守下 尚暉(Naoki Morishita)土曜に更新@スペインで書籍化

ライトノベル作家。 守下尚暉の作品を宣伝する為のアカウント。 カドルステイト物語とレミ…

守下 尚暉(Naoki Morishita)土曜に更新@スペインで書籍化

ライトノベル作家。 守下尚暉の作品を宣伝する為のアカウント。 カドルステイト物語とレミアの翼は、スペインで書籍化しました。 ご意見・ご感想・ご批判、いつもありがとうございます。全てに目を通して、次回作の参考にさせて頂きますが、個別のコメントには反応致しません。ご了承下さい。

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記事一覧

テロメニア魔導記3(連載第五回)ポーラの眼

登場人物紹介第二章 魔法学院の残滓  1 ポーラの眼  円を幾重にも重ねた球体が宙空に浮いている、円形かつドーム状の不思議な大広間。  その渾天儀から発せられた…

テロメニア魔導記3(連載第四回)銀色の追懐

登場人物紹介第一章 銀色の追懐  4 銀色の追懐  誰も居ない暗がりの中に、仄かなロウソクの灯りが小さく揺れている。  銀色の長い髪を横に垂らし、机に片ひじをつ…

テロメニア魔導記3(連載第三回)ひとときの休息

登場人物紹介第一章 銀色の追懐  3 ひとときの休息  絶え間なく水が流れる音と共に、美しいフィドルの演奏が耳を優しく撫でている。肌にまとわり付くような濃い湿…

テロメニア魔導記3(連載第二回)決戦! シルバーゴーレム

登場人物紹介第一章 銀色の追懐  2 決戦! シルバーゴーレム  激しい地響きを立てながら、銀の巨像が左の拳を振り上げて迫って来る。それを見たカータはタイミン…

正しさの押し付けが、物語をつまらなくするのではないか? という考察

 私は去年、ついに五十を超えてしまい、自分で言うのも変ですが、だんだん説教臭くなってきました。日常会話においても、つい話が長くなってしまい、妻や子供に途中で飽き…

テロメニア魔導記3(連載第一回)いざ、再びレートの塔へ

登場人物紹介大陸地図第一章 銀色の追懐  1 いざ、再びレートの塔へ  ゼストアゼシアから伸びる長い橋を渡った先に、その塔はあった。  十二の星座を司る賢者達が…

カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』紹介文

はじめに カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』は、本編『カドルステイト物語』のスピンオフ作品ですが、本編を読んでいなくても十分楽しめる独立した物語として書きまし…

障がいを抱えた子どもを育てて感じた、人と人との関係に関する考察

 人間は、自分がよく知らないもの、自分とは異質なものを警戒する傾向がある。それが無害なものであったとしても、危険な驚異と捉えて遠ざけようとしてしまう。もちろん未…

カルディアナ戦記 紹介文

はじめに 『カルディアナ戦記』は、『カドルステイト物語』の続編として書いた長編ファンタジー小説で、主に戦争を描いた全3巻で完結する戦記物です。 『カドルステイト…

レミアの翼 紹介文

はじめに 『レミアの翼』は私が中学生の頃から構想を練り、19歳の頃に完成までこぎつけた記念すべき最初の作品で、利他的行動が巡り巡って自分に還ってくるという児童文学…

スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の発売日が決定しました!

はじめに 今朝はとてもエキサイティングな朝でした。私はもう老人体質なのか、毎朝4時から推敲しているのですが(この早朝の推敲が一番捗るんですよ)、今朝起きて見ると …

やって後悔する? やらずに後悔する? 挑戦することの意義についての考察

(前略)  短編小説『おくりもの』のテーマは、10代だからこその悩みと、それを一緒に乗り越えられる仲間。そして挑戦することの意義です。  ある日、仕事帰りの車の中…

テロメニア魔導記2(連載第二回)いざ、レートの塔へ

登場人物紹介大陸地図第一章 天空を貫く尖塔 2 いざ、レートの塔へ  右を見ても左を見ても、巨大な塔が連なっている異様な空間。  その隙間にある長い通路は、それ…

変化するSNS、創作における宣伝の考察

はじめに  SNSって便利な反面、人付き合いが面倒だったり、炎上が怖かったりと、リスクが高いと思いませんか? 人によって違うと思いますが、私はSNSをやるくらいなら、…

テロメニア魔導記2『天空を貫く尖塔』紹介文

はじめに 2024年1月1日。つまり新年早々に、テロメニア魔導記 第2巻『天空を貫く尖塔』をリリースしました! 第1巻『陽が昇らない峡谷』を出版してから9ヶ月。私としては…

スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の表紙が公開されました!

