守下 尚暉(Naoki Morishita)土曜に更新@スペインで書籍化

ライトノベル作家。 守下尚暉の作品を宣伝する為のアカウント。 カドルステイト物語とレミ…

守下 尚暉(Naoki Morishita)土曜に更新@スペインで書籍化

ライトノベル作家。 守下尚暉の作品を宣伝する為のアカウント。 カドルステイト物語とレミアの翼は、スペインで書籍化しました。 ご意見・ご感想・ご批判、いつもありがとうございます。全てに目を通して、次回作の参考にさせて頂きますが、個別のコメントには反応致しません。ご了承下さい。

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テロメニア魔導記3(連載第四回)銀色の追懐

登場人物紹介第一章 銀色の追懐  4 銀色の追懐  誰も居ない暗がりの中に、仄かなロウソクの灯りが小さく揺れている。  銀色の長い髪を横に垂らし、机に片ひじをついて本のページをめくる若者の姿が、その光の中にぼんやりと照らし出されていた。かつて多くの優秀な目覚め人を輩出してきた魔法学院。その最奥にある学院書庫は、過去の偉大な賢者達が書き記した知識の結晶とも言うべき、数多の学術書が所蔵されている。どのような分野においても、知るべき知識は大抵この書庫に眠っていると言っても、決

    • テロメニア魔導記2(連載第九回)宿屋『魔法の灯火亭』

      登場人物紹介大陸地図第二章 高楼の揺り籠  5 宿屋『魔法の灯火亭』  多くの人が行き来する噴水のある広場から、南に伸びる通りを進んだ場所に、ゼストアゼシアの中でも一際賑わいのある大きな区画がある。冒険者区画と呼ばれるこのエリアには、冒険者達に仕事を提供する冒険者ギルドの他に、武器や防具を売る店や、それを鍛えたり修復したりする鍛冶屋、そして旅に必要な食糧や消耗品を補充するのに便利な店など、多種多様な店舗が軒を連ねていた。中には、冒険者が羽根を伸ばすのに利用する賭博場や風俗

      • テロメニア魔導記3(連載第三回)ひとときの休息

        登場人物紹介第一章 銀色の追懐  3 ひとときの休息  絶え間なく水が流れる音と共に、美しいフィドルの演奏が耳を優しく撫でている。肌にまとわり付くような濃い湿気を感じるが、空気は少し暖かかった。最近すっかり冷え込んできた晩秋の寒さを凌ぐには、丁度いい心地よさである。 「……ん。ん? ここは?」  そしてカータは目を覚ました。  天井の見えない縦長の広い空間は、上に伸びる幾つものハシゴによって繋がっている。小さな焚き火に照らされているのは、段差を付けて設けられた巨大な複数

        • テロメニア魔導記3(連載第二回)決戦! シルバーゴーレム

          登場人物紹介第一章 銀色の追懐  2 決戦! シルバーゴーレム  激しい地響きを立てながら、銀の巨像が左の拳を振り上げて迫って来る。それを見たカータはタイミングを見計らって高く跳躍すると、ゴーレムの拳打が地面に突き立てられた直後、その真上に着地した。 「マーヤさん。ボクが合図したら、お願いね!」  少年はそう言って拳の甲から前腕へ、そして肘へと腕を駆け上っていくと、左肩の上に乗っているターニャに向かって銀の短剣を引き抜く。黄色いローブを纏ったその魔女は、既に呪文の詠唱に

        テロメニア魔導記3(連載第四回)銀色の追懐

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        • 新作・先行公開
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        • 小説・隔週連載
          2本
        • 考察・エッセイ
          6本
        • 宣伝・作品紹介
          6本
        • 海外展開
          6本

