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#140字小説
🌛月並みな話 vol.25 【ゴリラペンギンとネコキリン】
ゴリラペンギンとネコキリン
「ゴリペンと呼んでください!見た目はゴリラ。
歩き方はペンギンです!」
第一印象はなんだか怖い。
けど本当は優しくて頼りになって可愛いゴリペン。
林檎を一緒に食べた。
青魚は得意じゃないみたい。
「ネコキリンと呼んでください!目は猫。
体系はキリンです!」
「呼びづら」といってゴリペンは笑った。
🌛月並みな話 vol.24 【金魚】
金魚
彼とのベッドから這い出して
金魚に餌をあげるのが日課だった。
パクパクと口を動かす真っ赤な生き物。
彼が引っ越すまであと3日。
彼女との同棲が決まったらしい。
いつものように床をコロコロする。
金魚に会えなくて寂しい?
彼は微笑むだけで何も答えてはくれない。
それでもいいか。彼が餌をくれる間は。
🌛月並みな話 vol.23 【色を置く】
色を置く
恐ろしいほどに真っ赤な太陽を2度みたことがある。中国の夕焼けとトルコの朝焼け。
今でもはっきり浮かぶ。
目に飛び込んでくるほどの赤。
炎で覆われた街並みに、一人残されたような赤。
赤は私を捕らえ、私は全てをキャンバスに落とす。
ご飯を食べるように
眠るように
誰かを愛するように。
私は色を置く。
🌛月並な話 vol.22 【夕やけ図書館】
夕やけ図書館
夕やけ図書館で本を読む。
もうどれくらい時が経っただろう。
今日も貴方が本を借りにくる。
忘れていた自分の記憶の物語を借りにくる。
関連本も2つ、3つ。
悲しい話だから、あえて貸し出ししない本もある。私は貴方の為に本を読んでいる。
貴方がいつ来ても良いように、
夕やけ図書館はいつも開いている。
🌛月並な話 vol.21 【あじさい】
あじさい
あの人は母親というより一人の女だった。
楽しかった思い出もあまりない。
庭に咲く紫陽花。
あの人が育てていた花。
ずっと好きになれないまま、母は死んだ。
「お母さーん」
庭で娘がカタツムリを手に乗せて笑っている。
自分が親になってみてわかる事もある。
「今行くよ」
紫陽花は今年も綺麗に咲いている。
🌛月並な話 vol.20 【ニョッキDAY】
ニョッキDAY
木曜日はニョッキの日。私はそう決めている。
ニョッキを食べると良いことがあるから。
今日は彼に告白をする。
いつもの倍ニョッキを食べた。
ニョッキを食べると良いことがあるから。
タッパにニョッキを詰めて彼に持って行こう。
チーズ味とトマト味。
まるで私たちみたいじゃない?
第一声はこれでいこう♪
🌛月並な話 vol.19 【祷り】
祷り
黄色い絨毯はイチョウの葉だった。
山々が秋で染まる頃、私は踊る。死者の為に。
戦で死んだ者、病に倒れた者、身寄りのない死者の鎮魂の為に、夜通し舞い続ける。
山の神をこの身に宿して。
死者の無念に寄り添うように。
残された者の悲しみを拭うように。
朝焼けが全てを包み込むまで
私は祈り続けるのだ。
🌛月並な話 vol.18 【告白】
告白
「恭子さん。僕は君のことが・・・」
・・・何してる。ちゃんと言え。
告白する為だけに俺は、筏で大海原を渡り、素手で3000mの山を登り、鰐のいる川を全裸で泳ぎきり、毒蜘蛛の潜むジャングルを進むこと2週間。
もう小1時間、君を待たせている。
「恭子さん、す・・・す・・・寿司だと何がスキ?」
🌛月並な話 vol.17 【ある神の創造】
ある神の創造
ある神様が神業界で話題の神Wi-Fiを使って宇宙をダウンロードしようとした。
しかし、神様の家のネット環境が悪く、朝まで経ったが全くダウンロードが終わらない。
いい加減見ているのも飽きて、神様は放置した。
それでも世界のダウンロードは続いている。
「ロード中」の回転はやがて大きな黒い渦になった。
🌛月並な話 vol.15 【天才の苦悩】
天才の苦悩
ある日急に、部屋の色がうるさく感じた。
色のついたものは全部捨てて
カーテンや椅子も白くした。
これでやっと集中できる。
そう思ったら、今度はチクタク、時計の音がうるさくなった。
時計を壊し、準備は整った。
真っ白な部屋に静寂が戻る。
この部屋には私とピアノだけ。
これでようやくピアノが弾ける。