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読書・講演記録

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#読書記録

吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住み始め早3年が経過した。

これまで住んできた街と同様、引っ越してきてから次第に吉祥寺の住環境が好きになってきた。

吉祥寺の魅力については人それぞれ意見が異なると思うが、個人的には何といっても「井の頭恩賜公園」という歴史と風情を備えた公園が生活圏内にあることだと思う。

休日に池を眺めるのも良いし、子供と水生物園や三角広場で遊ぶのも良い。また、少し南に下ればジブリの森美術館にも行けるし

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D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

本書は1936年に初版が刊行された後、世界中で読み継がれているリーダーシップ本である。日本では主にビジネス書としての位置付けで引用されたり参照されることが多いが、英語の原題は「How to win friends and influence people」であり、ビジネスの場面以外の友人関係の場、社交の場でも十分応用が効く原則ばかりが並んでいる。

以下、本書に記載されていた記述のうち、心に残った

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「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

ソニーの元CEO、平井一夫氏の著作「ソニー再生」を読んだ。

平井一夫氏はソニー在籍中、ソニーグループ3社の事業再生を手がけた、事業再生請負人である。

最初はわずか35歳にしてアメリカのサンフランシスコの南にあるフォスター・シティにあるソニー・コンピュータ・エンターテインメント・アメリカの事業再生を手がけた。

その後日本に戻ってからは(正確には、生活の拠点である米国か家族を残して日本に単身赴任

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「君たちはどう生きるか」は「何者かになりたい」と考えるモブキャラこそが読むべき名著

「君たちはどう生きるか」は「何者かになりたい」と考えるモブキャラこそが読むべき名著

宮崎駿が原作・脚本・監督を行った映画「君たちはどう生きるか」と全く同じタイトル(ただし内容は全く違う)の名著、吉野源三郎著の「君たちはどう生きるか」を読んだ。

自分の子供用に買ったのだが、子供がまだ全く読む気配を見せていないので先に自分がこっそり読んでしまった。

この著作は題名の通り、どう生きるべきか(How)について書かれた本である。

一方で、何をすればいいか(What)となぜ生きるか(W

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内村鑑三著「代表的日本人」を読んで二宮金次郎のビジネスセンスとリーダーの才覚を知る

内村鑑三著「代表的日本人」を読んで二宮金次郎のビジネスセンスとリーダーの才覚を知る

キリスト教を日本に広く普及させたことで有名な思想家・内村鑑三の著作、「代表的日本人」を読んだ。

内村鑑三は本書を通じて、日本が海外いに誇る代表的・模範的な日本人として西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5名の生き様を詳細に記している。

5名全員、私利私欲に滅し、驕ることなくひたすら周囲の人や社会、国家のために自身を捧げた素晴らしい生涯を送った点は共通している。

が、中でも二宮尊徳(

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藤田田(でん)氏の著作、「ユダヤの商法」と「勝てば官軍」を読んだ感想

藤田田(でん)氏の著作、「ユダヤの商法」と「勝てば官軍」を読んだ感想

日本マクドナルドの創設者であり、若き日の孫正義氏に「米国ではITを学んできなさい」と助言を行った故・藤田田氏のベストセラー2冊を読んだ。

結論、あまりにも情緒的・感情的な記述が多く、また「欧米は凄いのに日本は全くダメ」といった西高東低論が次々と展開され、中には差別的発言や品のない表現が多く、後味の悪い著作であったことは否めない。

だが、この方がいなければ孫正義氏は米国でITでの起業をせず、ソフ

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「ニュータイプの時代」を読んで感じた自分の日常に対する違和感

「ニュータイプの時代」を読んで感じた自分の日常に対する違和感

2019年4月に出版されたニュータイプの時代を今更ながら読んだ後、自分の職場の周りに21世紀型のニュータイプがいるかどうか思いを巡らせたが、自分も含めて一人もいなかったことに驚愕した。

オールドタイプは顕在化している課題について対処する一方、ニュータイプはそもそもの課題を発見する。

オールドタイプは論理性を皆と同じ正解を探すが、ニュータイプはありたい姿を構想しながら未来を創り出す。

オールド

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福翁自伝(福沢諭吉著、現代語訳)を読んだ

福翁自伝(福沢諭吉著、現代語訳)を読んだ

日本国紙幣のうち最も高額である一万円札の顔である福沢諭吉。この度一万円札の顔が渋沢栄一に変わることに伴い、福沢諭吉の著作である「福翁自伝(現代語訳)」を読んでみて、改めてどんな人物であったのかを自伝を通して探ってみた。

