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「僕は君たちに武器を配りたい」(瀧本哲史著)を10年ぶりくらいに読んだ

色々と書籍を整理していた際、数年前に急逝された瀧本哲史さんの初期の著作、「僕は君たちに武器を配りたい」が出てきたので久しぶりに読み返してみた。確か最初に読んだのは2011年だった。

当時、20代だった自分は色々と英語や会計やIT関連の試験勉強に励んでいた最中だったので、英語、会計、ITというのはあくまで人に使われるための知識であり、きつい言葉で言えば「奴隷の学問なのである」という部分に衝撃を受けた。だが、その後すぐに「20代の社会人で、起業や独立でもしていない限り、奴隷状態でない者なのいるだろうか。特に大企業会社員は皆奴隷だろう。であればこの時期はこの奴隷3点セットの習得を甘んじて受け入れよう。多分いつかきっと役に立つ」と開き直った記憶がある。まあ、本質的には今も引き続き奴隷という点に変わりはないけれども。

以下、読み返しても刺激的な文章が多いので、記憶に残った部分を抜粋して記載しておきたい。

1. 投資家的に生きる

・大切なのは不労所得を得ることではない。投資家的に考える、ということなのだ。一攫千金を狙うのではなく、自分の時間と労力、そして才能を何につぎ込めばそのリターンとしてマネタイズ=回収できるのかを真剣に考えよ、とのことだ。

・「ブームになってから投資すると、死ぬ」が投資の鉄則だ。誰も投資など考えられない、焼け野原のようになっているときに投資して、誰よりも早く実った果実を回収し「まだ儲かる」と普通の人が思い始めるタイミングでさっと身を引く。

2. 勉強について

・勉強(努力)と収入は比例しない。残念ながら、それが今の日本の現実なのだ。

・勉強ブームの陰には不安解消マーケティングがある。勉強すれば大丈夫だと安易に思ってはいけない。

英語、会計、ITというのはあくまで「人に使われるための知識」であり、きつい言葉で言えば「奴隷の学問」なのである。

・社会に出てから本当に意味を持つのは、インターネットにも紙の本にも書かれていない、自らが動いて夢中になりながら手に入れた知識だけだ。自分の力でやったことだけが本物の自分の力になるのである。

・資格や専門知識よりも、むしろ自分で仕事を作る、市場を作る、成功報酬ベースの仕事をする、たくさんの部下を自分で管理する、というところにこそ、「付加価値」が生まれるのである

3. キャリアについて

・日本の景気全体がよくなり、この国だけで生きているだけで幸せになれる、という時代は残念ながらもう来ない。

・現在好調な会社に就職することは、数年後にほぼ間違いなく輝きを失っている会社に就職することと同義である。

・寿退社を狙うとはつまり、夫に自分の人生すべてをかけるということである。死ぬまで健康な男はいない。絶対につぶれない会社も存在しない。他人に自分の人生をリスクを100%ゆだねることほど、危険なことはないのである。

・現在好調な会社に就職することは、数年後にほぼ間違いなく輝きを失っている会社に就職することと同義である。

・歴史のある会社でも、先行きがあまり明るくない企業を見分ける方法はある。まず40代、50代の役職者が大量にいる会社は危険だ。生産性が低いのに給料が高い高齢社員がたくさんいるということは彼らの給料や退職金を稼ぐために、若い社員がたくさんの負荷を課せられているということだ。

4. 職業について(漁師を例に挙げながら)

・海で魚をとる漁師にも、儲かる漁師と儲からない漁師がいる。

1. とれた魚をほかの場所に運んで売ることが出来る漁師(トレーダー)
2. 一人でたくさんの魚をとるスキルを持っている漁師(エキスパート)
3. 高く売れる魚を作り出すことができた漁師:商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人(マーケター)
4. 魚をと新たな仕組みを作り出す漁師(イノベーター)
5. 多くの漁師を配下に持つ、漁師集団のリーダー
6. 投資家的な漁師(インベスター)

・2のエキスパートが食えなくなる理由は、ここ10年間の産業のスピードの変化がこれまでとは比べ物にならないほど早まっているから。

・3のマーケターとは、顧客の需要を満たすことができる人だ。大切なのは、顧客自体を新たに再定義することである。コモディティ化が進む中で、唯一の富を生み出す時代のキーワードは「差異」である。成功するビジネスにはストーリーがある。

・4のイノベーターについて。既存のものを、今までとは違う組み合わせ方で提示すること。それがイノベーションの本質だ。ほかの業界、ほかの国、ほかの時代に行われていることで、「これはよい」といアイデアは徹底的にパクればよいのである。

・今ある技術を組み合わせることで、世界を変えるイノベーションを生み出すことがいくらでもできる。

・リーダーは多くの人から支持される人物だと思いがちだが、それも大きな間違いだ。実際には人間を「敵と味方」に分けて、敵である相手を徹底的に叩き潰すといったタイプが多い。

5. その他、印象に残った箇所

・伯楽は、嫌いな相手に名馬の見分け方を教え、好きな相手には駄馬を見分ける方法を教えていた。なぜなら、世の中には、名馬よりも駄馬のほうがずっと数が多いからだ。めったに存在しない名馬を見分ける眼力よりも駄馬の中から本当にダメな馬をふるい落として、気性は荒いけれども力が強かったり、足は速くないがスタミナがあったりする馬の素質を見抜いて、適材適所に使える能力のほうがずっと役に立つからである。

・資本主義では「自分の少数意見が将来、多数意見になれば報酬を得られる」という仕組みになっている。

たとえ自分でリスクをとって失敗したとしても、他人のいいなりになって知らぬ間にリスクを背負わされて生きるよりは100倍マシな人生だと私は考える。






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