はじめに 昨夜はとてもエキサイティングな夜でした。と言っても、別にスポーツを観戦してた訳でも無ければ、好きな映画を鑑賞していた訳でもありません。12月8日の深夜、…

テロメニア魔導記3(連載第五回)ポーラの眼

テロメニア魔導記3(連載第五回)ポーラの眼


登場人物紹介第二章 魔法学院の残滓

 1 ポーラの眼

 円を幾重にも重ねた球体が宙空に浮いている、円形かつドーム状の不思議な大広間。
 その渾天儀から発せられた光は、半球体の天井に小さな光の粒を映し出し、それがこの広間全体に無数の天体を浮かび上がらせている。壁面を渦巻き状に伸びる緩やかな坂道は、天頂に至る頃には直角に近い角度になるが、この広間を忙しそうに行き来する賢者達は、特に何の苦もなく壁

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テロメニア魔導記3(連載第四回)銀色の追懐

テロメニア魔導記3(連載第四回)銀色の追懐


登場人物紹介第一章 銀色の追懐

 4 銀色の追懐

 誰も居ない暗がりの中に、仄かなロウソクの灯りが小さく揺れている。
 銀色の長い髪を横に垂らし、机に片ひじをついて本のページをめくる若者の姿が、その光の中にぼんやりと照らし出されていた。かつて多くの優秀な目覚め人を輩出してきた魔法学院。その最奥にある学院書庫は、過去の偉大な賢者達が書き記した知識の結晶とも言うべき、数多の学術書が所蔵されている

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テロメニア魔導記3(連載第三回)ひとときの休息

テロメニア魔導記3(連載第三回)ひとときの休息


登場人物紹介第一章 銀色の追懐

 3 ひとときの休息

 絶え間なく水が流れる音と共に、美しいフィドルの演奏が耳を優しく撫でている。肌にまとわり付くような濃い湿気を感じるが、空気は少し暖かかった。最近すっかり冷え込んできた晩秋の寒さを凌ぐには、丁度いい心地よさである。
「……ん。ん? ここは?」
 そしてカータは目を覚ました。
 天井の見えない縦長の広い空間は、上に伸びる幾つものハシゴによって

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テロメニア魔導記3(連載第二回)決戦! シルバーゴーレム

テロメニア魔導記3(連載第二回)決戦! シルバーゴーレム


登場人物紹介第一章 銀色の追懐

 2 決戦! シルバーゴーレム

 激しい地響きを立てながら、銀の巨像が左の拳を振り上げて迫って来る。それを見たカータはタイミングを見計らって高く跳躍すると、ゴーレムの拳打が地面に突き立てられた直後、その真上に着地した。
「マーヤさん。ボクが合図したら、お願いね!」
 少年はそう言って拳の甲から前腕へ、そして肘へと腕を駆け上っていくと、左肩の上に乗っているターニ

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正しさの押し付けが、物語をつまらなくするのではないか? という考察

正しさの押し付けが、物語をつまらなくするのではないか? という考察

 私は去年、ついに五十を超えてしまい、自分で言うのも変ですが、だんだん説教臭くなってきました。日常会話においても、つい話が長くなってしまい、妻や子供に途中で飽きられてしまう事がよくあります。説教臭い老人にはなりたくないものですが、多くの人がそうであるように、きっと私もそうなってしまうのでしょう。それでも私は、自分の中にある熱い気持ちを人に伝えたい。そして人の話に耳を傾けて、その情熱を感じたい。文字

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テロメニア魔導記3(連載第一回)いざ、再びレートの塔へ

テロメニア魔導記3(連載第一回)いざ、再びレートの塔へ


登場人物紹介大陸地図第一章 銀色の追懐

 1 いざ、再びレートの塔へ

 ゼストアゼシアから伸びる長い橋を渡った先に、その塔はあった。
 十二の星座を司る賢者達が、星読みによって統治を取り仕切る魔法王国テロメニアの中枢、レートの塔である。その中腹に繋がる長い橋を今、四人の冒険者達が渡っていた。
「こうしてパーティで歩いていると、なんだかドキドキするね」
 先頭を歩く小柄な少年カータは、黒いフェ

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カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』紹介文

カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』紹介文

はじめに カドルステイト物語 外伝『情熱の氷』は、本編『カドルステイト物語』のスピンオフ作品ですが、本編を読んでいなくても十分楽しめる独立した物語として書きました。実は私としては、一冊の本として非常に気に入っている作品なのですが、「外伝」と付けたのがあまり良くなかったのか、この本をいきなり手に取って読んでみよう、って人が少なかった意味で失敗でした。つまり私としては、カドルステイト物語は全7巻という

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障がいを抱えた子どもを育てて感じた、人と人との関係に関する考察

障がいを抱えた子どもを育てて感じた、人と人との関係に関する考察

 人間は、自分がよく知らないもの、自分とは異質なものを警戒する傾向がある。それが無害なものであったとしても、危険な驚異と捉えて遠ざけようとしてしまう。もちろん未知なるものに対する警戒心は、生物が安全に生きていく上で獲得した生存本能の一つですが、時にそれが悪く作用する場合もあります。