佐賀県唐津市というやや閉鎖的で封建的な社会の中で生まれ育った諭吉は、神社の御神体の石を他の路傍の石と交換し、神の罰当たりは存在しないと確証した少年時代を送った。その後は酒に浸りま

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証券アナリストジャーナル読後メモ:M&Aと日本企業の成長ークロスボーダーM&Aを中心にしてーby 宮島英昭

証券アナリストジャーナル読後メモ:M&Aと日本企業の成長ークロスボーダーM&Aを中心にしてーby 宮島英昭

https://www.saa.or.jp/dc/sale/apps/journal/JournalShowDetail.do?goDownload=&itmNo=35266

証券アナリストジャーナルを2010年頃からずっと購読している。著名な学者そして経営者の貴重な講演や論文を閲覧できることができ、大変勉強になっている。年会費18,000円は維持コストとして高い、という声も周囲でよく聞くが、月

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「僕は君たちに武器を配りたい」(瀧本哲史著)を10年ぶりくらいに読んだ

「僕は君たちに武器を配りたい」(瀧本哲史著)を10年ぶりくらいに読んだ

色々と書籍を整理していた際、数年前に急逝された瀧本哲史さんの初期の著作、「僕は君たちに武器を配りたい」が出てきたので久しぶりに読み返してみた。確か最初に読んだのは2011年だった。

当時、20代だった自分は色々と英語や会計やIT関連の試験勉強に励んでいた最中だったので、英語、会計、ITというのはあくまで人に使われるための知識であり、きつい言葉で言えば「奴隷の学問なのである」という部分に衝撃を受け

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30代後半の主人公の悲哀が少し理解できる田山花袋著「蒲団」

30代後半の主人公の悲哀が少し理解できる田山花袋著「蒲団」

群馬県が誇る文豪・田山花袋の代表作「蒲団」を読んだ。30代も半ばに差し掛かり、すでに男性としての魅力は失われ生活に華がない、とは言え既に結婚もして子供も授かり、これから徐々に老いていくのだろうと有る意味男としての人生を諦めかけていたごくごく普通の男性が主人公である。ところが、こうした華のない生活が突如として一変する。自分のことを「先生、先生」と慕ってくれる可愛い一回り下の女性が寄ってくるのだ。自分

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「銃・病原菌・鉄」を読んで、農耕民族と狩猟民族の違いについて考える

「銃・病原菌・鉄」を読んで、農耕民族と狩猟民族の違いについて考える

はるか昔の学生時代、米国西海岸にてコンサルタントとして働く日本人の方のセミナーを受講したことがあったが、その中でその講師の方が言っていた興味深い発言があった。それは
「日本人のルーツは農耕民族だが欧米人のルーツは狩猟民族。だから思考も行動様式も異なる。農耕民族は控え目で意思決定も遅い一方、狩猟民族は主張が強く、意思決定も早い。これからの世界では狩猟民族型の思考を身につけなければならない」
といった

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帝王学のバイブル「貞観政要」は少し歳を取ってから読まないと理解ができない理由

帝王学のバイブル「貞観政要」は少し歳を取ってから読まないと理解ができない理由

唐の太宗とその配下の腹心たちとの対話集を通じて、その太宗のリーダーとしての謙虚さ・高潔な精神が最初から最後まで読み取れる名著。日本においては北条政子や明治天皇、さらには徳川家康も読み、治世の術を学んだという。
「名君は部下の耳の痛い諫言(かんげん)もきちんと聞くべき」
「部下のいうことを信頼し、よく聞くのが名君」
といった、部下の言葉に理解を示し、「そうだな、もっと耳の痛い話もしてくれ。そして皆の

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セネカが「生の短さについて」で語っていることはホリエモンの人生哲学に通じる部分が多い

セネカが「生の短さについて」で語っていることはホリエモンの人生哲学に通じる部分が多い

”タイム・イズ・マネーという言葉は間違っている。お金なら増やすことも可能だ。しかし、時間だけは誰にも増やすことができない。まさしく有限の「命そのもの」であり、タイム・イズ・ライフなのである。”とはホリエモンの言葉だが、既に2000年前にローマ帝国の哲学者、セネカが同じようなことを言っていたことに驚かされる。いや、セネカがホリエモンと同じことを言っていたのではなく、ホリエモンがセネカという歴史上著名

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