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seiji_arita
2024年6月5日 11:21
「夏霞」大義名分とか 不変の真理とか価値観の錯乱とか閉塞した状況にある抜け道だとか浮浪者の様に貪り酒を煽り深夜に台所のテーブルで詩を書き続ける事だとか赤子を抱いて子守唄を歌う反社の女だとか永遠に失い続ける宿命だとか人生における正常な軌道から ずれ始めた事だとか確かあれは三日前 空から綺麗な星が落ちて来たその時 始めて知ったんだ幻想に似た夏霞
2024年4月16日 09:22
「風を待つ月」いつか遠からず其の日はやって来る長い沈黙の後にそう彼奴は言った僕は記憶の寿命を延命する様に 其の断片を永遠に刻み込む様に時折 彼奴の言葉を心の中に落とし込むジムビームとメンソールと小説とあの夜 高速の高架下から見上げた月僕は意識の中にある彼奴の扉をノックした彼奴の愛した最後の女 そして弟桜の花びらが結晶化する永遠を形造るもうひとつ
2024年4月14日 05:01
「方舟と幸せの鐘」心を失くした深い森の中を彷徨っていた全ては無音のうちに始まり邪悪な野獣と純粋な精霊の吐息を聞いた不確かな人生の灯りが揺れる暗い終末の気配を含んだ湿り気を帯びた風彼女は方舟…そう一言だけ呟いた特別な生命の匂いを彼女に感じた僕等に歌う歌があるとしたなら僕は漠然とそんな事を考えていた僕の純粋な仮説が保留の無い激しい愛を呼ぶ彼女に
2024年4月13日 15:25
「小世界」この世界には 絶対的な善も無ければ絶対的な悪も無い 善は悪に転換し 悪は善に転換する あるのは其の均衡だけだすなわち均衡そのものが善である其の本にはそう書かれていた死は解放でも復讐でも無く空白を生むだけだ僕はそう書き残した世界が同義を失い崩れてゆくのは僕達の苦悩や煩悶のせいでは無い雷鳴とどろく夜に全ての意味を知るいつだってどんな時
2024年4月11日 19:52
「月明かり」満月がくまなく街を照らす夜僕は自分自身が失われるべき場所のドアを開けたその場所に君が閉じ込められている事を知っていたから君は残された短い命を慈しむ様に詩を書いていたその事だけは僕には はっきりとわかっていたその場所には僕達ふたりしか居ないそのドアは一方向にしか開かない僕等は正しく人を愛する事が出来なかったそしてまた自分自身を正
2024年4月8日 18:37
「楽園」想像と記憶の中で静かに彼女と関わりを結んだ彼女が彼女である事の秘密を僕は知っていた語るべきであった言葉 ほんの少しの勇気僕の行いの欠如が僕自身を後悔へと連れ去る僕の心は彼女から離れる事が出来ないでいる同じ過ちは繰り返さないと誓った彼女は 僕の身体と心の一部を持ち去り僕の元に彼女の身体と心の一部を置いて行った 目には見えない其の一
2024年3月28日 16:25
「魔女狩りの詩」生きる事を目的として戦い続ける 目には見えない圧倒的な力を持つものが襲う其れに相対する救いに似た光を求めたあらゆるものを ただ黙々と受け入れ其処にあるものを呑み込み全てを赦した其の優しさに身を委ねた僕等の時間がそれぞれの経路を辿り流れる恐怖や希望絶望の中に揺らぐ炎を見ただが君は心の奥底で死を望んでいるその流れがひとつに
2024年3月23日 15:31
「流れる水と小さな星」僕の目の前にある時間は静かな足取りで通り過ぎて行った其処には僕の意思とは関わりなく其れ自身の原理に従い流れる水の様に静かに彼女は僕の知らない場所で眠っていた其処は時間と空間によって 行動の自由を制限される事の無い場所夢の無い深い眠りの中で僕達には行かなくてはならない所がやらなくてはならない事がある その事をはっきりと知る
2024年3月10日 20:10
「暗雲の隙間」雲が千切れる様に割れ僅かな月明かりが射す暗雲の隙間 途切れ途切れの光が僕の胸の中に隠された言葉を照らし浮き彫りにしては消えてゆく淡い青色の世界が訪れては消え去るそして無音の漆黒が全てを包み込む肉を削ぎ落とした骨格から発する意識の放射が暗闇を貫く其の凝縮された陰影を網膜と脳裏に焼き付ける僕は思考の切れ端を追い続ける脳内の架空の白紙
2024年2月16日 20:11
「陰影」混じり気無しの本物から100パーセントの偽物までどうでもいいさ そんな事無名のまま消えた彼奴の言葉は本当に無価値なのか その価値基準は何処にある才能は無いけど良い奴だとか才能だけはあるが糞みたいな奴だとか飢えと乾きが集約された夜の色其処に開いた巨大な穴は全ての始まりを意味する入り口なのか全ての終わりを意味する出口なのだろうか
2024年2月15日 10:41
「雨音」僕は彼女と交わした話しの断片を思い出していたいつの間にか天候は崩れて空は湿気を含んだ重い雲に覆われていた僕は傘を持っていない長く降り続きそうな雨 ネクタイを緩めた彼女は不思議な事に雨の夜にやって来るもう逢えないかと思ってたよ そう言った僕に貴方は私に逢う度に同じ事を言うのね 彼女はそう言って微笑んだそして唇を噛んでまた少し笑った
2024年2月13日 22:22
「残された街」壁に焼き付けられた影が腐敗と崩壊と失望を映し出していた嘘だって良かったんだ お前と逢える口実を探していただけなんだ記憶は ゆっくりと時間をかけて薄れ霞んで消えてゆく其処に俺達が属している事は静かに降り頻る雨が知っているそして時が過ぎ去り後には街だけが残され今も生きている幾つもの戸惑いと頬にあるハスった傷失くせないもの ただひ
2024年2月4日 19:03
「Yes Sir」目の前にある現実を離れ夢想に耽る其れは僕にとっても君にとっても別の世界に通じる秘密の扉だったその扉を開くのは自分自身の想像力上手く強く想像する事が出来ればその扉は開き現実から遠ざかる事が出来る其れが生きて行く為に欠かせない必要な事なのそう彼女は僕に微笑みながら囁いた僕は彼女の瞳に自分自身の反映を見る事が出来た時には傲慢で身勝手で
2024年2月3日 19:21
「ジムビーム」雨上がりの空はまだ灰色の雲に覆われ地面は黒く冷たく濡れたままだった他人と比較する事の無意味さを知る自分自身の中にある淀みなき流儀がメッセージを持つ僕が感じていた乾きと刹那 形を変えて行く雲沈黙が旋律の様に舞い降りて来る君は君自身が世界にある何かにきっちりと結び付いている証を探していた 此処は単なる通過点であり目的地へ向かう階段だと