 実は私の子供は、先天的な心臓病を患ってこの世に生を受けました。母胎に居る頃から心臓の異常が確認されていた我が子は

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カルディアナ戦記 紹介文

カルディアナ戦記 紹介文

はじめに 『カルディアナ戦記』は、『カドルステイト物語』の続編として書いた長編ファンタジー小説で、主に戦争を描いた全3巻で完結する戦記物です。

『カドルステイト物語』では主人公のデインが、仲間と出会ってパーティを組み、故郷を求めて世界中を旅する冒険物語を描きました。ゲームに例えると、まさにロールプレイングゲームといった趣きです。一方『カルディアナ戦記』では、『カドルステイト物語』の登場人物の1人

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レミアの翼 紹介文

レミアの翼 紹介文

はじめに 『レミアの翼』は私が中学生の頃から構想を練り、19歳の頃に完成までこぎつけた記念すべき最初の作品で、利他的行動が巡り巡って自分に還ってくるという児童文学的な、まるで絵本のような物語です。子供も安心して読めることを目指した62,000文字の中編小説で、人が死ぬ描写は一切無く、恋愛要素も全くありません。当時、中学生向けの新聞に連載する予定の物語として創られたもののお蔵入りになった作品でしたが

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スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の発売日が決定しました!

スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の発売日が決定しました!

はじめに 今朝はとてもエキサイティングな朝でした。私はもう老人体質なのか、毎朝4時から推敲しているのですが(この早朝の推敲が一番捗るんですよ)、今朝起きて見ると SNS に通知が沢山? そして見てみると、ななななんと、昨年年末にイベントで発表されたスペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』の発売日が、正式に発表されているではありませんか!

 いや~、推敲ど

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やって後悔する? やらずに後悔する? 挑戦することの意義についての考察

やって後悔する? やらずに後悔する? 挑戦することの意義についての考察

(前略)
 短編小説『おくりもの』のテーマは、10代だからこその悩みと、それを一緒に乗り越えられる仲間。そして挑戦することの意義です。
 ある日、仕事帰りの車の中でラジオを聞いていた私は、驚くべき話を耳にしました。
 そのラジオによると、「やって後悔するくらいなら、やらずに後悔した方がいい」と考える若者が、近年増えてきていると言うのです。真偽の程は定かではありませんが、曰く「やって後悔すると、多く

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テロメニア魔導記2(連載第二回)いざ、レートの塔へ

テロメニア魔導記2(連載第二回)いざ、レートの塔へ


登場人物紹介大陸地図第一章 天空を貫く尖塔 2 いざ、レートの塔へ

 右を見ても左を見ても、巨大な塔が連なっている異様な空間。
 その隙間にある長い通路は、それらの塔に繋がる十字路と接続しながら、真っ直ぐ北へと伸びていた。どんなに上を見上げても、頂上が見えないほど高い塔がひしめき合うこの場所を、テロメニアの人々は峡谷と呼んでいる。太陽はおろか、月も星も、青い空でさえ見ることが叶わない峡谷は、一

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変化するSNS、創作における宣伝の考察

変化するSNS、創作における宣伝の考察

はじめに
 SNSって便利な反面、人付き合いが面倒だったり、炎上が怖かったりと、リスクが高いと思いませんか? 人によって違うと思いますが、私はSNSをやるくらいなら、早く次の小説を書きたいと思ってます。私は先月からSNS(現X、旧Twitter)をほぼ見なくなり、投稿も数日に1回しかしなくなって、正直肩の荷が下りました。「そんなにSNSが面倒なら、そもそもやらなきゃ良いじゃないか」という正論が聞こ

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テロメニア魔導記2『天空を貫く尖塔』紹介文

テロメニア魔導記2『天空を貫く尖塔』紹介文

はじめに 2024年1月1日。つまり新年早々に、テロメニア魔導記 第2巻『天空を貫く尖塔』をリリースしました! 第1巻『陽が昇らない峡谷』を出版してから9ヶ月。私としては仕事をしながらでも、年1冊のペースで新作を出したいと考えていたので、何とか間に合ってよかったです。ちなみに専業になったので、今年はもっとペースを上げていきます。専業と言うからにはシリーズ物だけでなく、単発の作品と合わせて読み応えの

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スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の表紙が公開されました!

スペイン語版カドルステイト物語『La leyenda de Cudlestate』1巻の表紙が公開されました!

はじめに 昨夜はとてもエキサイティングな夜でした。と言っても、別にスポーツを観戦してた訳でも無ければ、好きな映画を鑑賞していた訳でもありません。12月8日の深夜、日付が変わったばかりの午前1時。スペイン時間で12月8日午後17時。スペイン最大の日本サブカルチャーイベント「Manga Barcelona 2023」にて、つい先週新規イラストが公開されたばかりのスペイン語版カドルステイト物語『La l

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