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私の本棚

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たまにする読書。その時感じたことや考えたことなどを綴ります。
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『華氏451度』

『華氏451度』

一見風変わりな印象を受けたこのタイトルに込められた意味を知った時、全身に鳥肌が立つ思いがした。その本とは、レイ・ブラッドベリの『華氏451度』。

小説!フィクション!!のはずなのに、70年以上前に書かれたにしては、作者は、現代社会がこうなることを予め知っていたんじゃないか?と思ってしまう。

それくらい、現代社会の在り様を如実に表しているように、私には感じられた。

情報過多な現代社会。そこで如

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読むだけで情景が目に浮かぶ、宮沢賢治が紡ぐ言葉が好き。

読むだけで情景が目に浮かぶ、宮沢賢治が紡ぐ言葉が好き。

宮沢賢治の、美しく、どこか自然を超越しているかのようなあの世界観に没入している瞬間が、私にとっては快楽的であり、且つ癒しのひととき。

中でも銀河鉄道の夜は、何度でも読み返したくなる、私の大好きな作品のひとつ。読んでいるだけで情景が目に浮かぶ文章に、尊敬の念を抱く。サザンクロス、りんどうの花、カムパネルラの存在や、台詞達の伏線…。

作品の好きな描写を挙げ始めたら、枚挙にいとまがない。あの全部を感

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宮沢賢治『風の又三郎』を読んだ。彼の文章を読んでいると、ワクワクするから好き。あとは、思わず声に出して読みたくなるし、実際に声に出してしまうから笑 ヨルシカの「又三郎」も併せて聴くと、楽しさが倍増するなって思うから、個人的にはオススメ。

最高にワクワクする時間

最高にワクワクする時間

最近、私の中で、読書熱が再燃している。

昨日図書館へ行った。ここ1カ月は、2週に1度、地元の図書館へ訪れて、本を返却した後、次に借りる本を物色している。(言い方、笑)

あの時間が、私は最高に好きだ。最高にワクワクする。

何と言っても、何冊借りても「無料」と言うのが大きい。知識や幸せの感情と言った無形の財産が、無料で手に入ると言ったら、少々邪かもしれないが…笑。

そんなことを思いながらも、純

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現実の何もかもから離れて没入できる読書は、私にとって本当に心の栄養になる。住野よるさんの「君の膵臓をたべたい」、何度読んでも新鮮な気持ちで楽しめるし心惹かれる、本当に大好きな1冊。

私はその人では無いから、安易に"分かる"と言うことは違うと思うんだけど、"共感できる"と言うのか、"感覚が理解出来る"と思うことが、読んでいて沢山あって。私もあなたも、ただそこに居るんだなって思えた一冊。

多様性は「多様性と言う考え方のうちのひとつ」でしかない

多様性は「多様性と言う考え方のうちのひとつ」でしかない

朝井リョウさんの「正欲」を読了した。読むのは今回が2回目。初回は約2年前、大学3年生の時。

読もうと思った動機は、友達が書いた、自身のおすすめの本を紹介したnoteを読んでいた時、ふとこの本を思い出したから。今回は、2日間で読破してしまった。

私は以前、この本を電子書籍として購入し、心が動いた部分には、(搭載された機能を用いて)本文にラインマーカーを引きながら読み進めていた。今回も、マーカーの

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多様性と言う言葉こそ、思考偏重なのだと思い知った。読み耽っていたらこんな時間🌃

誰かの靴を履いてみること

誰かの靴を履いてみること

やっと読めた。ブレイディみかこさん「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読了した。

と言うのも、高校生の頃、体育の授業でのこと。最初の5分、いつも先生の近況報告から始まった。その中で度々、この本を私達に薦めていた先生。

そしてその出来事を、数年経った今でもはっきりと覚えている私。

体育は苦手だったものの、その先生のことは苦手ではなかった。だからか、私は結構、その先生の話を聞くことが

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モネが過ごした時間や記憶を、鑑賞することで受け取っている

モネが過ごした時間や記憶を、鑑賞することで受け取っている

モネを摂取したい。

―表現が正しいのかは微妙だけど、読了後にそんなことを思った私。

それはつまり、

美術館でモネの作品を心ゆくまで鑑賞したい、味わいたい。

そういう意味だ。

原田マハさんの「モネのあしあと」を読んでいる最中、私には思い出したことがある。

それは昨年、一人旅と題して訪れた、香川県直島の美術館のうちのひとつ、地中美術館。

そこで見た、モネの連作である「睡蓮」を見た時の感動

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学びに行くのがやめられない読書

学びに行くのがやめられない読書

「バナナの魅力を100文字で伝えてください」と言うタイトルを目にした時、私の読書センサーが、びびっと作動した。

それから数年と言う時を経て、先日。図書館で対面を果たし、先程、小一時間で一気に、読み終えてしまった。

さて、連日読書の話で恐縮ではあるものの、今日も、読んでいて私の心に響いた箇所を2つ程、引用させていただく。

つまりこれらをまとめると、

一旦は「伝わらないこと」を前提にして相手に

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小説を読んで取り戻した、心の余白

小説を読んで取り戻した、心の余白

麦本三歩の好きなもの、読了。この本を一言で表現すると「麦本三歩の好きなものが詰まった一冊であり、三歩の言動が愛くるしくて、いちいちニマニマしながら読んでしまう」。そんな本であるように、私には感じられた。

読点つけなければ一言だろうと言う私の勘違いから、一文がやたらと長文になってしまったのは、ご愛嬌。

さて三歩の言葉の中でも、特に私の心にズドーンと響いた一節を、ここでは特別にご紹介。

誰かの言

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窓ぎわのトットちゃんを初読。先日映画を観賞して原作を読みたくなり、大学図書館で借りていたもの。トットちゃんの日常に入り込んだような感覚になって、終始ページを繰る手が止まらなかった。世界観に入り浸っていた。読書っていいなって改めて思えた。

"不安は挑戦している証拠"。そう思える時もあるし、思えない時もある。今の私はその狭間で揺れているなあって思って、終盤気付いたら泣いてた。そんな私すら、私は受け入れたいし、認めてあげたいなって思う。