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僕のこと

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僕の哲学や過去をまとめたマガジン
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小さな物語

小さな物語

去年の春。

青春を共に過ごしたデジタル一眼を売って、僕はフィルム写真家になった。

「フィルム写真家」なんて職業は実際には存在しない。

けれどもそう名乗りたいのは、僕があえてフィルムで撮ることにこだわっているからだ。

僕がフィルム写真に興味を持ち始めたのは、数年前にフィルムブームが再燃し始めた頃。

「フィルムで写真を撮ってみたい。」

初めはそれくらいの、単純な好奇心だった。

運のいいこ

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“未来の風景”を撮る。

“未来の風景”を撮る。

写真は過去の時間と空間を意図的に切り取り、閉じ込めておくだけの「箱」でしかないのだろうか。

好きな時間や感覚だけを、後から選び捨て去るためのものなのだろうか。

いつか見た景色が、ふと目の前に現れる時がある。

薄れていた遠い日の記憶が、だんだんと淡い輪郭を帯びて、目の前の景色と重なり始める。

動くたびに形を変える、木々の合間から差し込む光。

教室から見える、小さく動く人々。

部屋の明かり

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大学生活を終えて。

大学生活を終えて。

2016年春。

立命館アジア太平洋大学(以下APU)に入学した僕は、右も左もわからない普通の18歳の少年でした。でも、今はたくさんの仲間に囲まれて、毎日幸せです。そんな僕の物語を、感謝と共にここに残しておきたいと思います。

はじめに今思えば、僕の大学生活はちっぽけで平凡なものだったのかもしれません。足早に進んでいく現代からすると、マイペースで歯痒いものだったかもしれません。しかし、そんな大学生

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写真と持続可能性について。

写真と持続可能性について。

今日は、僕が今まで漠然と大切にしたいと思っていた「写真」「祈り」「ふつう」「持続可能性」が、ようやくつながった気がしたので、ここに書き記しておくことにします。

読んで共感していただけたら幸いですし、共感していただかなくても当然だと僕は思っています。今回は、僕と僕を取り巻く社会の未来の話をするので、前回の記事「はじめまして。」と合わせて読んでいただけると嬉しいです。

持続可能な開発目標(SDGs

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クリエイターの”価値”の付け方

クリエイターの”価値”の付け方

いつもありがとうございます。写真家の平末健人です。
今日は、「自分の値段の付け方」についてお話ししていけたらと思います。

「自分の値段」って、難しいですよね。僕も大学3年の時に本格的に写真を始めて、お金を貰えるようになった時にどうやって値段をつけたら良いのかかなり悩みました。きっと、この記事を読んでいる人のほとんどが、自分で自分の値段をつけたことがないと思うし、よくわからないと思います。

「自

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名もなき写真

名もなき写真

僕は名もなき写真を撮り続けたい。名もなき写真家でありたい。主張せず、競争せず、高め合わず、個性を潜らせていく。

誰が撮ったのかもわからない写真。その時代に多く溢れていたような写真。何を思って写したのか。何が伝えたかったのか。向き合うことがなければ、知ろうと思わなければ、大した価値のなさそうな写真。

それでも、そこに写る風景が自分がもう一度見たい未来の景色であることを祈る。誰かにとっても懐かしい

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「紡ぐ、鉄輪展。」 あとがき

「紡ぐ、鉄輪展。」 あとがき

円城寺と風我と一緒に「○」(わ)というタイトルで行った今回の展示。本当にたくさんのご来場ありがとうございました。

まずは、1週間を終えてみての率直な感想を綴った後に、ここに至るまでの様々な想いや苦労をまとめさせてもらいます。

今回の展示を終えて率直な感想を言うと、「本当にたくさんの人たちに支えられて今の自分があるのだなぁ」と、改めて考えさせられる1週間でした。

今回が特に今までの展示と違った

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この世界で生きていく。

この世界で生きていく。

大学の友達の田舎へ連れて行ってもらったのは、ほとんど勢いでした。今年のGWは第四波の影響でほとんど無いも同然。世間は情報で掻き乱される中、そんな全てから解き放たれるように、山陰の奥地にひっそりと佇む一軒のお宅にお邪魔しました。

毎年5枚の田んぼを家族で耕して、お米を育てているというお家。僕は田植えしかしたことがなかったので、一体どんなことをするのだろうとワクワクしていました。

まずは畦道の草か

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フィルムにこだわる。

フィルムにこだわる。

あまりご存じではない方もいると思いますが、僕は一応「フィルム専門」の写真家として少し前から活動しています。なぜ僕がフィルムにこだわるかという理由はきちんとあるので、今日はそのことについて少しだけ触れておこうと思います。

単刀直入にいうと、僕がフィルムにこだわるのは「残るから」です。

僕は何度か”祈り”と写真の関係性について語ってきました。祈りは僕の中で未来の誰かに対して「こんな未来を僕は望む」

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はじめまして。

はじめまして。

改めて言うのも恥ずかしいですが、はじめまして。平末健人と言います。

これを書こうと思ったのは、最近色んな人と出会う中で、ちゃんと「はじめまして」と言える人になりたいなと思ったからです。

SNSで繋がって毎日目にするけど、遠く離れた友達ばかりで、自分以外の人にとって自分はどんな風に写っているのだろうと、気になったからです。

生い立ち
僕は1997年10月16日、京都生まれです。
4歳くらいまで

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