書評:西谷文和『万博崩壊 どこが「身を切る改革」か!』(せせらぎ出版)
まずは、大阪府民として、吉村洋文府知事に代わって、全国の皆さんにお詫びしたい。
しょーもない万博のために、皆さんの血税をドブに捨てることを、どうかご容赦ください。本当に、ごめんなさい。
吉村洋文府知事が、百遍土下座して謝罪するのなら、私も一遍くらい土下座してもかまいません。
「大阪都構想の住民投票問題」の際、Twitter(現「X」)で「維新の会」支持者たちとやり合った結果、向こうが管理者に泣きついて、Twitterアカウントを永久凍結されたような私なので、私が謝罪しなければならない理由などないのかも知れませんが、それでも維新に大阪府政を取らせてしまった責任というのは、維新の支持者ではなくても、やはり、私を含めた大阪の全有権者にあるからです。
でも、腹が立っているのは、全国の皆さん以上に、私の方だと思っています。
所詮みなさんは「大阪はバカばっかりだね。あんな見るからに頭とガラの悪い維新なんかに、府政や市政を任せるんだから、まったく信じられないよ。こっちは、とんだトバッチリだ」くらいのお気持ちでしょうが、私の怒りは、そんなもんじゃないからです。そんなもんじゃないからこそ、Twitterのアカウントを凍結されるほど、黙ってはいられなかったということなのです。
それに、「X」になってから、ドナルド・トランプのアカウントは復活させたそうなのに、私のは凍結されたまま。どういうことだ!一一と、これも腹が立っていますが、しかしまあ、私の場合は、トランプよりも「影響力」が大きかったということだと理解しておきましょう。「立場の影響力」ではなく「中身の影響力」として。
そんなわけで、「大阪万博」は、必ずコケる。断言してもいいし、100万円賭けてもいい。橋下徹と松井一郎と吉村洋文にも100万円ずつ賭けてもらい。維新の議員全員に10万円ずつ賭けてもらう。そして、大阪万博が成功すれば、その皆さんに私の100万円を、出資率に応じて山分けしてもらい、大阪万博が失敗すれば、私が総取りをします。
この賭けは、私個人の発案なので、大阪万博が失敗する方に賭けたいという「一般の方」はお断り。やりたい人は、自分でやってください。一一とまあ、楽勝でこのくらいの自信はある。だから、大阪万博は、絶対にコケると断言するのです。
おら、橋下、松井、吉村。かかってこんかい。
まあ、いくら私がこんな賭けを望んだって、橋下くんや、松井くん、吉村くんなんかは、絶対に乗ってこないでしょう。彼ら自身、大阪万博がコケるのがわかっているからです。
その、コケるのがわかっている万博をそれでもやるのは、彼らにはそれなりの見返りがある(あった)からなのと、個人的には責任を問われず「弁償させられることもない」というのがわかっているからに違いありません。個人的な「賭け」だったら、彼らだって「大阪万博はコケる」の方に賭けるに決まっている。それくらい、これは結果の分かりきった「無謀な賭け」なのです。どう考えたって、誰が考えたって、大阪万博が成功するわけなどないのです。
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さて、ここで口調を改めて、本冊『万博崩壊 どこが「身を切る改革」か!』の内容だが、第1部は、本冊の著者であり「維新の会」の問題を継続的に追っているジャーナリスト・西谷文和と「おおさか市民ネットワーク」代表の藤永のぶよの両名による、開催を1年後に控えた「大阪万博」の「現状」ルポ。そして、西谷と日本共産党前参議院議員であるたつみコータローとの対談。第2部には、「自民、維新から、日本を取り戻す」をテーマとした、西谷の対談2本収められている。対談の相手は、それぞれ、評論家の内田樹と、経済学者の金子勝である。
本冊で面白いのは、なんと言っても、最初のルポだ。
3つの対談も、それぞれ「分析的」なものであり、興味深い内容ではあるのだが、継続的に「維新」問題に興味を持ってきた人間であれば、ある意味では、分かりきったことの分析的な再検討という印象が否めない。
例えば、内田樹の「大阪府民が維新の会を支持するのは、プロパガンダに騙されているというだけではなく、維新的な弱者叩きに、本音のところで共感しているからではないか」という、いささか挑発的な指摘も、維新支持者と直接やりあった私としては「分かりきった話」でしかなかった。
もちろん。大阪府民ではない皆さんとすれば、「大阪府民が悪いのではなく、騙した維新が悪いのだ」と言っておく方が無難だというのは理解できる。大阪府民を敵に回しても、なんのメリットもないからだ。
