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心に留めておきたい、食に関すること。
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2023年7月の記事一覧

世界一の昆布を訪ねて羅臼へ(後編)

世界一の昆布を訪ねて羅臼へ(後編)

昆布漁の朝は早い。海が静かで白旗が上がれば漁の出航が許される合図である。6時に出航する漁師たちみんなワンオペだ、一人乗りの小さなボート浜辺近くのポイントに各々向かうのだった。使う道具もレトロだ。マッカと呼ばれる竿、そして船上から水面を見るための箱メガネ、持ち手がないので手前を歯で噛んで水中を覗きながら器用にマッカで手繰り寄せる。羅臼の昆布漁師の歯は丈夫だという。6時からの操業で10時まで、だいたい

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日本の夏に似合う素麺

日本の夏に似合う素麺

久しぶりに日本の夏を満喫している。汗だくになってから先輩経営者の奥様が作ってくださった素麺が最高だった。沖縄の皿に氷とともに泳ぐのが我らが揖保乃糸。そこに大葉とみょうがのみじん切りというシンプルイズパーフェクトなセッティングだ。高い揖保乃糸じゃなくて普通の揖保乃糸なんですと伝えられるが、揖保乃糸は本当に美味い。実はこの揖保乃糸、会社ではなくて協同組合だということを知っているだろうか?

帯には生産

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キッチンラボでの料理時間

キッチンラボでの料理時間

自宅をキッチンラボにする計画が進んでいる。パリに住むフランス人の友人のように毎年リノーベーションを重ねている。直近では20年選手だったらNATIONALマークの冷蔵庫が入れ替わり、そしてダクトも代わり、なんとコーヒーのローストマシーン用のカウンターも完備されるという進化ぶり。そして僕の愛するぬか漬け専用の冷蔵庫も完備された。このキッチンラボにはWAGYUMAFIAで必要なもののほぼすべてが揃ってい

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世界一の昆布を訪ねて羅臼へ(前編)

世界一の昆布を訪ねて羅臼へ(前編)

羅臼に来ている。どうしても見てみたかった昆布漁、突然ぽこっと空いた時間で訪れる場所を決めるのは早かった。僕がガキの時に初めて買ったのが羅臼昆布だったと思う。単純に強そうなネーミングだったというのが理由だ。そこから僕は羅臼フリークとなり、常に羅臼の昆布で出汁をとっていて、出涸らしの昆布は洗濯バサミで乾燥させて糠床の餌にしていたりこする。羅臼で昆布漁をされて55年になる井田一昭さんはこういう。大変な仕

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本当に求めらるB級グルメ

本当に求めらるB級グルメ

昨日は広島県の呉市で講演会だった。その後、地元のプロゴルファーであり親交のある田村尚之さんから、鮨料理『よしむら』さんにご招待いただいた。鮨屋というよりは和食の割烹といった印象だった。

そこで出されたのが、「がんす」という地元のB級グルメ。この料理、もともとはこの辺りで余った魚をミンチにしてパン粉をつけ、揚げたもの。エビのすり身は食パンに挟んで揚げているので、タイの揚げパンにそっくりである。

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“国宝”を食べ比べてみた

“国宝”を食べ比べてみた

昨日、『WAGYUMAFIA THE BUTCHER’S KITCHEN』で十勝ロイヤルマンガリッツァ豚の食べ比べ会を開催した。このお店は私が関与した最初の場所で、このような特別な会を開催するには非常に適した場所だ。

以前にも触れた通り、十勝ロイヤルマンガリッツァ豚は、「美食の国」とも呼ばれているハンガリーの国宝にも指定されているマンガリッツァ豚を生体輸入し、日本の地で繁殖、飼育させた豚だ。現在

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最新キッチンガジェットとツールのアップデート作業

最新キッチンガジェットとツールのアップデート作業

最近、パーシャル(?)に引っ越したということもあって、新しいキッチン家具の再選定をしている。やっていることは大したことはない、家庭ユースというくくりの中で、技術革新されているところはアップデートしてみるということ、あとはマイ定番キッチンツールの選定だ。これは僕なりにベストだと思うものを確定させるという作業になる。この微妙な選定作業が、WAGYUMAFIAのキッチンづくりにも繋がっている。

