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地球とともに死にたいのだ

人間という種はだいたい80歳〜100歳辺りで死ぬ作りになっている。私も順当にいけばあと60年、長くて80年ほどしかこの地球上に存在できない計算である。

生物である以上、死というものからは誰ひとりとして逃れられない。それは人間たちの間では周知の事実である。皆、いつか自分が死ぬことを知りながら生きているのだ。だから、ふとした会話で『理想の死に方』のようなものが議題にあがったりする。
皆それぞれ意見はあると思うが、やはり『天寿を全うし、愛する家族に看取られながら死ぬ』というのが一番平和的で幸せな死に方であろう。よほどのマゾヒストであれば、溺れたり、焼かれたり、斬られたりしたいのかもしれないが。

さて、私の理想の死に方はというと、正直言えば永遠に生きられればそれが一番いいのだが、あえて言うなら『地球上で最後の生き残りになり、地球の崩壊とともに死ぬ』、これである。

これにはれっきとした理由がある。

私が死んだ後の世界を知っている人間が存在するということが許せないからだ。

私が80年後に死んだとして、きっとその後も、新しい人間が生まれ、技術が生まれ、文化が生まれていくだろう。逆に失われるものも多くあるかもしれない。世界は回るのだ。私がいないのにもかかわらず。そんなの、ずるいとしか言いようがない。
だからいっそのこと、地球の歴史の終焉とともに人生の幕を閉じたいのである。その時が来るまで、まだ死ぬわけにはいかないのである。

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