しかし、当の大阪府民である私からすれば「たしかに騙されているバカも多いだろう。だが、それは騙されたいバカが多いということでしかない。そんなバカには、お前はバカなんだと教えてやらないことには、いつまでも騙されたままだし、被害は広がる一方だ」としか思えなかったのだから、内田の上のような指摘も、なんら「タブー」ではない。
すなわち、今の大阪府民の少なからぬ部分には「弱い者いじめ」根性が染みついているのだ。
自分だって、十分に「弱い者」である、吹けば飛ぶような庶民でしかないくせに、自分たちより「弱い者」を叩いて、自分を「強者」だと思い込みたいようなバカが、決して少なくないのだ。例えていうなら、かつて「ユダヤ人差別を歓迎した、ナチス支持者のドイツ国民」みたいなものである。
で、どうして、大阪だけで、極端に「維新支持」が進んだのかと言えば、それは、大阪が「東京と並ぶ、日本第二の経済都市」の位置から転落したからだ。
「落ち目意識」があるからこそ、無意識のうちに、自分たちより弱い者の中に「戦犯」を見つけ、それを叩くことで納得しようとしているのである。
だから、維新の支持者の中には、「生活保護受給者」の対して反感を持っている者が、絶対確実に多いはずだ。維新の支持者は、「在特会」の会員のネトウヨと同じで、自分たちを「ダメ人間たちに足を引っ張られている被害者」だと思い込んでいるのである。自分たちの方が「負け犬根性の持ち主」であるにもかかわらずだ。
とまあ、こんな具合に私はモーレツに腹を立てている。だから、他府県の皆さんのような「傍迷惑だよな」などというヌルい怒りには止まり得ない。だからこそ、こんなパンフレットも読めば、その紹介もしているのである。
しかし、そんな私でも、Twitterは使用不能だから、「大阪万博」の情報と言えば、テレビニュースくらいしかない。しかしまた、そんな私でも「大阪万博」は(何もかも)酷いと思っていたのだが、本冊を読むと、「大阪万博」の酷さは、テレビニュースで知りうるレベルの酷さではないことを、嫌というほど思い知らされた。知れば知るほど、酷いのだ。私の認識とて、まだまだ甘かったのである。
だから、この後は、私が本冊を読んで驚かされた、あれやこれやを具体的に紹介しようと思う。
もはや、分析がどうとかいう話ではなく、事実をして語らしめよというしかない現実がそこでは紹介されているので、この後は、ほとんど「引用」ベッタリになってしまうが、ここまでの記述に免じて、著者や関係各位にはご海容願えれば幸いである。
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う〜ん。ほとんど引用してしまった、と言うか、転載か?
やっとこさ省いたのは、P19〜P25の、見出しとしては、
・上下水道の処理能力不足で、立ち並ぶ仮設トイレ
・大渋滞が予想される、会場に向かう橋とトンネル
の2項目だけだった。
だが、ここまで読んでくれた方なら、「大阪万博」の現状が、テレビニュースでやっているような「パビリオンの建設が遅れているが、なんとか間に合わせる」といったレベルの話ではない、というのが、よくわかっていただけたと思う。
要は、「大阪万博」は、「カネだけではなく、人命まで、ドブに捨てる」ようなイベントだということである。
こんなものに、大阪府民の場合は、一人頭2万円もの税金を遣われるという話をテレビでやっていたし、それほどではなくとも、全国民のみなさんにも、相応の負担を強いてしまうことになるのだ。
大切な税金を、本当にこんなものに遣ってしまっていいのだろうか?
西谷が書いているように「損切り」してでも、万博を中止すべきではないのか?
それでなくても、「能登半島大地震」が発生して、困っている人が大勢いるというのに。
「大阪万博」に2万円取られるくらいなら、ケチな私でも、喜んで地震の被災者に10万円くらい寄付するし、そのように考える大阪府民も(維新の支持者は、どうか知らないが)決して少なくはないはずである。
ともあれ、このレビューを読んだ方は、ここで知ったことを、何でも良いから広めていただきたい。
私の「引用」が信用ならなければ、本冊子『万博崩壊 どこが「身を切る改革」か!』を購入して読んで、人にも薦めていただきたい。
もはや、「大阪万博」は、売国的かつ亡国的な行事だと言っても良いのである。これは「愚行」と呼んで済ませることのできるレベルの話ではないのだ。
怒れ、まともな日本国民!
簡単に諦めたり、泣き寝入りしたりなどせずに、やれることをやれ! 石を投げることくらいなら、誰にでもできるはずだ!
(2024年1月6日)
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