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ポップカルチャーは裏切らない

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”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。
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2021年5月の記事一覧

寄せ集めの家具で過ごす日々へ~「カネコアヤノ TOUR 2021“よすが”」@福岡市民会館

寄せ集めの家具で過ごす日々へ~「カネコアヤノ TOUR 2021“よすが”」@福岡市民会館

カネコアヤノ、3rdアルバム『よすが』を引っ提げてバンドセットによる初のホールツアー。年始のZeppが飛んだ結果、1年以上ぶりとなる福岡公演は2000人キャパの福岡市民会館という大会場にて開催。ディスタンスはありながらもソールドアウトになっており、彼女の支持率を開演前から強く感じる。予定時刻10分押し、じんわりと照明が落ちて4人が揃い開演となった。

1曲目は『よすが』でも冒頭を飾る「抱擁」から。

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赤い公園 THE LAST LIVE 「THE PARK」[配信]

赤い公園 THE LAST LIVE 「THE PARK」[配信]

昨年秋の津野米咲(Gt)逝去後、初となるライブは解散ライブとなった。様々な選択肢があったであろうこの数か月、彼女たちが選んだのは赤い公園の集結。自分は何がなんでも続けて欲しい派ではあるけれど彼女たちの選択こそが全てだと思うので、彼女たちの未来に幸あれ、とばかり願っている。そんな中野サンプラザでの解散ライブ、アーカイブは5.29の18時まで購入可。観れるのは23:59まで。

幕が開くとそこには赤い

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2021.05.22 山口一郎(サカナクション)「NF OFFLINE  FROM  LIVING ROOM」

2021.05.22 山口一郎(サカナクション)「NF OFFLINE FROM LIVING ROOM」

サカナクションのフロントマン山口一郎が、自宅兼事務所のリビングから届けるオンラインライブ。インスタライブの発展形という触れ込みで、最初は事務連絡をしているような山口の様子が映し出される。たっぷりと時間をかけたセッティングの間、こちらもすっかりリラックスしてしまう。挨拶代わりの「新宝島」は原曲の熱量をそっと涼ませた温かな決意の曲に。昨年8月にオンラインライブの金字塔を打ち立ててしまって以来の有料配信

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オンラインで演劇を観た⑤(ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」/KERA CROSS「カメレオンズ・リップ」)

オンラインで演劇を観た⑤(ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」/KERA CROSS「カメレオンズ・リップ」)

ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」(アーカイブ5/31まで)

三浦直之がロロの旗揚げ1年目に書いた戯曲を若手俳優でリブートしたもの。ロロの代表作であり、今夏に完結作が上演される予定の「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高校」シリーズにも通ずるような誰かの思いを誰かが受け取ることで駆動していく物語だが、高校生たちのそれと違い、まだ無自覚で無邪気な部分を残し

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"ケリをつけない"という救い~「くれなずめ」と松居大悟が描く曖昧さ

"ケリをつけない"という救い~「くれなずめ」と松居大悟が描く曖昧さ

5月12日に公開になった松居大悟監督の最新作「くれなずめ」が素晴らしかった。高校時代の帰宅部仲間6人が、同級生の結婚式のために5年ぶりに集まり、余興でダンスをする。しかしダダすべり、意気消沈のまま二次会を待っているその間。回想と夕暮れの時間が重なりながら進んでいく映画だ。出演は成田凌、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、ほか。

(ここからは予告編で明かされていることではあるけど敏感

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5.14~5.16 CIRCLE ’20→’21 東京→福岡 実況中継

5.14~5.16 CIRCLE ’20→’21 東京→福岡 実況中継

福岡は海の中道海浜公園にて例年5月に開催されている野外フェス。ゆったりめなフェスなので今年は開催あり得るかも、、?と思いかけたけれども現場開催は中止。しかし今年はオンラインイベントとしてCIRCLEらしいラインナップを届けてくれた。各日とも、オープニングには博多ふ頭からフェリーで会場まで辿り着くルートの主観映像を放映してくれたおかげですっかり気分は会場にいる気分。エンディングも帰り道を示してくれた

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2021.05.16 中村佑介×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) トークショー&後藤正文ライブ 【Streaming+(配信)】

2021.05.16 中村佑介×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) トークショー&後藤正文ライブ 【Streaming+(配信)】

アジカン、結成25周年。本来であればアニバーサリーライブなりツアーなりあったはずだがご時世もあり、記念的催しはない様子。しかし現在、金沢21世紀美術館で開催中のイラストレーター・中村佑介の作品展『中村佑介展』での中村佑介×後藤正文トークショー、および後藤正文ライブが実にアジカンのアニバーサリーらしい内容だったので、走り書き程度に感想を書き残そうと思う。5/23までアーカイブ配信中。

シーンとして

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NetflixでSFを観ている②(スペース・スウィーパーズ/月影の下で/アンブレラ・アカデミー/メッセージ)

NetflixでSFを観ている②(スペース・スウィーパーズ/月影の下で/アンブレラ・アカデミー/メッセージ)

スペース・スウィーパーズ

「お嬢さん」でお馴染みのキム・テリが宇宙船の船長を演じるっつーんだからそりゃ観るしかなかった。韓国では初となる宇宙系SF映画らしい。そんな記念碑的一作に相応しい、王道を痛快にぶっ駆け抜けるヒロイックな映画だった。"訳アリで集まった寄せ集めチーム"でギャング系・盗賊系の野蛮なノリというベタな質感がずっと恥ずかしくないのは、圧倒的な画力と小気味いい演出力があってこそ。ソン・

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5.1~5.5 ビバラ!オンライン2021

5.1~5.5 ビバラ!オンライン2021

さいたまスーパーアリーナで5日連続で開催されたVIVA LA ROCK。昔からGyaoでの中継とかも活発だったのですごく好印象なフェスだったのですが今年は前年に引き続きオンラインイベントとしても機能するような仕様に。もう1,2日目はアーカイブ観れないんですが5日間の感想をざざっとメモ書き。

5/1
フェス初日、KEYTALKがオープナーとして抜群の活躍を見せた後にKANA-BOONが地に足つきま

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「街の上で」「愛がなんだ」......今泉力哉監督作品に息づく登場人物たちの歌声[Real Sound寄稿記事]

「街の上で」「愛がなんだ」......今泉力哉監督作品に息づく登場人物たちの歌声[Real Sound寄稿記事]

Real Soundに37回目の寄稿をしました。今回はかなり変化球な題材。今泉力哉監督の『街の上で』に登場する「チーズケーキの唄」、『愛がなんだ』に登場する「塚越すみれdisラップ」を通して映画を語るという内容です。

最初題材を貰った時は、これをReal Sound音楽部の記事として仕上げれるか?という気持ちもあったのだけど、最終的には音楽の持つ演出力みたいなのを再認識するような内容になったかと

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