Blessing-祝福- (後編)

一面、茶色だった大地に少しずつ緑が増えてきていた。夏が近づいているのだ。ショルパンたちは家畜の世話やら何やらで、毎日朝から晩まで忙しそうにしている。そろそろ、別の放牧地に移動する頃なのかもしれなかった。
 ショルパンは相変わらず俺の面倒を細やかにみてくれるが、とにかく忙しすぎて、一人で家を抜け出す暇も体力もないようだった。最後に彼女と話してから、もう一月以上経つ。何も起きないその平穏が、俺には不思

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Blessing-祝福- (前編)

鷲に変身できる青年と遊牧民の少女のラブストーリー。中央アジア風。

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Blessing -祝福- (前編)

 まるで風になったようだ。地上よりずっと太陽に近いはずなのに、薄青の空気はどこまでも冷たい。乾燥した薄茶色の大地を数本の川がゆるやかに蛇行し、彼方には幾重にそびえる白い山脈が空に美しい稜線を描いている。俺はもう一度大きく旋回し、それか

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"猫を虐待"していた「信長と秀吉」

いまの愛猫の時代には想像もできない事が、戦国時代には普通にありました。

 豊臣秀吉の出した「奈良中の犬猫の捕獲令」では、奈良中の野良猫や野良犬が捕獲されて送られ、槍の穂先をカバーする皮袋に加工されたとか(汗)。
 戦場へ向かう歩兵の槍部隊の剥きだしの鋭利な穂先での人身事故があとを断たず、カバーする皮袋が大量に必要になったせいですね。

 もっと残酷なのは、やはりイラの織田信長。
鷹狩りが無類の大

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ハヤブサ(猛禽類)の調教でやってはいけないワースト9

以下は筆者がハヤブサを初めて調教した際にやってしまった9つの失敗です。
どれも知っていれば防げることなので、読者のみなさんの参考になれば幸いです。
もっと詳しく知りたい方は、拙著『ハヤブサ・ハリスホークを楽しむ本〜飼育・調教・鷹狩り』をお求めくだい。 
https://moukinbon.booth.pm/items/1934844

やってはいけないその1

行為:ハヤブサの目を見つめた
結果:

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二口目以降も美味しく食べるには

美味しいものをぱくっ。

ほとばしる旨み。

広がる香り。

何でもかんでも、一口目がいちばんおいしいのだ。
二口目以降は、一口目ほどの幸福度は得られない。曲線を描きながら徐々に幸福度は下がっていく。

それを限界効用逓減の法則というらしい。

大学でそれを学んで、法則の名前は忘れてしまったけど、ずーっと頭の引き出しに残っていたのだ。

本場のJAZZを一度聞いて、鳥肌と涙が出た。

ブラジルのサ

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ハヤブサ使い Season 2 冬の楽園

関東に珍しく大雪が降った次の日、わたしはある場所を目指して朝早く出発した。雪が降る前にいちど訪れた場所だが、景色の変わりように曲がり角を間違えそうになる。軽自動車でも脱輪しかねない細いあぜ道を慎重に進む。

道の終わりで車を止め、スニーカーから長靴に履き替える。雪が音を吸い取ってくれるとは言え、できるだけ物音は立てたくない。あたりはしんと静まり、すぐ近くに国道が走っていることも忘れてしまいそうだ。

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いちばんわかりやすいハヤブサと鷹狩り

ハヤブサってどんな鳥?鷹狩りって何?36のよくある疑問に答えます。
具体的な調教方法は拙著『ハヤブサ・ハリスホークを楽しむ本〜飼育・調教
・鷹狩り〜』をご覧ください。
実録調教記『ハヤブサ使い』もあります。

Q1.鷹狩りってなに?

調教した猛禽類(ワシ、タカ、ハヤブサなどの肉食鳥)を使って鳥獣を狩るスポーツです。およそ4000年前、中央アジアではじまり、17世紀のヨーロッパで最盛期を迎えたとさ

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ハヤブサ使い 全十一話

こちらは最速の猛禽を調教した実話『ハヤブサ使い』全話をまとめたものになります。

第一話 出会い

8月も終わりに差し掛かったころ、わたしは高速道路を北へ急いでいた。待ちに待ったハヤブサの若鳥が遠くイギリスから入荷したのだ。肉食の鳥を調教し、鷹狩をするという十数年来の夢がいま始まろうとしていた。

猛禽ショップの一角におとなしく繋がれた30cmほどの小柄な茶色の鳥、それがわたしのハヤブサだった。こ

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ハヤブサ使い 第十一話 開花

前回までのあらすじ

わたしは夏の終わりに手に入れた気性の激しいハヤブサの若鳥を調教し、数々の困難を乗り越えて信頼関係を築くことに成功した。捕食者としての本能に目覚めたハヤブサとともに冬の狩場に赴く。

川の土手に吹きつけるみぞれ混じりの風に呼気が白く煙る。なにもこのタイミングで降らなくてもいいじゃないか、わたしは心の中で悪態をついた。あざ笑うかのように、遠くの雲の切れ間から太陽がちらりと顔をのぞ

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ハヤブサ使い 第十話 温かい食事

前回までのあらすじ

気性の激しいハヤブサを調教すること数か月。苦労の甲斐あってハヤブサとの信頼関係が築けてきたと思った矢先に、最大の間違いは起きた。鷹狩りのために必要な最後の予行演習の時が迫っていた。

ハヤブサは大きな瞳に静かな光を湛えてわたしをまっすぐ見つめていた。おととい生きたウズラを食べてから、その顔つきは明らかに変貌を遂げていた。朝、小屋の定位置でわたしの訪れを待っている居住まいからも

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