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#エッセイ

たとえば男が妊娠できるとして(妊娠9週/つわり)

たとえば男が妊娠できるとして(妊娠9週/つわり)

つわりがひどい時期にちょうど重なるようにして、夫の仕事が忙しくなった。帰りは0時を過ぎることが多く、ひとり静かな家では孤独と不安が苦しさを増長させる。気を紛らわす策として、映画や漫画を漁ってみたが、集中力が続かない。switchのソフトを買ってからは(ゼルダの伝説を買ったよ!)ある程度は気を紛らわすことに成功したものの、やはり限界があり、早く帰ってきて、と縋るような気持ちで夫の帰りを待ち侘びる日々

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覗かないでおく、ということ

覗かないでおく、ということ

旅先で出会った人と、思いがけず深い話をすることがある。お互いの悩みを打ち明けたり、過去の傷について聞いたり、将来の相談を受けたり。

それはたぶん、お互いのことを知らない同士だからこそ話せるのだと思う。

自分に対する先入観も持たれていないし、過去のことも知らなければ未来の責任を負う必要もない。そんな気軽で薄い関係だからこそ、腹を割って話せる。ふだんは見せない自分の姿を、さらけ出すことができる。

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ピンキリのピンのほうの思い出が欲しかった

ピンキリのピンのほうの思い出が欲しかった

思考のマイブームがあるのだけど、4月はよく「恋愛の思い出が欲しかったこと」について考えていた。

理由は単純で、綿矢りささんの『ひらいて』を読んだからだ。読了直後から、恋とは何かを考え続けている。

また、前も書いたけれど3月4月は恋愛中(もしくは失恋中)の人に会う機会が多く、見ていたら羨ましくなった。ないものねだり癖だ。



「いい恋をしてみたかった」

私がそう言うと、3つ年上のテモヤンは

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フリーランスになって、休み下手になった話

フリーランスになって、休み下手になった話

さっき買ったばかりなのに、と思う。

「たくさん入ってるから」という理由で帰り道に購入したラムネは、残り2粒にまで減っていた。

子どもの頃食べていた小瓶タイプではなく、袋タイプになっているそれは、少し大げさに感じるほどブドウ糖の配合率の高さを謳っている。

「ブドウ糖でスッキリ!」のコピーに若干の胡散臭さを感じつつ、それに惹かれてこの商品を買ったのも事実だった。

焦りと、不安と、少しの頭痛。

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SoundFlowerとwriter.appを使った、自動文字起こし術決定版

SoundFlowerとwriter.appを使った、自動文字起こし術決定版

文字起こしは、記事をつくる上で大事な工程のひとつ。

でも取材が終わった瞬間に、取材に行く前にやっていた“すぐにやらなければいけない仕事”をやったり、他の人から頼まれたタスクをやっているうちに、文字起こしがどんどん後回しになって億劫に。それなら、早いうちにクラウドワークスに出した方が効率がいいなと思って、ここ最近はそうしていました。

・・・

そんなとき、こんなツイートを目にして、文字起こしを自

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好きな人と、闘うことになりました

好きな人と、闘うことになりました

新宿、20時。

ぐつぐつと煮える火鍋をはさんで向かい合い、私とさどまちは呆気にとられていた。

広く清潔な店内を中国語が飛び交い、足元には鮮やかな鯉が泳ぐプロジェクションマッピング。

京劇(一瞬で顔が変わる門外不出のあれ)の恰好をした人が得意気に闊歩し、びょんびょんと伸びる麺をなわとびのように自在にあやつるカンフーマスターが拍手を受けていた。

なんなんだ、ここは。

どうなるのだ、今夜。

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旅と出会いと就活と

就活が解禁になり、今年も新卒採用の面接官をしている。

面接の時は大抵、なぜこの会社に決めたのですか?と聞かれるので、わたし自身が就活をしていた頃、何を考えていたのかを思い出すのも毎年決まってこの時期だ。

***

まわりが大学3年生の冬から就活を始めたその波に、わたしは乗らなかった。何がしたいのかなんてさっぱりわからなかったし、海外にも出たかったし、みんなと同じ時に就活することに天邪鬼的な気持

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苦手なこと

苦手なこと

苦手なことだらけだ。

料理の写真がどうにもヘタだし、インスタは続かないし、予定がなけりゃ朝だって起きられないし、自炊も大学生のころからいっこうに上手にならないし、計算も苦手だし、営業トークもできない。服のセンスもないし、ネイルはいつも素爪だし、おしゃれな美容院にいっても美容師さんとうまく話せず、なりたい髪型になれない。

そういうことを全部できるようにならないと、「人として恥ずかしい」のだと思っ

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22歳、最後のnote。

22歳、最後のnote。

きみにもっと、大好きと伝えればよかった。

きみにもっと、ありがとうと伝えればよかった。

嫌だ。やめて!とこころから叫べばよかったし、それは間違ってると凛と背筋を伸ばして言えばよかった。

あなたのおかげでわたしはいつも楽しいです。いつも迷惑をかけてごめんなさい。
愛しています。これからもよろしくね。そう言いたい場面がいくつもあった。

本当は、そんなつもりじゃなくて......。目線の先の季節

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多様性って正義じゃない。

多様性って正義じゃない。

"多様性"

わたしはまだ22年間しか生きていないこともあって時代の巡り方がよくわかっていないのだけど、今、この瞬間のバズワードのひとつに"多様性"は間違いなくランクインしていると思う。

毎年行われる流行語大賞みたいな感じで、やはりその時代時代でバズワードがあるのだろうか。時代背景によって、生き方も考え方が変わる象徴的な言葉。

「考え方」があるから「言葉」が生まれるのか。「言葉」があるから「考

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SNSで死なないで

SNSで死なないで

中学生がヒッチハイクでアメリカ横断を試みて、ツイッター上でちょっとした騒ぎになっていた。ふつうに常識があればありえないほど危険な話だし、そもそも本人のツイッターやInstagramの投稿を遡るとまるで勇気と無謀を履き違えていて、どうしてこんな歪んだ認識をするに至ってしまったのか…とうろたえてしまう。

彼が正しいとか間違っているとか、それは一旦置いておいて(彼がしていることは間違っていると思うのだ

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それでも伝えること。

それでも伝えること。

泣きたかったんだ、きっと泣きたくてここにきた。空はすっかり星たちの居場所になっている。

彼はわかっていない
全然わかっていない

わたしの想う、わたしが伝える、"大好き"が、どのくらい、どのように、大好きなのか。

そもそも、赤の他人に自分の気持ちをわかってもらうことなんてできるのだろうか。同じ言葉を使っていても、それが同じ感情だとは限らない。感情なんてあやふやなものをくっきりはっきり「言葉」に

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魂が震える、仕事をしよう。

魂が震える、仕事をしよう。

フリーライターになって、1ヶ月。

たった1ヶ月と思うか、されど1ヶ月と思うか。

アルバイトをしつつもすっからかんになりそうな口座にそわそわしながら、自分が何者なのかわからない不安定さに押し潰されそうになりながらなんとか毎日布団をはぎとり生きてきた。

未来に種を撒きながら、今目の前を大切に。

焦りと不安とやりたいことに、ココロとカラダがちぐはぐになってなかなかバランスが取れない。「がんば

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