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【読書感想文】ただしさに殺されないために~声なき者への社会論~御田寺圭(白饅頭)|③責任編|


「ただしさに殺されないために~声なき者への社会論~」。

私は、こちらの本を著者ご本人から、無料でプレゼントしていただいた。

「ただしさに殺されないために」、略して”ただころ”とは、連日のように事実それ以上陳列いけない案件を犯し、さらには白饅頭フォロー罪、白饅頭RT罪、白饅頭購読罪などを犯す罪人を世に放ち続ける、白饅頭尊師の著書である。

ちなみに私も、フォロー罪とRT罪、購読罪を犯している。

本書の帯には、このように書かれている。

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社会を引き裂く事件の背後に何があるのか。

ただしさと承認をめぐる闘争が日常と化したSNS時代に宿る<狂気>を解き明かす。

多様性の名のもとに排除し、自由、平等を謳って差別する

美しい社会の闇の底へー-


言葉を奪われた人びとの声なき叫びを記す30篇

本書は人のやさしさや愛情が社会に落とす暗い影の記録である。

私たちは、自分の中にある「悪」にまるで気づかなくても自覚的にならなくても生きていける。そんな平和で安全で快適な社会で暮らしている。自分たちが狭量で排他的な人間であることから、ずっと目を逸らしていける、配慮のゆきとどいた社会に生きている。

ひとりひとりが抱える心の傷と痛み
だれもが内に宿しているちいさな差別心…
世界が複雑であることへの葛藤を手放し
だれかを裁くわかりやすい物語に吞み込まれた
感情社会を否定する  

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まるで、「フェミニスト」や「リベラル」、「人権活動家」などが闊歩する「インターネット世論」に、中指を立てるかのような紹介文だ。

このような暗黒の書籍を読んでしまって、本当によいのだろうか。

世間の「ただしさ」に迎合してそれらしく振る舞っていた方が、楽に生きられるのではないだろうか。

そんな考えが頭をよぎる。

しかしだ。「ただしさ」に迎合したとして、それが本当に世界を明るくするのだろうか。

私の考えは否だ。

よって私は、「ただころ読破罪」へと歩みを進めた  

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「ただころ」は、序章・終章を含む全7章、30節によって構成されている。

本来であれば全章について詳細に語っていきたいところであるが、有料の書籍であるからそういうわけにもいかない。

そこで、少しだけを抜き出して語っていきたいと思う。

(注)「引用箇所(出典あり)」以外の記述はすべて私見であり、御田寺圭氏の思想とは何ら関係がないことをここに明記しておく。

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 ある過激な思想に耽溺していた人が、しばらくすると別の過激な思想の信奉者になっていたり、もしくは両方をかけもちしていたり  といった光景はよく目にする。「エコロジー系のオピニオンリーダーを信奉していた人が、次は反原発運動にのめり込み、最近では反ワクチン活動家になった」(中略)ラディカルなフェミニズム思想にも賛同していた」  といった具合だ。

ただしさに殺されないために~声なき者への社会論
第1章|ただしい世界| 5|共鳴するラディカリズムより

身も心も弱り、疲れ切っている人の目に提示されたシンプルな物語が、なおかつ責任を外部化するものであれば、それはなおのこと魅力的にみえるようになる。

ただしさに殺されないために~声なき者への社会論
第1章|ただしい世界| 5|共鳴するラディカリズムより

「反ワクチン」、「本来のフェミニズムではなくツイフェミ」や、その他「リベラル」的な活動家に共通して見られる性質が、「思考停止」と「他責性」だ。

「私が生きづらいことを他人のせいにしたい」という他責思考を持った人間の目の前に、「シンプルで、筋の通ったー-ように見えるー-都合のよいストーリー」が現れる。

そこに思考停止で飛びついてしまい、過激な活動家や陰謀論者が誕生してしまうー-。


「思考停止」である、という点においては、「反原発」も共通しているだろう。

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人間とは、実に弱い生き物である。

「学校を卒業したから」というだけの理由で、「勉強」をやめてしまう者が多くいる。

「学びの楽しさ」を知っている人間であっても、「サボり」の誘惑に勝てないことがある。

「己の不幸を招いている原因は己の決断である」という現実を、認めたくないと思ってしまう。

実に弱い生き物だ。

しかし、これからの社会を生きていくには、これらの「弱さ」と向き合う必要がある。

社会の情報化が進み、「現代の1日に触れる情報量は、江戸時代の1年分」と言われるほどになった。

もちろんだが、その情報のすべてが「正」であるはずがない。

それどころか、ほとんどが「誤」であったり、「偏り」のあるものであったりする。

そのような時代に「思考停止」してしまえば、「活動家」や「陰謀論」の餌食えじきとなってしまうのだ。


玉石混交の情報の海から、ひとつまみの「砂金本質」を拾い上げる。

このとき、「金色に見えるゴミ」ではなく、正真正銘の「砂金」を見つけられる人間が、今後の社会を生き抜いていくことができるのだろう。

また、「他責思考」の人間がこのところ大きく増えているように感じるが、「他責の人間が幸せになれることはない」と断言しておこう。


SNS上で猛バッシングを受けている「自己責任論」だが、人生の本質はここにある。

「自分の人生」は「自分の責任」でしかないのだ。

「責任」とは、「ケツを拭く」ということ。

自分の人生、自分以外にだれがケツを拭いてくれるのか。

先生か?ママか?パパか?

子どものうちはそれでよいかもしれない。

と言っても、先生やママ・パパがケツを拭いてくれるのは「社会的責任」に対してであって、「貴様の人生そのものに対する責任」ではないのだが。


さらに、成人を迎えれば、すべてのケツを拭ける者は自分自身以外にない。

「原理原則」によって回っているこの世界において、この根本たる原理原則に反した人間が、「幸せ」など掴めるはずがないのである。

このように言うと、他責思考の人間が「私は幸せだ!」と言ってくるかもしれないが、私は「現実から逃げるのはもうやめろ」と言いたい。

「自分を騙すのはもうやめろ」と。

「自己責任」で生きることは、たしかに大変かもしれない。

しかし、得られる幸福感は圧倒的に大きいのだよ  

※Z世代の視点から、「なぜ中高年リベラルが嫌われるのか」について語っているnoteがある。

こちらのnote記事の内容は、「フェミニストが嫌われる理由」などにも通ずるところがあると思う。

有料部分、約4,800字、100円。よければぜひ。

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冒頭にも述べたが、"ただころ感想文"については、"ただころシリーズ"としていくつかの記事に分割して公開しようと思う。

読書感想文を書きながら"ただころ"を読み進めていたところ、半分ほどしか読んでいない段階で、文字数が10,000字を超えてしまったからだ。

ひとつ言えることは、「ただしさに殺されないために」は近年まれにみる良書である、ということだ。

ページをめくる手が止まらない。

2,200円と、書籍としては若干値の張る代物だが、金額以上の価値は十二分にあるだろう。

ぜひ、1冊。可能であれば、ご家族やご友人にも1冊と、お手にとっていただきたく思う。

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