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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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#新潮新書

最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業― (アンデシュ・ハンセン)

最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業― (アンデシュ・ハンセン)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストで見つけた本です。

 少し前に、ベストセラーになった「スマホ脳」を読んだのですが、私としては、それほど目新しい情報はなかったので、正直あまり興味を惹きませんでした。

 本書は、同じアンデシュ・ハンセン氏の著作です。
 典型的な “柳の下の泥鰌” 狙いの本ですが、その点も気になったので手に取ってみま

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スマホ脳 (アンデシュ・ハンセン)

スマホ脳 (アンデシュ・ハンセン)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館で予約してから貸し出しまで半年近くかかったので、旬は過ぎていますが、話題になった本なので読んでみました。

 発行されたスウェーデンでもその他の国でも爆発的に売れている著作とのことで大いに期待したのですが、私にはあまり合わなかったようです。

 新たな情報を得るとドーパミンが放出されるという過去の人類の進化がもたらした「脳の

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人間の経済 (宇沢 弘文)

人間の経済 (宇沢 弘文)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 学生時代からずっと気にはなりつつも、恥ずかしながら、宇沢弘文教授の著作を読むのはこの歳になって初めてだと思います。

 テーマは「社会的共通資本」。

 読んでみての印象ですが、理論や論考で塗り固められているような内容を予想していたものの、大いに(いい意味で)裏切られました。宇沢教授の自伝的なテイストも漂う内容で、それを辿っていくだけでも

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ドラマへの遺言 (倉本 聰・碓井 広義)

ドラマへの遺言 (倉本 聰・碓井 広義)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 代表作である「北の国から」は見たことがないのですが、倉本聰さんのドラマや映画は気になっていました。(「青春とはなんだ」「これが青春だ」「浮浪雲」といった作品も手掛けていたんですね)

 この本を読むと、倉本さんのドラマ制作への気概、セリフへのこだわり等々、その“桁外れの情熱” が

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ハーバード白熱日本史教室 (北川 智子)

ハーバード白熱日本史教室 (北川 智子)

(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 先に読んだ「ハーバード日本史教室」が期待外れだったので、リベンジのつもりで(そこそこ評判の良かった)本書を読んでみました。

 しかしながら、結果は見事な“返り討ち”、これも全くの「期待外れ」でした。(いかにも“撒き餌”というようなタイトルだったので、なんとなくヤバい感じはあった

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文系のための理数センス養成講座 (竹内 薫)

文系のための理数センス養成講座 (竹内 薫)

(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 竹内薫さんの本は今までも結構読んでいますが、直近の「ざっくりわかる宇宙論」からはちょっと間が空いてしまいました。 久しぶりの竹内さんの本です。

 ただ、読み終わっての感想は “少々期待外れ” といった感じです。

 “理系思考” の根っことして、論理的思考の基本知識とか理系的科

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情報の強者 (伊藤 洋一)

情報の強者 (伊藤 洋一)

(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)

 著者の伊藤洋一氏がパーソナリティをやっているラジオNIKKEIの「伊藤洋一のRound Up World Now!」というPodcast番組はもう数年聴いています。
その番組中でも、時折ご自身の情報収集のHow Toを紹介されることがありますが、本書は そういった“情報”について一家言ある伊藤氏が、その収集・活用・発信といったアクションに

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ピカソは本当に偉いのか? (西岡 文彦)

ピカソは本当に偉いのか? (西岡 文彦)

(注:本稿は、2015年に初投稿したものの再録です)

 知人のレビューをみて興味を持ちました。

 「ピカソの絵って、どこがスゴイの?」、初めてピカソを観た多くの人が抱く疑問です。私もその一人でした。

 著者の西岡文彦氏は、本書で、「ピカソとその作品にまつわる素朴な疑問」に答えていきます。
 たとえば、ピカソの作品が高い値段で取引される理由。
 それは「画商の戦略的活用」にあったと言います。

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「自分」の壁 (養老 孟司)

「自分」の壁 (養老 孟司)

(注:本稿は、2015年に初投稿したものの再録です)

 久しぶりの養老孟司氏の著作です。
 大ベストセラーだった「バカの壁」から、もう11年も経つんですね。本書でも、歯切れのいい “養老節” は健在です。
 ここでは、その中からちょっと気になった指摘を、覚えとして書き留めておきます。

 まずは「日本のシステムは生きている」という章から、日本における「思想」の位置づけについて語っているくだりです

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反省させると犯罪者になります (岡本 茂樹)

反省させると犯罪者になります (岡本 茂樹)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 かなりショッキングなタイトルの本です。

 著者の岡本茂樹氏は立命館大学産業社会学部教授ですが、刑務所での累犯受刑者の更生支援活動にも従事しています。
 本書は、その岡本氏の実現場での豊富な経験を踏まえ、犯罪者を更生に導く心のケアについて熱く説いたものです。

 まずは、「裁判と反省」についての岡本氏の見解です。

 犯罪者は、刑務所や少年

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知の武装 : 救国のインテリジェンス (手嶋 龍一/佐藤 優)

知の武装 : 救国のインテリジェンス (手嶋 龍一/佐藤 優)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 手嶋龍一氏と佐藤優氏、面白い取り合わせの著者なので興味を持ちました。

 “インテリジェンス”という視点から、近年の日本を取り巻く多種多様な外交問題をテーマにしたお二人の会話が進みます。

 数多くの興味深いやりとりがあったのですが、まずは身近な話題として「通訳」について。
 私たち素人は、外交官どおしの交渉は英語で進められていると思い込ん

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老荘思想の心理学 (叢 小榕)

老荘思想の心理学 (叢 小榕)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 ちょっと前に、加島祥造氏の「荘子 ヒア・ナウ」を読んだのですが、それに続く“道家入門”的な著作です。
 巷間で耳にする老子・荘子を元とした言葉を材料に、その背後にある思想をわかりやすく解説していきます。

 ここでは、いくつかの「老荘のことば」とそれにまつわる著者の解説・コメントの中から、ちょっと気になったものを書き留めておきます。

 ま

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「忠臣蔵」の決算書 (山本 博文)

「忠臣蔵」の決算書 (山本 博文)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 エコノミストの伊藤洋一氏がpodcastで紹介されていたので手に取ってみました。

 材料となった史料は、大石内蔵助が浅野内匠頭の正室瑤泉院に向けて残した「預置候金銀請払帳」、現在は箱根神社に所蔵されています。
 忠臣蔵関係の研究はそれこそ山のようにあるのでしょうが、討入りの生々しい実態を「金銭面」から明らかにするというアプローチはとてもユ

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社畜のススメ (藤本 篤志)

社畜のススメ (藤本 篤志)

(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)

 今のご時勢、とても挑戦的なタイトルですね。
 戦後の復興期から高度成長期にかけて、日本企業を支えたのは「会社人間」でした。バブル崩壊のころからでしょうか、成長の行き詰まりから日本企業は西欧のマネジメント思想に傾倒し始めました。そこで登場するのが「個性人間」です。

 本書での著者の主張は、安易な「個性重視」の否定です。

 著者は、「自分ら

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