【詩】山桃
ちゃんとできているかな
できてないんじゃないかな
すべて安っぽいニセモノの苦悩で
わたしってば 作られてるんじゃないかな
歯でさえも
ちゃんと磨けてない気がして
染め出し粉を擦りつけてみる
磨き残しがあると真っ赤になっちゃうから
恨みがましく鏡に向かって
イーってすると
そこには白い歯があった
なんだ
ちゃんと磨けてるんじゃん
気分がよくなったわたしは
山桃を口に放り込む
さっきスーパーで買ってきたやつ
甘酸っぱい果肉を剥ぐと種だけが残る
わたしは種をペッと吐き出して
テーブルに積み上げていく
もう一度イーってしてみると
歯は真っ赤に染まっていた
山桃の生命力を吸い込んで
わたしってば
あともうしばらくは大丈夫なのかも
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