ヲノサトル

作編曲家。音楽家。多摩美術大学教授。 http://www.wonosatoru.com

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マガジン

  • 映画の半分はサウンドである

    映画監督のアン・リーは「映画は映像と音の2つでできている」と断言しました。ジョージ・ルーカスは「映画体験の半分は音だ」と語っています。これらの言葉通り、サウンド(音楽や音響)が重要な役割を果たす映画を、不定期に紹介していくマガジンです。

  • 渋東ジャーナル REBOOT

    音楽家ヲノサトルが、ちょっとした思いつきなどの雑感や、過去のブログからの編集記事を不定期掲載する無料マガジンです。

  • 週刊ヲノサトル

    このマガジンは、ヲノサトルのツイッター(現・X)発言を中心に、画像やリンクや長文、プライベートな写真や公の場に書きにくい事などを追加編集して (可能な限り) 毎週日曜日に発行する、日記のような記録のような雑多な誌面の「雑誌」です。

  • 2023年に劇場で観た映画

    ヲノサトルが2023年に劇場で観た映画の備忘録です。ここ数年、サブスクリプションで観る作品の比率が多くなってきたけど、そこまで挙げたらキリがないので、劇場封切りのタイミングで観に行った作品だけを、観た順に紹介。 2024年1月の段階で、すでにオンラインやDVD、BDなどで公開されている作品も多いようです。ご鑑賞の一助となれば幸いです

  • 恐縮ですが育児中!

    未就学の男児を抱え、シングルファザーとしてワンオペ育児に奮闘していた時期に書いた、育児コラム。

記事一覧

映画の半分はサウンドである - 『ゴッドファーザー』

移民の国アメリカの裏社会=マフィアの一族を描いた大作、映画史に輝く名作として今なお評価されるこの作品。サウンドに関して言えば、本作は観ていなくてもニーノ・ロータ…

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ヲノサトル
2週間前
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映画 『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』

映画「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」を観た。 100年以上フィルムで撮影されてきた「映画」というアナログな芸術は、今やどんどんデジタル・シネマ…

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ヲノサトル
1か月前
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お土産が苦手

お土産が苦手だ。 なにせ優柔不断なので、選ぶのに迷ってしまう。旅先から持ち帰ろうにも、荷物がかさばるではないか。だからって宅配便の伝票を書いたりするのも面倒だ。…

ヲノサトル
1か月前
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夏はローマ風にやろう

毎年、夏になると思い出すのが、この本だ。 加藤和彦 - 優雅の条件 生前の加藤和彦さんと言えば、音楽に限らず様々な事にスタイリッシュな一家言ある人として有名だった…

ヲノサトル
1か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.14(2024.7.7-7.13)

/ たなばたさま / 本棚の一角 / 映画 『おかしなおかしな大冒険』 / 落とし人(おとしんちゅ) / 捨て猫と不良 / 勤労意欲を削ぐタオル / アーカイブを残す / 映像論『カ…

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ヲノサトル
2か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.13(2024.6.23-7.6)

/ 劇場は〈新しい広場〉 /ちいかわスイーツ /スーツの方に体を慣らす /ALL YOU NEED IS "FOOD" /青い時間 /映像論『ガタカ』 /模様替え /酒学校に夏が来た /映像論『情婦』…

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ヲノサトル
2か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.12 (2024.6.16-6.22)

/ 父の日のプレゼント / 違いを受け入れる / 映画『HOW TO BLOW UP』 / ポポカちゃん / ものを失くさない方法 / 傘を忘れる / 映画『マッドマックス:フュリオサ』 / 『殺…

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ヲノサトル
3か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.11 (2024.6.9-6.15)

/ ブラックベルベッツ神田でライブ / 狙ったダサさ / 値上げは続くよどこまでも / カジュアルさよりも文字組みが気になる / 時間を管理する責任 / 居酒屋さと吉「鯛の塩…

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ヲノサトル
3か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.10 (2024.6.2-6.8)