        記事

          正しさの押し付けが、物語をつまらなくするのではないか? という考察

           私は去年、ついに五十を超えてしまい、自分で言うのも変ですが、だんだん説教臭くなってきました。日常会話においても、つい話が長くなってしまい、妻や子供に途中で飽きられてしまう事がよくあります。説教臭い老人にはなりたくないものですが、多くの人がそうであるように、きっと私もそうなってしまうのでしょう。それでも私は、自分の中にある熱い気持ちを人に伝えたい。そして人の話に耳を傾けて、その情熱を感じたい。文字を書くのはもちろんのこと、人前でしっかり喋れて、かつ話を聞ける人間であり続けたい

          正しさの押し付けが、物語をつまらなくするのではないか? という考察

          テロメニア魔導記3(連載第一回)いざ、再びレートの塔へ

          登場人物紹介大陸地図第一章 銀色の追懐  1 いざ、再びレートの塔へ  ゼストアゼシアから伸びる長い橋を渡った先に、その塔はあった。  十二の星座を司る賢者達が、星読みによって統治を取り仕切る魔法王国テロメニアの中枢、レートの塔である。その中腹に繋がる長い橋を今、四人の冒険者達が渡っていた。 「こうしてパーティで歩いていると、なんだかドキドキするね」  先頭を歩く小柄な少年カータは、黒いフェドーラ帽を深くかぶり、藍色のコートマントを身に纏っている。そのコートはつい昨日ま

          テロメニア魔導記3(連載第一回)いざ、再びレートの塔へ

          カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』紹介文

          はじめに カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』は、本編『カドルステイト物語』のスピンオフ作品ですが、本編を読んでいなくても十分楽しめる独立した物語として書きました。実は私としては、一冊の本として非常に気に入っている作品なのですが、「外伝」と付けたのがあまり良くなかったのか、この本をいきなり手に取って読んでみよう、って人が少なかった意味で失敗でした。つまり私としては、カドルステイト物語は全7巻という長編シリーズなので全部読むのは大変だけど、1冊だけならお試しで読んでみようかな、

          カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』紹介文

          障がいを抱えた子どもを育てて感じた、人と人との関係に関する考察

           人間は、自分がよく知らないもの、自分とは異質なものを警戒する傾向がある。それが無害なものであったとしても、危険な驚異と捉えて遠ざけようとしてしまう。もちろん未知なるものに対する警戒心は、生物が安全に生きていく上で獲得した生存本能の一つですが、時にそれが悪く作用する場合もあります。  実は私の子供は、先天的な心臓病を患ってこの世に生を受けました。母胎に居る頃から心臓の異常が確認されていた我が子は、産まれてすぐに親から離されて、新生児集中治療室に移送。数日後に手術を施され、一

          障がいを抱えた子どもを育てて感じた、人と人との関係に関する考察

          カルディアナ戦記 紹介文

          はじめに 『カルディアナ戦記』は、『カドルステイト物語』の続編として書いた長編ファンタジー小説で、主に戦争を描いた全3巻で完結する戦記物です。 『カドルステイト物語』では主人公のデインが、仲間と出会ってパーティを組み、故郷を求めて世界中を旅する冒険物語を描きました。ゲームに例えると、まさにロールプレイングゲームといった趣きです。一方『カルディアナ戦記』では、『カドルステイト物語』の登場人物の1人カータを主人公に、祖父を探す旅の途中で立ち寄った国で、二国間の戦争に巻き込まれて

          レミアの翼 紹介文

          はじめに 『レミアの翼』は私が中学生の頃から構想を練り、19歳の頃に完成までこぎつけた記念すべき最初の作品で、利他的行動が巡り巡って自分に還ってくるという児童文学的な、まるで絵本のような物語です。子供も安心して読めることを目指した62,000文字の中編小説で、人が死ぬ描写は一切無く、恋愛要素も全くありません。当時、中学生向けの新聞に連載する予定の物語として創られたもののお蔵入りになった作品でしたが、紆余曲折を経て電子書籍として出版し、今ではスペインの出版社 SEKAI Edi

          スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の発売日が決定しました!

