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デジタル奴隷の恐怖! ショシャナ・ズボフ『監視資本主義ー人類の未来を賭けた闘い』

 こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です。

 今日は、私がちょっとだけ「恐ろしい」と感じた本を紹介したいと思います。
 以前に紹介したオーウェルの一九八四年が、もしかしたら、このネット社会で現実になるかも!?という警鐘を鳴らしている本です。
 その名も「監視資本主義」!
 いったい、どんな本なのか? 監視資本主義とは何なのか?
 早速紹介していきたいと思います!


監視資本主義とは?

 監視資本主義とは、アメリカの社会学者ショシャナ・ズボフが提唱した概念で、インターネット上の個人情報の収集と分析によって利益を得る経済体制のことを指します。

 従来の資本主義は、商品を売り買いすることで利益を得ましたが、監視資本主義では、個人情報を商品化することで利益を得るのです。
 具体的には、以下のような4つの手段によって個人情報が収集されます。

具体的な個人情報の収集

  • 検索エンジン ユーザーの検索履歴

  • ソーシャルメディア ユーザーの投稿、いいね、フォローなど

  • ECサイト ユーザーの購入履歴、閲覧履歴

  • スマホアプリ ユーザーの位置情報、行動履歴

 そして、これらで収集された個人情報は、以下のようないくつかの目的に使用されます。

  • ターゲティング広告 ユーザーの興味・関心に合わせた広告を表示する

  • 商品の開発・販売 ユーザーのニーズに合わせた商品を開発・販売する

  • 価格決定 ユーザーごとに異なる価格を設定する

 監視資本主義は、個人情報のプライバシーや自由を脅かすという批判があります。また、監視と操作によって、社会の分断や不平等を招くという懸念も指摘されています。
 一方で、監視資本主義がもたらす利点もあります。

監視資本主義の利点

  • 利便性の向上 ユーザーにとってより便利なサービスを提供できる

  • 効率化 企業の効率化を促進できる

  • イノベーション 新しい商品やサービスの開発を促進できる

 監視資本主義は、良い面と悪い面の両方を持つ両義性をもっています。
 今後、わたしたちが監視資本主義とどのように向き合っていくのか、社会全体で議論していく必要性があるでしょう!

 さて、これからが本題です。

 ショシャナ・ズボフ著『監視資本主義ー人類の未来を賭けた闘い』は、監視資本主義と呼ばれる新しい経済体制の仕組みと、私たちに与える影響について論じた書籍です。

 さきほども書きましたが、監視資本主義とは、インターネット上の個人情報を収集・分析することで利益を得る経済体制のことです。
 具体的には、検索エンジンやソーシャルメディアなどのプラットフォームが、ユーザーの行動データを収集し、広告主に販売することで収益を得ています。
 著者は、監視資本主義が3つの罠によって成り立っていると指摘しています。

  • 余剰行動の罠 ユーザーが意識せずに提供する膨大な行動データは、企業にとって貴重な資源となる。私たちは知らないうちにデジタル監視の対象となり、プライバシーが侵されるリスクに直面する罠

  • 予測の罠 収集された行動データに基づいてユーザーの未来を予測し、行動を操作しようとする試み。個人の自由な意思決定を奪い、無意識のうちに企業の利益に沿った行動を取らされてしまう罠

  • 行動修正の罠 予測に基づいてユーザーの行動を修正し、より多くのデータ収集をしようとする試み。ユーザーは操作され続け、自己の行動がどのように影響を受けているのか気づかぬまま、データ収集のサイクルに巻き込まれてしまう罠

監視資本主義は、個人情報のプライバシーや自由を脅かすだけでなく、民主主義や市場経済の基盤をも揺るがす可能性があります。 著者は、監視資本主義に対抗するためには、以下の4つの対抗策を提案しています。

  • 監視の拒否 ユーザーが自らの行動データを収集されることを拒否する必要がある

  • 新たな公共圏の構築 監視資本主義から独立した、新しい公共圏を構築する必要がある

  • 市場の再構築 監視資本主義に支配されない、競争的で透明性の高い市場を構築する必要がある

  • 政治の再構築 監視資本主義の影響を受けない、民主主義的な政治体制を構築する必要がある

 監視資本主義は、現代社会における重要な問題であり、本書は、この問題を理解するための貴重なツールとなるでしょう。
 私はこの本を読んでこの世界が一九八四年になるもの、そう遠くないだろうと感じました。

ずばり、こんな人におすすめです

  • インターネットやデジタル技術に関心がある人

  • 個人情報やプライバシーに関心がある人

  • 資本主義や経済に関心がある人

  • 未来社会について考えたい人

『監視資本主義ー人類の未来を賭けた闘い』は、内容が深く示唆に富んだ書籍ですが、やや難解な部分もあります。そのため、ある程度経済や社会に関する知識がある人におすすめです。

 本書を読んだ後は、監視資本主義について自分なりの考えを持ち、どのように対抗していくかを考えることが重要でしょう。

 まずは本棚に追加して、ゆっくり読んでいきませんか?

あなたのデータが商品化されるその前に、この一冊を手に取ってください!


【編集後記】
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