/パワポ vs.板書 / 創造という概念へのパロディ / 映画『関心領域』 / 多摩美の壁 / 映画 『ウェディング・バンケット』 / 東京でリハーサル / 京都でリハーサル / 文…

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ヲノサトル
3か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.9(2024.5.26-6.1)

/何もできない日 /好物に理由なし /演劇『ライカムで待っとく』 /演劇という「あわい」の空間 /演出のない一座 /映画『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』 /奇抜…

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ヲノサトル
4か月前

映画の半分はサウンドである - 『プライベート・ライアン』

戦争映画の名作としてあまりにも有名な本作だが、サウンド(音響)の効果的な使用という点でも秀逸な場面が多い。 まずは冒頭。連合軍の兵士を乗せた上陸用舟艇が、敵地の…

ヲノサトル
4か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.8(2024.5.19-5.25)

/居酒屋さと吉「茄子の味噌炒め」「豚肉のザーサイ炒め」 /劇団スポーツ『略式ハワイ』 /ゲームの記憶 /居酒屋さと吉「ニラチャンプルー」 /『悪は存在しない』へのモヤモ…

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ヲノサトル
4か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.7(2024.5.12-5.18)

/ガード下の名店 /映画のすばらしさとは /ポップアップ /地域とアート /天才たちの起床時間 /ラジオスターの悲劇 /大学の価値 /教養総合講座 /映像論『恋におちたシェイク…

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ヲノサトル
4か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.6 (2024.5.5-5.11)

/ 夫婦同姓って / 円盤に乗る派 『料理昇降機』 / ミューズ神に捧げる / 気づき / 時代と神様の力 / ボカロ世代の子守唄 / 居酒屋さと吉:フツーの晩酌 / バージョン…

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ヲノサトル
4か月前
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週刊ヲノサトル season5 - vol.5 (2024.4.28-5.4)

/ 自宅居酒屋フルコース / ベランダの季節 / このシーンが神すぎて溺愛してる映画 / 美大という名の魔法学校 / 笑顔で生きる / 『ザ・キンクス』 / 肉の日 / よく見てる / …

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ヲノサトル
5か月前
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映画の半分はサウンドである - 『アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~』

1984年、日本の西武球場で開催されたロックフェスの記録映像から、本作は始まる。 業界屈指のスターたちに混じって、過激に盛り上がりまくるヘヴィメタルバンド『アンヴィ…

ヲノサトル
5か月前
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映画の半分はサウンドである -  『ゴッドファーザー』

映画の半分はサウンドである - 『ゴッドファーザー』

移民の国アメリカの裏社会=マフィアの一族を描いた大作、映画史に輝く名作として今なお評価されるこの作品。サウンドに関して言えば、本作は観ていなくてもニーノ・ロータの『ゴッドファーザー 愛のテーマ』(アカデミー作曲賞ノミネート)に聞きおぼえのある方は多いだろう。

しかしここで分析したいのは「音楽」ではなく、「音響効果」の方だ。

注目したいのは、マフィア「コルレオーネ・ファミリー」の末子マイケルが、

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映画 『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』

映画 『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』

映画「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」を観た。

100年以上フィルムで撮影されてきた「映画」というアナログな芸術は、今やどんどんデジタル・シネマにとってかわられている。

それでは、アナログとデジタルにはそれぞれどんな特色があるのか? それぞれの長所短所はどんなものなのか? 何よりも、映画はこれからどういう方法に進むのか?  ── といった内容を、著名な業界人へのインタビュー

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お土産が苦手

お土産が苦手

お土産が苦手だ。

なにせ優柔不断なので、選ぶのに迷ってしまう。旅先から持ち帰ろうにも、荷物がかさばるではないか。だからって宅配便の伝票を書いたりするのも面倒だ。しかし今回、長崎の旅では、食材ぐらい買っておこうという気になった。それを口実に、帰ったら宴でも開こうと思いついたのだ。

