けんちゃん

本を読んで考えたこと、甘いものを食べたりコーヒーを飲んだりして考えたことを書きます。

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喜多村英梨の現在地ー最新アルバム『IЯiDÉSCEИT%V!SIØN』を聴いた一般キタエリファンの感想

はじめに  2020年7月16日に喜多村英梨のアルバムがリリースされました。  これがまた現在のキタエリにしかできない音楽の表現になっているなぁと聴き込んでいてしみじ…

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さっそくだが、2巻を読んで気になる点は、ダスキンがスミレに熱線を撃とうとした瞬間、ダスキンの頭に幼いスミレの笑顔が映り、「違うだろ…お前の役割はそうじゃない…」…

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11日前
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けんちゃん
11日前
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メーヤウのカレーと辛いものを食べたくなるわけ

早稲田大学のそばにあった伝説的なカレー屋「メーヤウ」。近年、有志の手によって復活したのです。メーヤウといえば、一度食べたらやみつきになる辛さ。辛くて辛い。中本で…

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りんご飴

りんご飴専門店のりんご飴を食べた。 祭りの屋台にあるようなりんご飴とは違って、りんごがみずみずしくておいしいのだ。 一口かじると同時にパリッとした飴の食感とシャ…

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「プロレス的」という言い回し

 「プロレス的」という言い回しについて考えてしまった。もちろん、そのきっかけはTwitter上の塩村議員の発言とこれに対する反応といった一連の事件だ。  私たちが「プ…

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痛みの当事者になりきらない

前回、今後生じる価値は突き詰めるとわからないのであるから、現時点では無根拠に、えいやっと判断しなければならず、それは尊いことだということを書いた。 今日も今日と…

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文章に値段をつける

みなさんは、文字を売ったことがあるだろうか? 文字を売るというのは、そう、文章を売るということである。文章に値段をつけるということは、文章を買わせるということだ…

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ドトール、ジャーマンドック、世間話

 今回、しばらくの間、本を読んでみて、自分なりの批評をできないか、と思ってやってきたのだが、上手く書けるようになったのか、それとも段々と下手くそになっていったの…

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耳かき音声の哲学ー聴覚、触覚、「近さ」

 最近、ASMRが流行しているのをご存知でしょうか。  個人的には、耳かき音声がすごいです。イヤホンをつけて聞くとあたかも耳かきをされているかのように聞こえてくる音…

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けんちゃん
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フェミニズムではなく「おじさん以外の人」が生きるための方法として―松田青子『持続可能な魂の利用』読解

 あなたは「おじさん」に出会ったことがありますか?正直なところ、出会ったことのない人はいないと思います。学校、会社、あらゆるところに「おじさん」はいます。あなた…

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けんちゃん
8か月前
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喜多村英梨の現在地ー最新アルバム『IЯiDÉSCEИT%V!SIØN』を聴いた一般キタエリファンの感想

喜多村英梨の現在地ー最新アルバム『IЯiDÉSCEИT%V!SIØN』を聴いた一般キタエリファンの感想

はじめに

 2020年7月16日に喜多村英梨のアルバムがリリースされました。

 これがまた現在のキタエリにしかできない音楽の表現になっているなぁと聴き込んでいてしみじみしたので、私には音楽の専門知識はないのでレビューは書けませんが、感想をメモしたいと思います。
 また、ライブで聴いた印象も覚えている限りで(ここ重要)メモしておきます。

1『D!zzy ... &』

 うおー!キタエリの王道

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撃たれたのは「トランプ」だったのか?ー政治家の「政治的身体」に目を向けて

撃たれたのは「トランプ」だったのか?ー政治家の「政治的身体」に目を向けて

撃たれたのはトランプの身体ではない。トランプの「政治的身体」だ。

先日演説中のトランプ氏が何者かに銃撃されて傷を負った。幸い傷は浅く命に別条はなかったようだ。

このニュースがセンセーショナルだったのは、物理的な生命に対する危険性によるものだけではなかった。トランプ氏は銃撃された後、ボディガードに囲まれながらわずかながらその場にとどまり右腕を空に掲げたのだ。そのヒロイックな映像への収まり方が見る

