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洋上風車の国内市場規模、厚板鋼板需要増について

洋上風車の国内市場規模、厚板鋼板需要増について

以下、上記の日経記事から、洋上風力発電関連の市場規模を学ぶ上で勉強になった箇所と、そこから導出できる数字について抜粋しておきたい。

政府は国内での洋上風力の新規案件の目標として30年までに計1000万キロワット、40年までに3000万〜4500万キロワットを掲げる。

1000万キロワットは風車約600基分に相当する。

つまり、40年までに1800基〜2700基の風車が新たに建設される見通しで

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中国の不動産市況の低迷が金融危機を引き起こす可能性はほぼない、という論文を読んだ

中国の不動産市況の低迷が金融危機を引き起こす可能性はほぼない、という論文を読んだ

https://www.saa.or.jp/dc/sale/apps/journal/JournalShowDetail.do?goDownload=&itmNo=40662

このところ、NASDAQも史上最高値を更新し、日経平均株価も史上最高値近辺で推移している中、潜在的な金融危機のリスクは世界のどこかで存在しているのだろうか。

その潜在的なリスクの震源地として、中国は考えられないだろうか。

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「質より量」も大切だが、「量よりスピード」の方が大切;箕輪厚介著「かすり傷も痛かった」より

「質より量」も大切だが、「量よりスピード」の方が大切;箕輪厚介著「かすり傷も痛かった」より

仕事においては「まず質より量を重視せよ。圧倒的な量をこなすことが質に転嫁する」と言われる。

だがこれは本当なのだろうか。

「一万時間の法則」を信じて圧倒的な時間を費やし量をただひたすら闇雲に過ごした時間は質に転嫁するのだろうか。

王貞治は現役時代、毎日500本の素振りを日課として行っていたという。だが、この500本という数に達成することだけを追い求め、一本一本の素振りに集中していなかったらス

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AIが人類を滅ぼすかも知れないというAI脅威論は現状心配しなくてもいい、という見解

AIが人類を滅ぼすかも知れないというAI脅威論は現状心配しなくてもいい、という見解

https://twitter.com/JosephJacks_/status/1728510229133119644

AI(人工知能)が人類に脅威を及ぼすというAI脅威論は古くから存在する。

その脅威論が具体化された形で表現されているのが映画「ターミネーター」に出てくるロボットたちであり、映画「2001年宇宙の旅」のHALなどである。漫画で言えば火の鳥の未来編に出てくる「ハレルヤ」も該当する

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憎しみの連鎖を断つ方法は、相手を許すことではなく、相手の家系を絶やすことだという身も蓋もない事実を歴史から学ぶ

憎しみの連鎖を断つ方法は、相手を許すことではなく、相手の家系を絶やすことだという身も蓋もない事実を歴史から学ぶ

最近、小学生の息子が世界史や日本史に興味を持っていることをきっかけに、歴史関連の書籍を一緒に読むようになった。

そこで気づいたのは、冒頭の美しいガンディーの名言とは裏腹に、相手を許して争いを終結させたケースは少なく、逆に相手の一族を根絶やしにしたことで争いが終わるケースが多い、ということだ。

際たる例は豊臣一族を滅亡させた徳川家の例だろう。豊臣一族を根絶やしにすることで憎しみの連鎖を断ち、徳川

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金持ちがやらない10のこと、貧乏人の7つの習慣

金持ちがやらない10のこと、貧乏人の7つの習慣

2つの英語の動画を観たので内容を以下にメモしておきたい。記載していること全てに同意しているわけではないが、日本の金持ち指南書に書かれている内容と重なる事項が多い。

ただ、<金持ちがやらない10のこと>の3と10は同意しかねる。3については、米国では社会構造上、どうしても借金にむしばまれる人が一定程度でてきて貯金のできない人が存在する。それをあたかも本人の努力不足であるかのように決めつけるべきでは

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吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住み始め早3年が経過した。

これまで住んできた街と同様、引っ越してきてから次第に吉祥寺の住環境が好きになってきた。

吉祥寺の魅力については人それぞれ意見が異なると思うが、個人的には何といっても「井の頭恩賜公園」という歴史と風情を備えた公園が生活圏内にあることだと思う。

休日に池を眺めるのも良いし、子供と水生物園や三角広場で遊ぶのも良い。また、少し南に下ればジブリの森美術館にも行けるし

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二デック(旧日本電産)の永守重信会長「運をつかむ」を読んで、なぜ経営者は験担ぎをするのかを少し理解する