長崎に来た。ご当地のお土産と言えばカラスミ。こういう珍味系って、値段もピンキリ。安いものは2腹2000円ぐらいで買え

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夏はローマ風にやろう

夏はローマ風にやろう

毎年、夏になると思い出すのが、この本だ。

加藤和彦 - 優雅の条件

生前の加藤和彦さんと言えば、音楽に限らず様々な事にスタイリッシュな一家言ある人として有名だった。本書は、そんな彼の視点で食事、着こなし、旅…など、ライフスタイル全般について描かれたエッセイ集だ。

この中に「夏はファッチャーモ・ロマネーラ(ローマ風にやろう)」という章があるので、引用したい。

「やせ我慢」こそが優雅の条件、と

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週刊ヲノサトル season5 - vol.14(2024.7.7-7.13)

週刊ヲノサトル season5 - vol.14(2024.7.7-7.13)

/ たなばたさま
/ 本棚の一角
/ 映画 『おかしなおかしな大冒険』
/ 落とし人(おとしんちゅ)
/ 捨て猫と不良
/ 勤労意欲を削ぐタオル
/ アーカイブを残す
/ 映像論『カプリコン・1』
/ マンガ 『パリッコの都酒伝説ファイル』
/ NDT1@愛知県芸術劇場
/ 名古屋で飲む
/ 手羽先でシメる
/ 講義で気をつけていること
/ 息子氏の質問 (久々)

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週刊ヲノサトル season5 - vol.13(2024.6.23-7.6)

週刊ヲノサトル season5 - vol.13(2024.6.23-7.6)

/ 劇場は〈新しい広場〉
/ちいかわスイーツ
/スーツの方に体を慣らす
/ALL YOU NEED IS "FOOD"
/青い時間
/映像論『ガタカ』
/模様替え
/酒学校に夏が来た
/映像論『情婦』
/映画『ホールドオーバーズ 置いてけばりのホリディ』
/豪雨だからビール

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週刊ヲノサトル season5 - vol.12 (2024.6.16-6.22)

週刊ヲノサトル season5 - vol.12 (2024.6.16-6.22)

/ 父の日のプレゼント
/ 違いを受け入れる
/ 映画『HOW TO BLOW UP』
/ ポポカちゃん
/ ものを失くさない方法
/ 傘を忘れる
/ 映画『マッドマックス:フュリオサ』
/ 『殺生塚』レポート
/ いい歳のとりかた
/ しゃべり言葉と書き言葉
/ 再びフュリオサ
/ 映像論『スティング』
/ 宵待月

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週刊ヲノサトル season5 - vol.11 (2024.6.9-6.15)

週刊ヲノサトル season5 - vol.11 (2024.6.9-6.15)

/ ブラックベルベッツ神田でライブ
/ 狙ったダサさ
/ 値上げは続くよどこまでも
/ カジュアルさよりも文字組みが気になる
/ 時間を管理する責任
/ 居酒屋さと吉「鯛の塩焼き」
/ ご存じだろうか
/ ツイッターのドグマ
/ メディア断捨離
/ 映像論『ギャラクシー・クエスト』
/ 映画『ライド・オン』
/ 演劇『火の方舟』

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週刊ヲノサトル season5 - vol.10 (2024.6.2-6.8)

週刊ヲノサトル season5 - vol.10 (2024.6.2-6.8)

/パワポ vs.板書
/ 創造という概念へのパロディ
/ 映画『関心領域』
/ 多摩美の壁
/ 映画 『ウェディング・バンケット』
/ 東京でリハーサル
/ 京都でリハーサル
/ 文明の十字路
/ 『殺生塚』本番
/ 「座組み」

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週刊ヲノサトル season5 - vol.9(2024.5.26-6.1)

週刊ヲノサトル season5 - vol.9(2024.5.26-6.1)

/何もできない日
/好物に理由なし
/演劇『ライカムで待っとく』
/演劇という「あわい」の空間
/演出のない一座
/映画『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』
/奇抜な音楽の存在理由
/あぶない刑事(と思うもの)
/映像論『グッバイ、レーニン!』
/演劇『破壊された女』
/演劇『マスターピース』
/パワポと板書
/船に乗って港を出よう