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「雷雷雷」2巻の表紙絵がとてもえっちで驚いてしまった

「雷雷雷」2巻の表紙絵がとてもえっちで驚いてしまった

さっそくだが、2巻を読んで気になる点は、ダスキンがスミレに熱線を撃とうとした瞬間、ダスキンの頭に幼いスミレの笑顔が映り、「違うだろ…お前の役割はそうじゃない…」との声が聞こえたところだろう。

スミレが攫われて、「ダスキン」がスミレに移植されたのは、スミレを守りたいという者の意志によるものではないのか。1巻でスミレの心臓と「コア」の置換は、人間の技術では不可能であると説明されていたことと併せると、

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みんなは「雷雷雷」1巻をどこかで読んだことがある漫画の寄せ集めだと言うが私はどれも読んだことがない

みんなは「雷雷雷」1巻をどこかで読んだことがある漫画の寄せ集めだと言うが私はどれも読んだことがない

市ヶ谷スミレ18歳、エイリアンに攫われる(そして、エイリアンから生える)。

なんじゃそれと思われるかもしれないが「雷雷雷」はそんなノリの漫画である。

舞台は、50年前に人類が地球外生命体(エイリアン)との戦争に勝利した後の世界だ。エイリアンは、二つの異生物、「宇宙害獣」と「宇宙害蟲」を残した。スミレはお金のために「宇宙害蟲」を駆除する仕事に就いていたのだが…という話。

私が気になった点は、ス

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「推しの素晴らしさを語りたいのに『やばい!』しかでてこない 自分の言葉でつくるオタク文章術」から学ぶ「孤独にメモを取ること」の重要性

「推しの素晴らしさを語りたいのに『やばい!』しかでてこない 自分の言葉でつくるオタク文章術」から学ぶ「孤独にメモを取ること」の重要性

本書の内容は、タイトルのとおり。推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない人のための文章術だ。具体的にこうすればいいということが書いてあってわかりやすい。

中でも本書の中で、私が一番重要だと思ったのは、「他人の感想を見る前に、自分の言葉でメモを取る」ということだ。

人は、目にした情報にどうしても影響されてしまう。だから、「孤独にメモを取る」。これを自分なりの表現の出発点にするのだ

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喜多村英梨『Roar of Shangri-La』リリース!

喜多村英梨『Roar of Shangri-La』リリース!

声優・アーティストの喜多村英梨の最新シングル『Roar of Shangri-La』が、7月7日にリリースされました!

本楽曲のジャンルが、女性声優ファンはおよそ聞いたことがないであろう(!)「アラビアンメタル」となっています。日本女性声優史上初のジャンルではないでしょうか。

「アラビアンメタル」とは「アラビア音楽」+「ヘヴィメタル」ですね。どんなサウンドなの?と思われる方は、聴いてみるのが早

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メーヤウのカレーと辛いものを食べたくなるわけ

メーヤウのカレーと辛いものを食べたくなるわけ

早稲田大学のそばにあった伝説的なカレー屋「メーヤウ」。近年、有志の手によって復活したのです。メーヤウといえば、一度食べたらやみつきになる辛さ。辛くて辛い。中本で言えば北極くらい辛い。

辛いもの。わたし好きなんです。どうしても食べたくなるときがあるんです。

辛いものを食べていてよくあるのが「なぜわざわざ辛いものを食べるのか?」という疑念です。

辛いもの好きにはそれぞれ考えがあると思います。

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三宅香帆『娘が母を殺すには?』の問題点

三宅香帆『娘が母を殺すには?』の問題点

 本書が提示するのは「母と娘の相互依存構造を娘の他者に対する欲望によって解除する」という結論である。しかし、問題はそう簡単には結論づけられないだろう。

 というのも、以下のような疑問が浮かんでくるのだ。

 第一に、本書の結論は、娘が他者に対して欲望を持つことをエンパワメントするというものであるが、本当に救われるべき(母に対する)娘は、そのような積極的な欲望を抱けないほどに弱った者なのではないか

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背骨から散らばる骨へ―「推し」を失った後で―宇佐見りん『推し、燃ゆ』読解

