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考察・エッセイ

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創作論に限らず、様々な諸問題についての考察。偏屈な私の考え方は、必ずしも多くの人に受け入れられるとは限りません。「こう考える人も居るんだな」と読んで頂ければ助かります。
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記事一覧

正しさの押し付けが、物語をつまらなくするのではないか? という考察

正しさの押し付けが、物語をつまらなくするのではないか? という考察

 私は去年、ついに五十を超えてしまい、自分で言うのも変ですが、だんだん説教臭くなってきました。日常会話においても、つい話が長くなってしまい、妻や子供に途中で飽きられてしまう事がよくあります。説教臭い老人にはなりたくないものですが、多くの人がそうであるように、きっと私もそうなってしまうのでしょう。それでも私は、自分の中にある熱い気持ちを人に伝えたい。そして人の話に耳を傾けて、その情熱を感じたい。文字

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障がいを抱えた子どもを育てて感じた、人と人との関係に関する考察

障がいを抱えた子どもを育てて感じた、人と人との関係に関する考察

 人間は、自分がよく知らないもの、自分とは異質なものを警戒する傾向がある。それが無害なものであったとしても、危険な驚異と捉えて遠ざけようとしてしまう。もちろん未知なるものに対する警戒心は、生物が安全に生きていく上で獲得した生存本能の一つですが、時にそれが悪く作用する場合もあります。

 実は私の子供は、先天的な心臓病を患ってこの世に生を受けました。母胎に居る頃から心臓の異常が確認されていた我が子は

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やって後悔する? やらずに後悔する? 挑戦することの意義についての考察

やって後悔する? やらずに後悔する? 挑戦することの意義についての考察

(前略)
 短編小説『おくりもの』のテーマは、10代だからこその悩みと、それを一緒に乗り越えられる仲間。そして挑戦することの意義です。
 ある日、仕事帰りの車の中でラジオを聞いていた私は、驚くべき話を耳にしました。
 そのラジオによると、「やって後悔するくらいなら、やらずに後悔した方がいい」と考える若者が、近年増えてきていると言うのです。真偽の程は定かではありませんが、曰く「やって後悔すると、多く

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変化するSNS、創作における宣伝の考察

変化するSNS、創作における宣伝の考察

はじめに
 SNSって便利な反面、人付き合いが面倒だったり、炎上が怖かったりと、リスクが高いと思いませんか? 人によって違うと思いますが、私はSNSをやるくらいなら、早く次の小説を書きたいと思ってます。私は先月からSNS(現X、旧Twitter)をほぼ見なくなり、投稿も数日に1回しかしなくなって、正直肩の荷が下りました。「そんなにSNSが面倒なら、そもそもやらなきゃ良いじゃないか」という正論が聞こ

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ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダムをクリアして思う「ゲームの面白さとは何か?」の考察

ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダムをクリアして思う「ゲームの面白さとは何か?」の考察

はじめに まず最初に言っておきたいのは、「私はゲームの評論家でも何でもない」ということです。この記事はあくまで、私の個人的な感想を書き綴ったものに過ぎません。今や星の数ほどいる小説書きの1人が、『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』という世界的人気ゲームをクリアした上で、どのような感想を抱いたのか? ただ絶賛するだけでなく、前作『ブレスオブザワイルド』の方が良かったと感じたところも含めて、思

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ファンタジー作品における多様性、および政治的妥当性(ポリティカル・コレクトネス)の考察

ファンタジー作品における多様性、および政治的妥当性(ポリティカル・コレクトネス)の考察


第一章 映像化の宿命『指輪物語』のスピンオフ作品が炎上?

 遡ること半年前。『指輪物語』の新しいドラマシリーズ『力の指輪』がAmazon Primeで配信を開始し、大きな話題を呼びました。『指輪物語』は近代文学におけるファンタジーの原点とも言える作品で、J.R.R.トールキンによって書かれた言わずと知れた超人気小説。今でも多くのファンを擁する、壮大かつ長大な物語です。これを映画化した『ロード・

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