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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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#新潮新書

バカと無知 (橘 玲)

バカと無知 (橘 玲)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 以前聴いていたTokyo FMのpodcastの番組「未来授業」で橘玲さんが講師として出演したとき紹介していた著作ですが、その内容が面白そうだったので読んでみたものです。

 かなり評判になっている本なので図書館での貸出の待ち行列が長く、手にするまでにかなりの時間がかかってしまいました。

 刺激的なタイトルですが、内容も橘さんの主張がス

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デマ・陰謀論・カルト (物江 潤)

デマ・陰謀論・カルト (物江 潤)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聴いている大竹まことさんのpodcast番組に著者の物江潤さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。

 最近のネット社会で流布している情報は間違いなく “玉石混交” ですが、その中には「いくら何でもそんなことはあり得ないでしょう」といった類の信じ難い内容のものも流通しています。
 本書は、物江さんによるそういった「妄説」

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プリズン・ドクター (おおたわ 史絵)

プリズン・ドクター (おおたわ 史絵)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聴いている大竹まことさんのpodcast番組に著者のおおたわ史絵さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。

 刑事施設内の職場という特殊な環境下での経験を綴ったエッセイはとても興味深いものがありました。
 その中で語られたエピソードや思うことの中から、私の関心を特に惹いたところをひとつ書き留めておきます。

 矯正医官と

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一汁一菜でよいと至るまで (土井 善晴)

一汁一菜でよいと至るまで (土井 善晴)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 著者の土井善晴さんは料理研究家として有名ですが、私はNHK料理番組「きょうの料理」に出演していた御父様の土井勝さんの印象が先に立ちます。“あの土井勝さんの息子さん” といったイメージです。

 本書は、その善晴さんが大切にしている「一汁一菜」というコンセプトに行きつくまでの過程をモチ

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最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業― (アンデシュ・ハンセン)

最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業― (アンデシュ・ハンセン)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストで見つけた本です。

 少し前に、ベストセラーになった「スマホ脳」を読んだのですが、私としては、それほど目新しい情報はなかったので、正直あまり興味を惹きませんでした。

 本書は、同じアンデシュ・ハンセン氏の著作です。
 典型的な “柳の下の泥鰌” 狙いの本ですが、その点も気になったので手に取ってみま

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スマホ脳 (アンデシュ・ハンセン)

スマホ脳 (アンデシュ・ハンセン)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館で予約してから貸し出しまで半年近くかかったので、旬は過ぎていますが、話題になった本なので読んでみました。

 発行されたスウェーデンでもその他の国でも爆発的に売れている著作とのことで大いに期待したのですが、私にはあまり合わなかったようです。

 新たな情報を得るとドーパミンが放出されるという過去の人類の進化がもたらした「脳の

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人間の経済 (宇沢 弘文)

人間の経済 (宇沢 弘文)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 学生時代からずっと気にはなりつつも、恥ずかしながら、宇沢弘文教授の著作を読むのはこの歳になって初めてだと思います。

 テーマは「社会的共通資本」。

 読んでみての印象ですが、理論や論考で塗り固められているような内容を予想していたものの、大いに(いい意味で)裏切られました。宇沢教授の自伝的なテイストも漂う内容で、それを辿っていくだけでも

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ドラマへの遺言 (倉本 聰・碓井 広義)

ドラマへの遺言 (倉本 聰・碓井 広義)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 代表作である「北の国から」は見たことがないのですが、倉本聰さんのドラマや映画は気になっていました。(「青春とはなんだ」「これが青春だ」「浮浪雲」といった作品も手掛けていたんですね)

 この本を読むと、倉本さんのドラマ制作への気概、セリフへのこだわり等々、その“桁外れの情熱” が

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ハーバード白熱日本史教室 (北川 智子)

ハーバード白熱日本史教室 (北川 智子)

(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 先に読んだ「ハーバード日本史教室」が期待外れだったので、リベンジのつもりで(そこそこ評判の良かった)本書を読んでみました。

 しかしながら、結果は見事な“返り討ち”、これも全くの「期待外れ」でした。(いかにも“撒き餌”というようなタイトルだったので、なんとなくヤバい感じはあった

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文系のための理数センス養成講座 (竹内 薫)

文系のための理数センス養成講座 (竹内 薫)

(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 竹内薫さんの本は今までも結構読んでいますが、直近の「ざっくりわかる宇宙論」からはちょっと間が空いてしまいました。 久しぶりの竹内さんの本です。

 ただ、読み終わっての感想は “少々期待外れ” といった感じです。

 “理系思考” の根っことして、論理的思考の基本知識とか理系的科

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情報の強者 (伊藤 洋一)

情報の強者 (伊藤 洋一)

(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)

 著者の伊藤洋一氏がパーソナリティをやっているラジオNIKKEIの「伊藤洋一のRound Up World Now!」というPodcast番組はもう数年聴いています。
 その番組中でも、時折ご自身の情報収集のHow Toを紹介されることがありますが、本書は そういった“情報”について一家言ある伊藤氏が、その収集・活用・発信といったアクションに

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ピカソは本当に偉いのか? (西岡 文彦)

ピカソは本当に偉いのか? (西岡 文彦)

(注:本稿は、2015年に初投稿したものの再録です)

 知人のレビューをみて興味を持ちました。

 「ピカソの絵って、どこがスゴイの?」、初めてピカソを観た多くの人が抱く疑問です。私もその一人でした。

 著者の西岡文彦氏は、本書で、「ピカソとその作品にまつわる素朴な疑問」に答えていきます。
 たとえば、ピカソの作品が高い値段で取引される理由。
 それは「画商の戦略的活用」にあったと言います。

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「自分」の壁 (養老 孟司)

「自分」の壁 (養老 孟司)

(注:本稿は、2015年に初投稿したものの再録です)

 久しぶりの養老孟司氏の著作です。
 大ベストセラーだった「バカの壁」から、もう11年も経つんですね。本書でも、歯切れのいい “養老節” は健在です。
 ここでは、その中からちょっと気になった指摘を、覚えとして書き留めておきます。

 まずは「日本のシステムは生きている」という章から、日本における「思想」の位置づけについて語っているくだりです

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反省させると犯罪者になります (岡本 茂樹)

反省させると犯罪者になります (岡本 茂樹)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 かなりショッキングなタイトルの本です。

 著者の岡本茂樹氏は立命館大学産業社会学部教授ですが、刑務所での累犯受刑者の更生支援活動にも従事しています。
 本書は、その岡本氏の実現場での豊富な経験を踏まえ、犯罪者を更生に導く心のケアについて熱く説いたものです。

 まずは、「裁判と反省」についての岡本氏の見解です。

 犯罪者は、刑務所や少年

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