二デック(旧日本電産)の永守重信会長「運をつかむ」を読んで、なぜ経営者は験担ぎをするのかを少し理解する

なぜ多くの経営者は手相占い、神社の参拝等、自分を超越した存在により縋ることが多いのか。

その思考回路の一端について、二デック会長・永守会長の著書「運をつかむ」を読んで少し理解ができた気がした。

永守会長の人生観は、「運が7割、実力が3割」というものである。

ここで重要なのは、始めから運任せにして7割の成功が自然にやってくるのでではなく、自力で3割の努力を積み上げた上で、運の7割がやってくる、

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D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

本書は1936年に初版が刊行された後、世界中で読み継がれているリーダーシップ本である。日本では主にビジネス書としての位置付けで引用されたり参照されることが多いが、英語の原題は「How to win friends and influence people」であり、ビジネスの場面以外の友人関係の場、社交の場でも十分応用が効く原則ばかりが並んでいる。

以下、本書に記載されていた記述のうち、心に残った

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証券アナリストジャーナル読後メモ:AI / IoTは経済構造をどう変えるのか 柳川範之

証券アナリストジャーナル読後メモ:AI / IoTは経済構造をどう変えるのか 柳川範之

https://www.saa.or.jp/journal/eachtitle/pdf/taikai_161201_1.pdf

証券アナリストジャーナルを2010年頃からずっと購読している。著名な学者そして経営者の貴重な講演や論文を閲覧できることができ、大変勉強になっている。年会費18,000円は維持コストとして高い、という声も周囲でよく聞くが、月にならせば月額1,500円である。月一回の外食を

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「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

ソニーの元CEO、平井一夫氏の著作「ソニー再生」を読んだ。

平井一夫氏はソニー在籍中、ソニーグループ3社の事業再生を手がけた、事業再生請負人である。

最初はわずか35歳にしてアメリカのサンフランシスコの南にあるフォスター・シティにあるソニー・コンピュータ・エンターテインメント・アメリカの事業再生を手がけた。

その後日本に戻ってからは(正確には、生活の拠点である米国か家族を残して日本に単身赴任

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「君たちはどう生きるか」は「何者かになりたい」と考えるモブキャラこそが読むべき名著

「君たちはどう生きるか」は「何者かになりたい」と考えるモブキャラこそが読むべき名著

宮崎駿が原作・脚本・監督を行った映画「君たちはどう生きるか」と全く同じタイトル(ただし内容は全く違う)の名著、吉野源三郎著の「君たちはどう生きるか」を読んだ。

自分の子供用に買ったのだが、子供がまだ全く読む気配を見せていないので先に自分がこっそり読んでしまった。

この著作は題名の通り、どう生きるべきか(How)について書かれた本である。

一方で、何をすればいいか(What)となぜ生きるか(W

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フィンテックカンファレンス、LendIt 2019に参加した時の記録

フィンテックカンファレンス、LendIt 2019に参加した時の記録

2019年4月、米国・中国・欧州で毎年開催されていたフィンテックカンファレンス、LendItに参加した当時の記録が残っていたので以下に記載したい。当時からすでに5年近く経っているものの、結論そこまで大きくフィンテックをとりまく状況は変わっていないのではないか、と思える。

それもそのはず、当時「フィンテックが既存の金融機関を置き換え、脅かす」と言われていた脅威論は今となってはほぼ消え、「確かにフィ

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永井荷風の「吾妻橋」を読んで、いつか港区女子文学・パパ活文学が生まれることを期待する

永井荷風の「吾妻橋」を読んで、いつか港区女子文学・パパ活文学が生まれることを期待する

永井荷風といえば、「あめりか物語」や「ふらんす物語」など、高等遊民的な立場で海外での生活を記した文学作品が有名だ。そんな永井荷風が戦後に書いた短編小説集・随筆集を読んだ(上記リンクご参照)。

合計18の作品が掲載されていたのだが、中でも目を引いたのは、現代でいう「パパ活」を行なっていた女性を主人公とした作品「裸体」「吾妻橋」だ。

戦後の永井荷風はよく浅草の街を歩き、ストリップ劇場の踊り子たちと

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