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映画の半分はサウンドである -  『プライベート・ライアン』

映画の半分はサウンドである - 『プライベート・ライアン』

戦争映画の名作としてあまりにも有名な本作だが、サウンド(音響)の効果的な使用という点でも秀逸な場面が多い。

まずは冒頭。連合軍の兵士を乗せた上陸用舟艇が、敵地の海岸に近づいていく。波音とエンジン音。船がビーチに近づき、いよいよ上陸となるが……

(※ 以下の動画には暴力シーンやグロテスクな内容が含まれます)

艇首の門扉が開いた瞬間に海岸からの猛烈な射撃が始まり、観客の目の前にいる兵士たちが、次

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週刊ヲノサトル season5 - vol.8(2024.5.19-5.25)

週刊ヲノサトル season5 - vol.8(2024.5.19-5.25)

/居酒屋さと吉「茄子の味噌炒め」「豚肉のザーサイ炒め」
/劇団スポーツ『略式ハワイ』
/ゲームの記憶
/居酒屋さと吉「ニラチャンプルー」
/『悪は存在しない』へのモヤモヤ
/30年間のタッグ
/ノボルーザの稽古
/飄々としたスタンス
/光るパーティ
/子供が好きなもの
/映像論『インファナル・アフェア』
/映画『無名』
/麺を茹でる場合の問題点
/居酒屋さと吉「揚げ物ナイト」
/カルバン・クライン

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週刊ヲノサトル season5 - vol.7(2024.5.12-5.18)

週刊ヲノサトル season5 - vol.7(2024.5.12-5.18)

/ガード下の名店
/映画のすばらしさとは
/ポップアップ
/地域とアート
/天才たちの起床時間
/ラジオスターの悲劇
/大学の価値
/教養総合講座
/映像論『恋におちたシェイクスピア』
/静岡で天ぷら

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週刊ヲノサトル season5 - vol.6 (2024.5.5-5.11)

週刊ヲノサトル season5 - vol.6 (2024.5.5-5.11)

/ 夫婦同姓って
/ 円盤に乗る派 『料理昇降機』
/ ミューズ神に捧げる
/ 気づき
/ 時代と神様の力
/ ボカロ世代の子守唄
/ 居酒屋さと吉:フツーの晩酌
/ バージョンは上げるな
/ 映像論『Wの悲劇』
/ 消えた眼鏡と飲酒界の駆け込み寺
/ 映画『悪は存在しない』
/ メキシカン・スタンドオフ愛

5月5日 (日)

■ 夫婦同姓って結婚して姓を変え、何であれ手続き苦手な自分としては、

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週刊ヲノサトル season5 - vol.5 (2024.4.28-5.4)

週刊ヲノサトル season5 - vol.5 (2024.4.28-5.4)

/ 自宅居酒屋フルコース
/ ベランダの季節
/ このシーンが神すぎて溺愛してる映画
/ 美大という名の魔法学校
/ 笑顔で生きる
/ 『ザ・キンクス』
/ 肉の日
/ よく見てる
/ 一汁三采
/ 移動の自由
/ 牛たんゲームと即興演奏
/ ガールクラッシュとバレエコア
/ 映画の半分はサウンドである
/ 写真家とモデル
/ SNSという道場
/ Aventure ft.初音ミク or Lisa

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映画の半分はサウンドである -  『アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~』

映画の半分はサウンドである - 『アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~』

1984年、日本の西武球場で開催されたロックフェスの記録映像から、本作は始まる。

業界屈指のスターたちに混じって、過激に盛り上がりまくるヘヴィメタルバンド『アンヴィル』の演奏。だが……「彼らはその後、ついに売れることはなかった」というナレーションが入り、時間は30年後に飛ぶ。

全く売れないまま地味に地元カナダの小さな町でライヴ活動を続け、アルバム十数枚を自主制作してきたアンヴィル。バンドは、放

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