
「あなた、知らないの?低用量ピルは、避妊効果もあるんだけど、生理痛や、月経前症候群を低減するのよ。普通のピルと同じ。避妊効果も99%あるの。だから、生理が重い人も服用するの。私も飲んでる」
「ほほぉ」
「避妊目的だと保険適用外になるから、産婦人科のお医者さんに生理が重くてって言えば保険適用のピルを処方してくれるわよ。私のお医者さんを紹介してあげるわ。姪っ子が生理が重くてぇ~って言っておく」
「ありがとうございます」

「早紀江ちゃんはそういうところは抜けてるのね?遠藤くんにもらってもらえて良かったわ。もう私は姪っ子の結婚の心配も要らないんだから」
「ハイ、自分でも幸運だと思います」
「そうよ、すぐ婚約指輪とか、普通言わないもの」そりゃあ、普通、会って3日で言わないわよね?
「ハハハ、いやいや、私だけ得したみたいで・・・」

 喫茶店からミノルに電話した。市ヶ谷にいるらしい。会議が早めに終わるので適当にふけて、6時前には部屋に戻れるなんだそうだ。愛子叔母さんに時間があれば、ぼくらの部屋に来ていただいて見てもらえば、なんて言う。
 
「愛子叔母様、ミノルが時間があれば部屋に来てくださいって」「あら、いいのかしら?」「いいんだって言ってる。姪っ子がどういう場所で同棲するか見てもらったほうが安心ですって言ってます」「わかった。お伺いしますってお伝えして」「ミノル、大丈夫ですって。お茶菓子買ってお茶出しとけばいいのね?ICカード使っていいの?ハイハイ、わかりました」

 ミノルのマンションの8階の部屋に行った。ドアを開けて中を見て叔母様が驚く。「この部屋、間仕切りがないの?モダンねえと言う」ミノル、じゃなかった私たちの部屋は、ドアからバルコニーの窓まで何もない。浴室とトイレ以外仕切りなしだ。ミノルが言うには、後から間仕切りも簡単に増設できるようにはなっているってこと。子供ができたら私のアンアン声で寝られないものね。

「私の部屋の2倍はありますね。でも、ミノルが家具を置くのが嫌いなので最小限なんだって。私の部屋からベッドを持ってきて、同じベッドを買って連結してキングサイズにするって言っているの。今はこのソファーベッドなので、多少窮屈」
「お洒落ねえ。私も旧家の古い家じゃなくて、こういう部屋に住みたいなあ。早紀江ちゃん、もちろん愛は大事だけど、女は安心安全を与えてくれる男がいいのよ。あなたすっごく幸運だわ」
「でも、叔母様、私、お付き合いを承諾して、その後でミノルのことを知ったんですよ。ミノルには、宝くじを手に取って、それが当たり券だとは知らなかったし、それ目当てじゃなかったけど、実は当たっていた、とっても幸せと言いました」ゴメンね、叔母様、私が宝くじに拾われたのは、金曜日の深夜のことだったんですどね。
「あなたらしい正直な表現ね」


雨の日の美術館Ⅹ

雨の日の美術館 XI

雨の日の美術館 XII

雨の日の美術館 XIII

雨の日の美術館 XIV

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雨の日の美術館 XⅥ

雨の日の美術館XⅦ

シリーズ「雨の日の美術館」

シリーズ「北千住物語」


フランク・ロイドの作品ポータル

複数のシリーズでの投稿数が増えてきましたので、目次代わりに作成しました。


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フランク・ロイドの随筆 Essay、バックデータ

弥呼と邪馬臺國、前史(BC19,000~BC.4C)


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