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【詩】たすけないでください
僕に優しくしないでください
何もお返しすることができません
僕を褒めないでください
誰でもできることをやっただけです
僕を認めないでください
何の役にも立てていません
僕を許さないでください
僕に授けられた罪と罰を
どうか奪わないでくれませんか
僕を慰めないでください
僕を愛さないでください
足りない僕が悪いのに
いつも誰かを妬んでは
いつも誰かを裏切って
いつかあなたを傷つけます
だ
【詩】魚かもしれない
私は魚かもしれない
魚でないというのなら
どうしてこんなにも地上は息苦しい
魚でないというのなら
どうしてこんなにも人の話がわからない
魚でないというのなら
どうしてこんなにも奇異の目で見られる
私はたぶん魚なのだ
ひれやうろこはないけれど
自分のことを人間だと思い込んでいただけの魚だったのだ
ここは私のいるべき場所ではない
早く帰らなければ
あの青く澄んだ、自由の海に
私は魚なのだから
【短編小説】おしゃべりの時間
「私カオリ。あなたはどうして、そんなところにぶら下がっているの?」
「それはね、揺れるのが好きだからさ」
「あなたはどうして、そんなにもしわしわなの?」
「それはね、たくさんの苦労を経験したからさ」
「あなたはどうして、そんなにも毛むくじゃらなの?」
「うーん、素顔を見せるのが少し恥ずかしいからなのかもしれないね」
「ふーん。あなたはどうして、そんなにも強いにおいを放っているの?」
「それは