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Jessie -ジェシー-の文章論

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Jessie -ジェシー- が考える文章論・考察・小説の書き方等をまとめたマガジン。創作のヒントやモチベーション維持、インスピレーションの元に。
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記事一覧

【完結】ディストピア長編小説「牲愛」 あとがき

【完結】ディストピア長編小説「牲愛」 あとがき

3月31日より連載しておりました長編小説「牲愛」が、4月16日をもちまして完結いたしました!

↓うまくリンクカードにならなかったのですが、こちらから本編をお読みいただけます

https://sutekibungei.com/novels/664486c5-d16e-4cf6-a260-2fb54093a861

連載にお付き合いくださいましたみなさま、ありがとうございました!

毎日1話ずつの

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「作家であること」がネガティブ・ケイパビリティを伸ばす

「作家であること」がネガティブ・ケイパビリティを伸ばす

ネガティブ・ケイパビリティ。不確定な状況を、はっきりさせないまま受け入れる力。

検索すればすぐに答えが手に入る社会、学校で正解・不正解が存在する問題ばかり習う社会だからこそ、取り沙汰される力なのかもしれない。

学校で習ったまま、あるいは癖で白黒思考が強いままで社会に出ると、世の中の曖昧さや不可視性に強いストレスさえ感じてしまうから。
この世ははっきりしないことばかりだ。

だからこそ答えがある

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素敵なメディアミックスとは、メディアの長所を活かすこと

素敵なメディアミックスとは、メディアの長所を活かすこと

好きな作品がメディアミックスするとの報はめちゃくちゃうれしい。

メディアミックスから作品を知って、原作に触れるのもまたとても楽しい。

小説がコミック化する、アニメになる、ドラマや映画になる。
マンガがアニメ化する、映画化する。
映画のノベライズが出る、特製カバーがかけられた本が店頭に並ぶ。
最近はオーディオドラマとかもあるよね。

そうやって「ある形態」で世に出た作品が、「他の形態」もとってい

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同じことを記事にするってどうなの?って話

同じことを記事にするってどうなの?って話

「あ、この話題したい」って思いついた後、ほぼ必ず頭をよぎる懸念がある。
前にも似たようなこと書かなかったっけ?

noteやブログは、SNSと違ってストック型のメディアだ。

過去にどんなことを書いていたかが遡りやすくて、これから書く記事もどんどん堆積(ストック)されていく。

けれども記事を書いている人間の側ではストックされた情報のすべてを覚えてはおけないから、まったく新しい話題として以前と同じ

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書くやる気をかき立ててくれる本と、大切な創作マインド

書くやる気をかき立ててくれる本と、大切な創作マインド

私は活字中毒かもしれないと思うことが、人生の中で何度もありました。

どんな時でも、目が読めるものを探してしまう。
読まないと心がさびしい。

文字ならば本当になんでも良いのです。
鞄に忍ばせた本や、調味料の瓶に書かれた原材料表示、ランチョンマットにデザインされた英単語、無限に言葉の流れるTwitter。

なんでも良いから、文字を読みたいと思ってしまう。
さながら生物が生存のために酸素を必要とす

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永遠じゃない本との向き合い方

永遠じゃない本との向き合い方

こんにちは。Jessie -ジェシー- です。

ときどき考えることがある。

本って歴史の中で長く残る記録媒体だけど、それでも永遠じゃない。

売れない本は返品され、借りられない本は図書館の棚から消え、もし国会図書館が破壊されたら日本で発売されたすべての本は灰になる。インターネットが滅びたら電子書籍のデータは消えてなくなる。

『図書館戦争』の世界では本は規制の対象であり、
『華氏451℃』の世

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キャラクターの視点に立って考えるためのきっかけ【繊細さん流小説の書き方】

キャラクターの視点に立って考えるためのきっかけ【繊細さん流小説の書き方】

こんにちは。Jessieです。

YouTubeでTRPGの配信をよく観ます。

(TRPGが何なのかについては、本題からずれるので省略します! 調べるといろいろ情報が出てくるよ!)

シナリオごとにいろいろな世界観があり、様々な感情が呼び起こされる……。

それが構成の勉強になるな、と思い観はじめたのですが、別の発見を得ることもできました。

キャラクターの視点に立つ、ということです。

TRP

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創作キャラクターと自分の境界線【繊細さん流小説の書き方】

創作キャラクターと自分の境界線【繊細さん流小説の書き方】

こんにちは。Jessieです。

自分の心から生まれてきたキャラクターは、可愛いし、大事。

だから親みたいな心で、「末永く幸せに暮らしてほしい」と願ってしまいます。

けれど、それでは「面白い小説」を書くことはできない。

主人公には絶えず問題が降りかかり、内外からの課題が与えられ、それらを解決しなくてはなりません。

私はいつからか、これに葛藤を覚えるようになっていました。

できれば、彼らに

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小説にスマホを型番つきで登場させる意味とは?【文章考察】

小説にスマホを型番つきで登場させる意味とは?【文章考察】

「スマホ」を「スマホ」で終わらせない意味とは?いくつかの小説を読む中で、気づいたことがありました。

それは「スマホ」というアイテムの扱いについてです。

単純に「スマホ」と書いてある物語と、より詳しく「iPhone○○」など、型番で描写してある物語があるのです。

この違いから、何が生まれるんだろう?

そこに着目して読んだ結果、私は「こうじゃないかな?」という予想にたどり着きました。

スマホ

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小説を書き上げたあとのこと

小説を書き上げたあとのこと

こんにちは。Jessie -ジェシー- です。

ここ数日、怒涛のような執筆ラストスパートが終わって燃え尽きていました。

書き上げた小説はこちら。

意識的に「終わった!休もう」と思ってから4日ほど経ちますが、ようやく回復してきた手応えを掴んだところ。

書き上げたあとは、不思議な感覚に包まれることが多いです。

終わった直後には、達成感。

でもだんだん虚脱してきて、自分の中に一文も、一文字た

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【短編】11時のぼくら

【短編】11時のぼくら

遅めの朝ごはんを食べ終えたぼくたちを、姉ちゃんが食卓に引き留めた。

リビングに掛けられた時計は午前9時少し前。お皿を下げようと立ち上がりかけたぼくは、どこか張りつめた「待って。話したいことがある」の声で椅子に座り直した。

姉ちゃんに話しかけられると、少し緊張してしまう。

姉ちゃんは県外の大学に通っていて、数年ぶりに帰省してきて一緒に夏休みを過ごしていた。帰ってくる前はあれこれとわくわくしてい

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