アップ

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マンガリッツァ豚カツの取説(7月18日ランチセッションゲスト用)

マンガリッツァ豚カツの取説(7月18日ランチセッションゲスト用)

今日のコラムはULTRA TONKATSUランチ通称裏マフィアに参加してくれたゲストの方々への取説的なコラムだ。食べる前、食べた後、食べることを想像して・・・読んでもらえたらと思う。

そう、コロナで出会った思い出の味である。

氷の屈足湖にサウナで火照った身体を一気に冷やすために飛び込むというフィンランドのアヴァント企画、衝撃の映像で秒速で決めて訪れたのが帯広だ。相方の堀江が1時間ほど車で南走ら

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未だに化学調味料を否定する、勉強を忘れた無知なる人々

未だに化学調味料を否定する、勉強を忘れた無知なる人々

今年もこの時期がやってきたかーと思うのが、この化学調味料論議である。以前、僕の見解は以下のコラムでまとめてある。基本的にこの議論は科学を否定している人たちのある意味、危険な宗教的な発想にあると思っていて、僕はよく自らの料理においても、この化学調味料危険説を否定している。

基本的にアミノ酸が旨味成分であるということは科学的に解明されており、この解析作業事態が日本の食生活に大きく関わっているベースか

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味わい深い一杯から広がるビジネスチャンス

味わい深い一杯から広がるビジネスチャンス

昨日は原宿にある『おすし屋さんのポークたまごおにぎり』で生配信ライブをやった。

酢飯とお寿司さんで使われている卵焼きを使った、ポークたまごは軽い口当たりでサクサクと味わうことができる。
さらに暑さも相まって、お店で提供されている『伊勢角ビール』の『HAZY IPA』というクラフトビールも試しに飲んでみた。このクラフトビールは「ドライホッピング」という手法を用いて作られており、煮沸後にある程度発酵

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家族愛溢れる中村兄弟と行くウルトラハシゴ渋谷編

家族愛溢れる中村兄弟と行くウルトラハシゴ渋谷編

久しぶりにウルトラハシゴである。

江戸っ子なちょい早時間から繰り出して、その日の気分と仲間のフィーリングで店選びをしていく。日本でしかできない究極のライブエンターテインメントツアーである、それが大人のウルトラハシゴ。今回は渋谷、そしてハシゴパートナーはラーメン界のベストブラザーこと中村兄弟だ。ラーメンの天才職人こと弟の栄利さんがニューヨークに帰国する直前ということもあって、ラストミニッツなハシゴ

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“和牛超え”1万円とんかつ定食

“和牛超え”1万円とんかつ定食

 ハンガリーの国宝にもなっている豚、ロイヤルマンガリッツァ豚。その希少な存在が日本に生体輸入され、十勝の大地でとうもろこしをはじめとする種々の贅沢な餌をたっぷりと与えられ、長期期間の肥育をされている。それが十勝ロイヤルマンガリッツァ豚だ。原種であるイノシシに近いので、子豚は瓜坊を思わせるような縞模様が特徴で、大人になると毛むくじゃらになる。

 その頭数は現在300頭にまで拡大。通常の肥育期間は6

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クッキーはベーシック

クッキーはベーシック

 手作りのクッキーを洒落た皿に載せるだけで、丁寧に暮らしているような気がする。

 クッキーはよく作る。作るのも食べるのも簡単だし、自分で作ると好きな味にできる。ナッツ類はもちろん、チョコを入れても、ドライフルーツを入れてもいい。生地を作って冷凍し、気が向いた時にそのまま焼ける利便性もある。もともとお菓子はタルトばかり作っていたが、タルトの上の部分を作るのが面倒な時など、生地の材料が一緒なので分量

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日本の大自然×中国文化

日本の大自然×中国文化

京都・二条の中華料理店『大鵬』の二代目が手掛ける自然一体型の中華料理店『田舎の大鵬』二回目の訪問。ニセコでのアドベンチャーレースで満身創痍となった身体を癒すべく、京都府・綾部市にまでやってきた。

ここでは広大な自然を背景に、地元で取れた食材を活かした料理を楽しむことができるのだが、今回は生後1.5ヶ月の子豚ちゃんの命をいただいた。

※この続きや日々更新される記事の全文は、個別購入以外にnote

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