          はじめに 今朝はとてもエキサイティングな朝でした。私はもう老人体質なのか、毎朝4時から推敲しているのですが(この早朝の推敲が一番捗るんですよ)、今朝起きて見ると SNS に通知が沢山? そして見てみると、ななななんと、昨年年末にイベントで発表されたスペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』の発売日が、正式に発表されているではありませんか!  いや~、推敲どころじゃなくなりましたね!(謎)  このnote記事では、その告知を含めた私の

          スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の発売日が決定しました!

          やって後悔する? やらずに後悔する? 挑戦することの意義についての考察

          (前略)  短編小説『おくりもの』のテーマは、10代だからこその悩みと、それを一緒に乗り越えられる仲間。そして挑戦することの意義です。  ある日、仕事帰りの車の中でラジオを聞いていた私は、驚くべき話を耳にしました。  そのラジオによると、「やって後悔するくらいなら、やらずに後悔した方がいい」と考える若者が、近年増えてきていると言うのです。真偽の程は定かではありませんが、曰く「やって後悔すると、多くのものを失ってしまう。それなら、やらずに後悔した方が、何も失わずに済むのでダメー

          やって後悔する? やらずに後悔する? 挑戦することの意義についての考察

          変化するSNS、創作における宣伝の考察

          はじめに  SNSって便利な反面、人付き合いが面倒だったり、炎上が怖かったりと、リスクが高いと思いませんか? 人によって違うと思いますが、私はSNSをやるくらいなら、早く次の小説を書きたいと思ってます。私は先月からSNS(現X、旧Twitter)をほぼ見なくなり、投稿も数日に1回しかしなくなって、正直肩の荷が下りました。「そんなにSNSが面倒なら、そもそもやらなきゃ良いじゃないか」という正論が聞こえてきそうですが、内向的な私がSNSを始めたのには、れっきとした理由があります。

          テロメニア魔導記2『天空を貫く尖塔』紹介文

          はじめに 2024年1月1日。つまり新年早々に、テロメニア魔導記 第2巻『天空を貫く尖塔』をリリースしました! 第1巻『陽が昇らない峡谷』を出版してから9ヶ月。私としては仕事をしながらでも、年1冊のペースで新作を出したいと考えていたので、何とか間に合ってよかったです。ちなみに専業になったので、今年はもっとペースを上げていきます。専業と言うからにはシリーズ物だけでなく、単発の作品と合わせて読み応えのある長編を、年3冊以上は出版したい。今年も変わらぬご支援のほど、よろしくお願い致

          テロメニア魔導記2『天空を貫く尖塔』紹介文

          テロメニア魔導記1(連載第九回)レートの塔

          登場人物紹介大陸地図第三章 宵闇にうごめくもの  8 レートの塔  平坦な長い通路がどこまでも続いている。  通路は時折、左右の塔から接続する十字路と交差したが、マーヤはひたすら真っ直ぐ走り続けた。それはまるで空に架けられた橋のような連絡通路である。吹き抜ける風はとても冷たく、二人の体に突き刺さってくる。少女の額からは、止めどなく汗が吹き出していた。空中を走っているような幻想的な橋も、周囲が全て闇に覆われているせいで、その景観を楽しむ事など出来そうにない。 「マーヤさん、

          テロメニア魔導記1(連載第九回)レートの塔

          スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の表紙が公開されました!

          はじめに 昨夜はとてもエキサイティングな夜でした。と言っても、別にスポーツを観戦してた訳でも無ければ、好きな映画を鑑賞していた訳でもありません。12月8日の深夜、日付が変わったばかりの午前1時。スペイン時間で12月8日午後17時。スペイン最大の日本サブカルチャーイベント「Manga Barcelona 2023」にて、つい先週新規イラストが公開されたばかりのスペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』の発表が行われ、待ちに待った第1巻の表

          スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の表紙が公開されました!