背骨から散らばる骨へ―「推し」を失った後で―宇佐見りん『推し、燃ゆ』読解

1 はじめにかつてオタク用語だった「推し」は、今では一般的に通じる言葉になっていると言って良いだろう。「推し」は、今では身近な存在なのだ。『推し、燃ゆ』は、そんな現代の「推し」文化を象徴する作品である。それでいて、現代社会の生きづらさを扱っている作品でもある。

本作は、主人公のあかりの「推し」のアイドルがファンを殴ったことから始まる。ファンを殴った「推し」は、所属グループから離れ、最後には芸能界

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りんご飴

りんご飴

りんご飴専門店のりんご飴を食べた。

祭りの屋台にあるようなりんご飴とは違って、りんごがみずみずしくておいしいのだ。

一口かじると同時にパリッとした飴の食感とシャクっとしたりんごの食感があって、すぐに飴の砂糖の甘味とりんごの果実的な甘みが層になって口いっぱいに広がる。

異なる食感と異なる甘みが次々と口の中を楽しませるわけだ。

考えてみると、りんご飴というのは不思議な食べ物である。

飴が表面

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「プロレス的」という言い回し

「プロレス的」という言い回し

 「プロレス的」という言い回しについて考えてしまった。もちろん、そのきっかけはTwitter上の塩村議員の発言とこれに対する反応といった一連の事件だ。

 私たちが「プロレス的」というとき、プロレスのようなものを指しているのであって、現実のプロレスそれ自体は想定されてはいない。

 例えば「アンチのプロレス芸」と聞いた者は、アンチがリングに上がってプロレスの試合を行うことを指しているとは考えない。

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痛みの当事者になりきらない

痛みの当事者になりきらない

前回、今後生じる価値は突き詰めるとわからないのであるから、現時点では無根拠に、えいやっと判断しなければならず、それは尊いことだということを書いた。

今日も今日とて読書をしていると、次のようなエッセイに出会った。

将来の不確実性に対する無根拠な判断を、目の前で痛みを訴える人がいる状況に引き直すなら、三木によると、知識よりも倫理を重視する態度になるのだ。

不確実であることが倫理的であること。一見

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文章に値段をつける

文章に値段をつける

みなさんは、文字を売ったことがあるだろうか?

文字を売るというのは、そう、文章を売るということである。文章に値段をつけるということは、文章を買わせるということだ。文章を買わせるには、買う人にこの文章に価値があると思わせる必要があるわけだ。そうすると、文章の価値とはなんだろうという話になってくる。結論から言ってしまうと、時と場合と相手によるでしょう、ということになるだろうか。

例えば、裁判所に出

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ドトール、ジャーマンドック、世間話

 今回、しばらくの間、本を読んでみて、自分なりの批評をできないか、と思ってやってきたのだが、上手く書けるようになったのか、それとも段々と下手くそになっていったのかは正直なところ、わからない。
 文章を読んで、書く、というのは基本的な作業でいるようで、突き詰めていくと無限に難しいことが改めてわかるという、まったく新しくもない経験をしたわけだ。もうそれは人生のテーマにすべきレベルのことなんだと思うし、

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耳かき音声の哲学ー聴覚、触覚、「近さ」

耳かき音声の哲学ー聴覚、触覚、「近さ」

 最近、ASMRが流行しているのをご存知でしょうか。
 個人的には、耳かき音声がすごいです。イヤホンをつけて聞くとあたかも耳かきをされているかのように聞こえてくる音声です。

 今回は、耳かき音声について考えます。

 耳かき音声は、当然、音を聞くことです。それでは、聞こえるという感覚はことはどのように起こっているのでしょうか。ここから整理していきます。
 音は空気の振動です。空気の振動が、鼓膜を

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フェミニズムではなく「おじさん以外の人」が生きるための方法として―松田青子『持続可能な魂の利用』読解

フェミニズムではなく「おじさん以外の人」が生きるための方法として―松田青子『持続可能な魂の利用』読解

 あなたは「おじさん」に出会ったことがありますか?正直なところ、出会ったことのない人はいないと思います。学校、会社、あらゆるところに「おじさん」はいます。あなたは「おじさん」をどう思っていますか。なんとなくマイナス、あるいは強い拒否、消してしまいたい…なんてこともあるでしょう。そんな「おじさん」の正体について考えたことはありますか?「おじさん」をどうしたらよいか考えたことはあるでしょうか?

 今

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