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#小説
【15行小説】金曜の21時にまた会いましょう
彼はいつもきまって金曜にお酒を飲む。
1週間お疲れ様。
今週は特に忙しかったみたいだね。
1人暮らしに慣れてるせいか彼の行動はいつも決まってる。
20時30分にはシャワーを浴びて、21時にはTVを見るの。
ほら、金曜の21時っていつもTVで映画入るでしょ?
それをみながらお酒飲んで、買ってきたお惣菜食べて、至福のひと時。
私もその時間がいつも好きなんだ。
だって、金曜の夜だもん、明日はゆっく
【15行小説】みんな何を言ってるの?
僕には双子のお兄ちゃんがいる。
いつも遊んでくれて、話してくれて優しいお兄ちゃん。
お兄ちゃんのためならなんだってできるんだ。
今日、お兄ちゃんは僕に猫をくれた。
そして僕にささやいた。
「頭をひねって」
手が汚れた。
でもお兄ちゃんは笑ってくれた。
僕も笑う。
楽しいな。
パパとママが僕を見て泣いている。
どこに連れていくんだろう、カウンセラーの先生って言ってたな。
優しそうな女の人がい
【15行小説】彼女の親が泣いている
今日は天気がいい。
部屋の片付けをしないと。
今週末、彼女のご両親が来る。
ゴミは捨てて、掃除機かけて。
あ、部屋の空気も入れ替えないと。
新鮮な空気、いつぶりだろう、今週までに匂い消えるといいけど。
冷凍庫、見られるかな。
彼女は見ちゃったからな、ご両親も見るかも。
気をつけないと。
そういえば、夜ご飯一緒に食べるのかな、お肉はいっぱいあるからいいけど。
お風呂は流石に入らないよね。
そ
【15行小説】時間稼ぎごっこ
早く解放してくれ!
俺が何をした!
お金なら払う、お願いだ!
静かにしろ。
お前はただの人質。
お前とは交渉しない。
なら、何が目的なんだ!
家族もいるんだ!
帰してくれ!
どうしたらいい!
お前はこのまま人質として利用させてもらう。
俺が逃げるまでの時間かせぎだ。
ピピピピピピ…。
もう3分経ったわ、そっちもオッケー。
よし、食べよう。
ノアの他の作品はこちら⬇️
【15行小説】散歩と噂にご用心
私の日課は近所のカフェに行くこと。
散歩がてらにちょうどいい。
鳩に餌をあげる老婆、ランニングする男性、花を配る女性。
この街には素晴らしいものばかりある。
帰りにいつも花をもらい、花瓶に入れる。
太陽に照らされた白い花は部屋を明るくさせた。
この街の欠点は住民が噂好きってこと。
鳩に餌やるな、だの、あの人は先週から花配り始めただの。
あの人は最近機嫌がいいだの、あの人は肌艶良くなってるだの
【15行小説】タイトル
ご自由にお書きください。
ここに、ご自由にお書きください。
嘘でも私は責任とりませんけど。
ほんとに、ご自由にお書きください。
ほんとはなんでも書いちゃダメなんですけど。
常識として分かるかなって。
私は何も言わないので、ご自由にお書きください。
何書いても全てあなたの責任ですけど。
怒られても何されてても私は無視しますから。
警察が来てもあなたが書いたって言うだけなので。
タイトルなんて
【15行小説】振り返るべからず
男は1人、人のいない崖にいた。
巡回していた警官が男に話しかけた。
君、何をしているんだ。
男は何も答えず、崖と海の方を見ていた。
怪しんだ警官は、動くな!、と男に叫ぶ。
男はその言葉に驚き、こちらを振り向いた瞬間に前から倒れてしまった。
警官はゆっくりと男に近づく。
男は動かない。
なぜか頭の後頭部から血を流し、脳震盪を起こしたのか返事もなかった。
なんでこんなことに。
警官は崖の下を見
【15行小説】恋わずらい
シェイクスピア曰く、恋とは、ため息と涙でできたものである。
ため息と涙。
いや、これはもう嗚咽と号泣である。
おぉ、シェイクスピアよ。
この気持ちはいつまで続くんだ。
おぉ、シェイクスピア、おぉ、シェイクスピアよ。
これが恋というものならば、私は恋を忘れたい。
こんなにも辛いものなんて誰が想像できただろうか。
シェイクスピア、あなたはいかにして耐え忍んだのだろうか。
涙がこれほどまでに枯れな
【15行小説】いつもの朝
男はいつも通りの朝を迎えた。
その日は気分も良く、平日だけど私服で、時間に縛られることなく家を出た。
深く深呼吸、今日も生きている、実感。
その日は天気が良く清々しかった。
どこに行こう。
あ…今日は電車もバスも動いていないんだ。
家族にラインした。
僕は必死で生きてます。
こんな不器用でも、都会で揉まれて、成長できた。
いろんなことがあったなぁ。
電話が繋がり家族からの電話。
周辺のガラ
【15行小説】私の子供はマリオネット
軽快なリズムで手足を広げ、あの子は踊っている。
いい音楽といいリズムに私の気分も高揚する。
まだ幼い小学生なのに髪の毛はサラサラでいい匂い。
まん丸と光る目は私に似ている。
私も一緒に踊ろう。
この時が1番楽しいの。
薄暗い部屋で一緒に踊るこの瞬間に幸せを感じる。
テンポよく流れるこの音楽はお気に入り。
二人で息の合った踊りを楽しむの。
いつも踊りは突然終わる。
線香の残り香の中、私は仏壇の
【15行小説】あなたが思っているよりもずっと深い愛情で
あなたは子供をあやしている。
遊ばれているといった方がいいのかもしれない。
あなたはいつもせわしなくしている。
まるで未来が見えているかのよう。
私は無能。
あなたはなぜそんなにたくましく生きれるの。
あの子達を幸せにして。
あの子達の気持ちもわかってる。
僕にはわからないのに。
あなたは休日終わりの平日にふと気が抜けるよね。
それでいいんだよ。
少しでもいい、気を抜いてほしい。
こっちにお