旅と出会いと就活と

就活が解禁になり、今年も新卒採用の面接官をしている。

面接の時は大抵、なぜこの会社に決めたのですか?と聞かれるので、わたし自身が就活をしていた頃、何を考えていたのかを思い出すのも毎年決まってこの時期だ。

***

まわりが大学3年生の冬から就活を始めたその波に、わたしは乗らなかった。何がしたいのかなんてさっぱりわからなかったし、海外にも出たかったし、みんなと同じ時に就活することに天邪鬼的な気持ちもあったりして、わたしは大学4年生の半年間休学をして、そのうち4ヶ月はコスタリカで暮らし、残りの2ヶ月はバックパッカーで中南米をまわる、という選択をした。

旅の宿はほとんどが安宿で、何度か「日本人宿」と呼ばれるところにも泊まった。

日本人宿の宿泊客はだいたいが長期で旅行をしているバックパッカーの日本人。夜になると自然と共有スペースに集まって、夜更けまでお酒を飲みながら、旅の情報交換をしたり、人生の話をしたり、恋愛の話をしたり、とりとめもない話をしたりした。

他の地域だとどうなのかわからないけど、はるばる中南米までやってくる人で、かつ長期で来る人で、しかもバックパッカーとなると、圧倒的に変わっている人が多い。意気投合して仲良くなった人も、全く相入れなかった人もいたけど、いろんな人が、いろんな考えをもって、いろんな目的や理由で旅をしながら、いろんな人生を生きていた。

わたしは日本に帰ったら就活が待っていて(結局1年遅れてみんなと同じ波に乗った)、とはいえ相変わらず一体全体自分は何がしたいんだろうとか、どんな会社がいいんだろうとか、名の通った会社にチャレンジすべきなのかな、とか、そんなことを考えていたのだけど、

結局どんな会社に入ってどんな仕事をするかとか、そもそもどこでどんな生き方をするかとか、そういうのは、自由っていうか、こうじゃなきゃってものはないんだってことが、彼らを見ていてすっと腹に落ち、そのことが私の就活に与えた影響はとても大きい。

そして帰国したわたしはちょうど今頃、はじめての面接を受け、今の会社に出会った。

あの旅で出会った人たちは、ほどんどがその場限りで、名前以外、そもそもどこの誰なんだか全然わからない人も多かったし、今や名前すら思い出せない人ばかり。

でも、間違いなく、私の人生において、不可欠な出会いだった。

「じゃあまたいつか世界のどこかで」というのが合言葉だったけど、今みんな、どこで何をして、どんな人生を歩いてるんだろうか。

ふと、そんなことを思った。


#エッセイ #日記 #就活 #旅 #旅しゃぶ更新部


ありがとうございます!いただいたサポートは大切に写真や文章の糧にさせていただきます*