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小説にスマホを型番つきで登場させる意味とは?【文章考察】

「スマホ」を「スマホ」で終わらせない意味とは?

いくつかの小説を読む中で、気づいたことがありました。

それは「スマホ」というアイテムの扱いについてです。

単純に「スマホ」と書いてある物語と、より詳しく「iPhone○○」など、型番で描写してある物語があるのです。

この違いから、何が生まれるんだろう?

そこに着目して読んだ結果、私は「こうじゃないかな?」という予想にたどり着きました。

スマホの型番が登場人物のライフスタイルを暗示する
「スマホ」を「スマホ」で終わらせず、型番まで詳しく書くこと。

そんなちょっとの描写の違いが、登場人物の人となりを表現することに役立つのではないでしょうか。

より具体的に言えば、スマホを型番まで書くことで以下のようなことを表現できます。

・iPhone派かAndloid派か
・流行にどの程度敏感か?


iPhone派かAndloid派か

ただ「スマホ」と書けば、読者は四角くて平たい、画面の大きい携帯端末を思い浮かべるのではないでしょうか。

それは読者によってiPhoneだったり、Andloidだったり、その他の会社のスマホであると思われます。

より具体化して「iPhone○○」「Galaxy」などと書くことは、登場人物にさらなる人間性を付与する効果があるのです。

例えばAという登場人物が、iPhoneを使っているとしたら。

どうしてiPhoneなのでしょうか?

Apple社が好きだから?(企業への愛情)

MacBookと連動させたいから?(利便性)

単純にかっこいいから?(ミーハーな気質)

ざっと考えるだけでも上のようなアイデアが浮かび、登場人物に奥行きを与えてくれます。

さらに深堀りして、型番まで書いてあっても同じようなことが言えます。

流行にどの程度敏感か?

機種名のみならず、「iPhone○○」まで描写してあると、さらに登場人物のこだわりや好みを深く考察することができます。

Case1 当時の最新型を使っている

これは新しい作品だろうが、数年前に書かれた作品だろうが変わりません。

登場人物が、当時出ていた最新型のスマホを使っているとしたら、こんな風に考察することができます。

流行に敏感な人なのかな
流行に関わらず、新しいものが好きなのかな
技術面から、常に新しいものを持っておきたい人なのかな(機械に詳しいのかもしれない)
などなど。

Case2 古い機種を使っている

これも、条件は最近出た作品/数年前に刊行されたもの変わりません。

当時はより新しい機種が発売されていたにも関わらず、あえて古い機種を使っている登場人物がいたら……。

物を丁寧に使う人なのかな
新しいことに慎重で、様子を見てから買い替えるタイプの人なのかな
機種変更の手間を嫌って、壊れるまで使い続けようと思っているのかな
機種の新しさにこだわりのない人なのかな
などなど。想像を膨らませることができます。

観点のひとつとして、スマホはいかがですか?

小説の楽しみ方って人の数だけあると思っていて。

私は主に、登場人物に共感しきって、知らない世界や感情を探訪するのが好き。

その中でスマホの描写の違いに気づいたので、今回記事としてまとめることにした次第です。

小説は文字だけですが、そこから読み取れる手がかりを使って登場人物の描かれていない個性まで考えていくのも、わくわくできる楽しみ方のひとつかもしれませんね。

アイテムの描写について、同じように考えていた! という方がいたら嬉しいです(*´▽`*)

参考文献

今回、スマホの描写の違いに気づくきっかけになった2冊の本を紹介します。

古市憲寿さんの著書『平成くん、さようなら』と、上田岳弘弘さんの著書『ニムロッド』です。

どちらも、別にスマホが重要アイテムというわけではないです(笑)。

まったく違う世界観のもと進行していく物語は、面白く読めるのではないでしょうか。

物語そのものへの興味深さはさることながら、私はスマホの描写に気づいてしまったので、所持品の書き方の面でも面白く読みました。

どちらもおすすめです。

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