#エッセイ
ピンキリのピンのほうの思い出が欲しかった
思考のマイブームがあるのだけど、4月はよく「恋愛の思い出が欲しかったこと」について考えていた。
理由は単純で、綿矢りささんの『ひらいて』を読んだからだ。読了直後から、恋とは何かを考え続けている。
また、前も書いたけれど3月4月は恋愛中(もしくは失恋中)の人に会う機会が多く、見ていたら羨ましくなった。ないものねだり癖だ。
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「いい恋をしてみたかった」
私がそう言うと、3つ年上のテモヤンは
フリーランスになって、休み下手になった話
さっき買ったばかりなのに、と思う。
「たくさん入ってるから」という理由で帰り道に購入したラムネは、残り2粒にまで減っていた。
子どもの頃食べていた小瓶タイプではなく、袋タイプになっているそれは、少し大げさに感じるほどブドウ糖の配合率の高さを謳っている。
「ブドウ糖でスッキリ!」のコピーに若干の胡散臭さを感じつつ、それに惹かれてこの商品を買ったのも事実だった。
焦りと、不安と、少しの頭痛。
好きな人と、闘うことになりました
新宿、20時。
ぐつぐつと煮える火鍋をはさんで向かい合い、私とさどまちは呆気にとられていた。
広く清潔な店内を中国語が飛び交い、足元には鮮やかな鯉が泳ぐプロジェクションマッピング。
京劇(一瞬で顔が変わる門外不出のあれ)の恰好をした人が得意気に闊歩し、びょんびょんと伸びる麺をなわとびのように自在にあやつるカンフーマスターが拍手を受けていた。
なんなんだ、ここは。
どうなるのだ、今夜。