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へやのそと

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#自由詩

【詩】山桃

【詩】山桃

ちゃんとできているかな
できてないんじゃないかな
すべて安っぽいニセモノの苦悩で
わたしってば 作られてるんじゃないかな

歯でさえも
ちゃんと磨けてない気がして
染め出し粉を擦りつけてみる
磨き残しがあると真っ赤になっちゃうから
恨みがましく鏡に向かって
イーってすると
そこには白い歯があった
なんだ
ちゃんと磨けてるんじゃん

気分がよくなったわたしは
山桃を口に放り込む
さっきスーパーで買っ

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【詩】しんたい

【詩】しんたい

すっかり通り過ぎてから
嗚呼あの電車に乗っておけばよかったと
思う人生かもしれない
ひょっとして僕の人生は
披露する予定もない
Smells Like Teen Spiritを口ずさんでる
そういう人生かもしれない

30、30、30代の身体が
昼に夜にカサカサと音をたてる
こんなに生きてたら
ウンザリしてきやしないか
ここにこうしていることが
お前はどこにいきたいんだ
身体よ

思考は
孤独な最

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「キスに蘇る想い出」

「キスに蘇る想い出」

あなたとの キス
一つ一つに 蘇る想い出

春の 公園で
ブランコを 押してくれた
空に 舞うような気分の キス
蝶々が 横で みつめてた

カモメが 飛び交い
汽笛響かす 小舟
ガラス色の 波をすべる
街の灯り 星屑のよう
海風に 髪を流しながらキス
揺れて チョッピリ塩辛かった

灼熱の 砂の浜
砂の 一粒一粒が 
夏の思い出 記す
波打ち際 横たわり キス
遠い南の国の 味がした

母の命日

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「夏色の街」童話詩

「夏色の街」童話詩

あの地平線 目指してゆけば
夏色に湧く 街がある
あの子と 一緒に
手を取り合って
鳥になって 飛んでいきたい

父さんが くれた
熱い 言葉
母さんが くれた
美しい 夢
全部 カバンに 詰め込んで
広い草原 越えていく

あの子が もしも
涙ぐんでも
白い 渡り鳥が
慰めて くれる

ボクが もしも
心 折れても
大空の 雨粒が
癒して くれる

夏色の街には
妖精たちが 住み
幸せの種を

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【詩】かわいい世界

【詩】かわいい世界


マンションのおとなりさん
引っ越したばかりの時に怒られてから少し苦手なのに
昨日ベランダでビール飲んでるのがちらっと見えて
ぷしゅっと気持ちのいい音で

ここからの眺め最高だもん
飲みたくなるのわかるよ
と思えたら
ちょっとだけ愛せるような気がしてきた

ちくしょう
孤高の人間でいたかった
動物だったらオオカミがよかった
素材だったらシルバーが
映画だったらミステリーが
形だったら四角が
味だっ

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