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続ちょこっとひとこと

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故郷・神戸に戻り、今を綴るもまだまだヨチヨチのエッセイ集。
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2021年11月の記事一覧

おでんに温もりを感じるのは、心の原風景に触れるからかもしれない

おでんに温もりを感じるのは、心の原風景に触れるからかもしれない

冬の風物詩、おでん。

これが食卓に上ると冬を感じずにはいられない。
温かいメニューって他にもたくさんあるのに、なぜか冬らしさ断トツ。
しみじみとしたダシの旨さと控えめな甘さに、ほっこりホルモンが分泌されるのかもしれない。
そんなホルモンがあったとしてだけど。

おでんは「お田」と書き、室町時代には豆腐を焼いた〈焼き田楽〉のことを指したが、後にダシで煮込む〈煮込み田楽〉が江戸で人気となった。
関西

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東京にしがみつく必要は感じない

東京にしがみつく必要は感じない

その昔、世田谷の奥沢に住んでいた。
どこに住んでる?と訊かれて、奥沢と答えたら、あら…と言われるような高級住宅地と知ったのは、住みはじめてからのことだった。

だからといって豪勢な家に住んでいたなどという話ではない。
もちろん賃貸で、1階に大家が住む小さな木造住宅の2階に住んだのだ。
玄関は別で、外階段から直接2階に上がれるようになっていた。
1DK、とにかく狭かった。

玄関開けたら奥の部屋以外

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神戸に来たらぜひ土産にしてみてほしい

神戸に来たらぜひ土産にしてみてほしい

神戸の土産はバリエーション豊か。
渋くはいかなご釘煮や神戸牛佃煮、豚まん、灘の酒、ワイン、和菓子も角きんつばは神戸発祥だし、瓦せんべい、炭酸せんべいなどもある。

しかし神戸はなんといってもパンとスイーツの街、そっち系はいちいち列挙できないくらい数多いが、中でもオススメを一つ紹介しよう。
一番館の〈ポーム・ダムール〉だ。

一番館はショコラティエ…ではないし、チョコレートショップ…ではあるけれどな

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僕の中にも母が宿っているから

僕の中にも母が宿っているから

昨年の11/26、母が旅立った。
あれから1年、あっという間の1年。

正直、もっと母を懐かしむものと思っていた。
あの日のこと、この日のこと…と。
しかし、この1年でそうしたことは数回あったかどうか。

僕が無情なのだろうか。
いやきっと、これ以上ないくらいに母が未練を残さず旅立ったからだ。

母は小さくて細かったが、実はとても強い人だった。

僕はそんなに強いだろうか。
自らの命をたたむとき、

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接戦の多いこのシリーズに振り回されてヘトヘトになっている

接戦の多いこのシリーズに振り回されてヘトヘトになっている

なかなか大変だ。
何がって?
日本シリーズだ。

***

大してプロ野球に興味を持っているわけではなかった。
神戸のチームだったこともあってオリックスを応援する気持ちはありながらも、どこのファン?と聞かれたら、いやどこも…と答えるほどだった。
今年の6月頃までは。

万年Bクラスのオリックスが、どういうわけかその頃急に順位を上げた。
朝刊で前日の結果をドキドキしながら見るのが毎日の楽しみになった

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ようやく再会した極上のサンドイッチに当分思い残すことはない

ようやく再会した極上のサンドイッチに当分思い残すことはない

やっと行けた。
トアロードデリカテッセン。

この店については、
◆ パンと具材が極上なら、それ以上のサンドイッチなどあるはずもない
の記事に書いたが、実は休業中だったので昔の写真を引っ張り出して紹介しただけで、そのあたりの経緯は、
◆ 宣言が明けたら、まっさきに〈トアロードデリカテッセン〉へ行こう
の記事に詳しく、まさに宣言が明けるのを待っていた。
ところが、宣言が明けたその日から勤務地が変わっ

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高知のおいちゃんたちのフードコート

高知のおいちゃんたちのフードコート

高知の〈ひろめ市場〉をご存じだろうか。

ひろめ市場――なんと説明すればよいのやら。
・公式サイトには「高知の食が集う場所」
・トラベルサイトでは「高知のグルメスポット」
・僕なら「高知のおいちゃんたちのフードコート」とするかな

