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『温室デイズ』に救われた、中学時代

瀬尾まいこさんのエッセイを読んだ。中学校の教師として従事されていた瀬尾さんの日常が書かれていて、読んでいてほっこりした。そんな瀬尾さんのとある作品に、中学時代の私は救われていた。

その作品とは「温室デイズ」

単刀直入に言えば「いじめ」がテーマになっていて、学級崩壊や登校拒否等が取り扱われている。当時読んでいて、随分とリアリティがあるように感じていた。

だがまさか、瀬尾さんご自身が教鞭を取っていらっしゃっていたとは、当時の私は知らなかった。生々しさがあって読んでいてつらくなって、何度も読むのを止めたくなったのを、今でも覚えている。文字通り、衝撃的だった。だけどそれ以上に当時の私の心を、この本は確実に救ってくれた。

中学時代、私のクラスメイト達は、我儘な人がほとんどだった。その多くは自分さえよければ、他人のことなんてどうでもよかったんだと思う。そんな周りとは正反対、利他的な行動が常だった私は、悪い意味で自分本位の人間達が集う環境に適応できず、苦しみ抜いた。

それだけではなかった。

私が3年間お世話になった担任は、そんな自分勝手な生徒達を抱えつつ、加えて客観的に見ても明らかな業務過多と過重労働で(私が思うに)精神を病んで、結果的には軽く学級崩壊になっていた。

当時、担任は私に、全幅の信頼を寄せていた。私を信じてくれたことは、純粋に嬉しかった。でもだからと言って、何をしても許されるわけじゃないと思う。いつしか担任は担任としての仕事と、進路指導主任としての二重の責務を、抱えきれなくなったんだと思う。遂に担任から八つ当たりのようなことを受けたときは、やっぱり怖かった。

特に中3受験期、ただでさえ人格が変わってしまっていたのに、その時の担任はもう、私の知っているその人ではなかった。

ある時、私が少し確認があって先生に聞いただけなのに、些細なことで理不尽に怒鳴られ、罵声を浴びせられたことがあって。それを当時、私は受け止められなかった。私の心が弱いのが、いけなかったのかもしれない。けれどもその出来事は私にとって、軽いトラウマになった。

それでも、(これは私の知っている先生じゃないから)と言い聞かせて、言葉を真っ直ぐ受け止めないようにした。何とか心を保った。頑張ったよね。当時の私。

中学の3年間。教室に居ることが苦しくて辛くて、でも逃げる術を知らなかった私。そんな私にも、唯一の心の拠り所があった。それは学校の図書室。そんな図書室でこの本と出会った時、運命を感じた。

余談だけど、本好きが高じて図書委員にも毎年なった。当時の私は、上述したような出来事から大人不信だったけれど、図書室の司書の先生とは、それなりに親しく話ができていたし、愚痴も言えた。

そんな中学時代、心が壊れてぼろぼろな私に寄り添ってくれたのは、本であり言葉だったんだなと、今でも思う。

話が逸れてしまったけれど、そんな当時の自身の現状と、この作品の世界観はさほど乖離していなかったらか、私は物語に入り込みやすかったし、フィクションだとは思えないくらいだった。


読んでくださってありがとうございます。

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