ひろめ市場は高知城のすぐ東にある…フードコート。
飲食店を中心に60店舗ほどがひしめき、客は思い思いの店で買った酒・アテ・軽食を所狭しと並べられたテーブルに座ってワイワ

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お酒と時間をムダにした

お酒と時間をムダにした

昨日、ちょっとした酒の席があった。
翌日が祝日だからと、皆とことん飲むような会だった。
ビールを注ぎ注がれ、場がどんどん賑やかになる。

しかし昨日僕はまったく楽しくなかった。
店を出て、次行くぞといったんは車に強引に押し込まれたが、いや帰るからと車を降りて帰った。

***

お酒は好きだ。

学生の頃はただ酔うことが楽しかった。
大人になってからはお酒と食のランデブーが楽しい。
刺身に日本酒、

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玉子天を2個、磯辺揚げを2本選んでうどんに載せた

玉子天を2個、磯辺揚げを2本選んでうどんに載せた

先日、そろそろ讃岐うどんの禁断症状が出てきたと書いた。

そう書きながらさらに自ら飯テロに遭い、どうしても食べたくて居ても立ってもいられなくなり、日曜の昨日、作って食べることにした。

***

讃岐といえば、ぶっかけ(ホントは倉敷名物だけど)。
讃岐といえば、天ぷら。

ということで息子と2人の昼食に〈ぶっかけ あつひや〉を作ることにした。
ここで復習だが、〈あつひや〉とは麺が熱く、つゆが冷たい

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人間らしく生き人類らしく生きるって、そんなに難しいことなのだろうか。

人間らしく生き人類らしく生きるって、そんなに難しいことなのだろうか。

何日か前の予告どおり、SDGsについて書こう。
ホットなテーマだけに、いったんクッションを挟むために予告したのだが、コメント欄を見ているとどうも逆に期待が高まってしまったようだ。
うむむ、ハードル高し。

ふだん1記事1000字前後を目安にしているが、結局3500字を超えた。
やすやすと削れるほど簡単なテーマではない。

予告にも書いたが、僕はSDGsには反対だ。

***

以前、大学時代の就職

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睡眠不足で頭がチクチクと痛い

睡眠不足で頭がチクチクと痛い

今朝、野暮用あって、始発の地下鉄と高速バスを乗り継いで島へ。
11月の朝5時はまだ真っ暗。

次第に水平線が白み、昇った太陽が今日の始まりを告げた。

用は3分ほどで済み、駐車場に停めた車の中で帰りのバスを1時間待つ。
あまりの寒さに思わず25℃に設定したエアコンを入れた。
誰もいない土曜早朝の駐車場、カーステレオにBluetoothで繋いだスマホから大音量で音楽を流し、身体もしっかり目覚めさせる

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あとはもう表紙しか残っていない

あとはもう表紙しか残っていない

このところなかなか本を読めていないとずっと感じていた。
出版社に勤めていた割には、その当時から周囲と比べて読書量は少なかったが、今やさらに減る一方だ。

もう少し読みたいと、電子書籍を読んでみたり図書館で漁ってみたり。
本棚にある古い本を取り出してみたりもして、ここしばらく読んでいるのは村上春樹だ。

***

村上春樹の作品との出会いは、高校の現代文の時間だった。
新米教師がプリントにして配った

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たぶんそういう使い方はアウトだろうな

たぶんそういう使い方はアウトだろうな

ドーミーインというビジネスホテルチェーンがある。

出張がちだった前職では全国でよく利用した。
ビジネスホテルとはいえコンセプトは「快適に、シンプルに〈住むホテル〉」というもので、居住性にすぐれているのだ。

たとえば、大浴場がある、無料のコインランドリーがある、ご当地メニューの朝食バイキングがある、など。
とくにコインランドリーは脱衣所にあるのがポイントで、脱いだ服を放り込んでスタートし、風呂か

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母のカレーとハイライをもう一度食べたい

母のカレーとハイライをもう一度食べたい

父はカレーが嫌いだった。

父は今も存命だし、今なおカレーが嫌いだろうから、「父はカレーが嫌いだ」が正しい。
でも、独り身になった父が自らカレーを食べるはずもなく、生前の母もあえて父にカレーをぶつけることはしなかったから、きっと父はもう長い間カレーを口にしていないはずだ。
父とカレーのぎくしゃくした関係は、僕の中でうんと過去のまま時が止まっているから、「父はカレーが嫌いだった」と過去形になる。

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