馬場あき子

『歌壇』2021年6月号(2)

『歌壇』2021年6月号(2)

⑤「短歌における話し言葉の効果」とても気になる特集。現在の文語口語問題はその用語が何を指すかが明確にならないまま使われているから、という面がある。文語口語には古語・現代語という意味もあり、文章語・話し言葉という意味もある。話し言葉には「会話表現」という意味もある。 ⑥大井学〈歌の中の「会話」の言葉も、実はドラマの場面と同様な伏線を想定して読む必要性を感じるだろう。(…)その言葉が意味するものだけではなく、裏腹の感情やアンビバレントな心理が込められたものとして解釈する文脈が生

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2021,8,14

2021,8,14

今日は残しておきたいうれしいことがあった。 私は会話が下手で、いきなり死ぬのこわいですか?とか聞いて変な空気にすることがよくある、変なこと言っちゃうからこわいですってギャルに話したら、「変じゃないですよ」って言ってくれた。   それで、「私は死んだら~だと思います。私の友達ともそういう話しますよ。○さんはどうですか?」って。何か、有り難かった。 別にトラウマ程ではないけど、失敗した思い出を塗り替えてくれて、私が過去にしたかった会話をしようとしてくれて、それを瞬時にできるの

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サブカル大蔵経744「武蔵野樹林」⑥(KADOKAWA)

サブカル大蔵経744「武蔵野樹林」⑥(KADOKAWA)

KADOKAWAの、豪華すぎる広報誌。 登場するは、小松和彦、荒俣宏、赤坂憲雄、馬場あき子、赤川次郎、安彦良和。 語られる内容は、妖怪と埼玉。 令和に甦りし、妖怪戦隊集結! 【小松和彦】私が特に面白いと思うのは、「法螺抜け」と言う妖怪ですね。江戸の街で鶯谷とかは段差になっていてハケ状のところがたくさんある。そういうところに雨が降って崖が崩れたりすると、水が出て穴が空く。そこを江戸の人たちは「法螺抜け」と言ったんです。法螺貝がそこに住んでいて、そこから出て天に昇っていっ

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『短歌研究』2021年5月号

『短歌研究』2021年5月号

①包丁を研げば素水(さみづ)に刃物の香たちてほのかに春のけはひす 馬場あき子 素水に刃物の香がたつ、という新鮮な体感。春を詠う時に、真似の出来ない言葉選びだと思った。動作を描いているだけなのに心情が伝わる。 ②マスクして列(なら)ぶ人らに竹槍を配らば持たむ号令を待ち 大塚寅彦 今回のコロナ禍ではっきりしたことは私たち国民の心の在り方が先の戦争の時と少しも変わっていないということ。この歌の表現は真に迫っている。おそらく結句が、最も上手く特徴を掴まえているのだと思う。 ③呑め

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『歌壇』2021年4月号(1)

『歌壇』2021年4月号(1)

①特集「連作の組み立て方」この特集、良かった。勉強になった。高野公彦〈(水原紫苑の連作に詠まれているのは)現世に普通に存在するものだが、歌の中に再現されたそれらは現世から抜け出して純化され…〉この純化は誰にでもできるわけではない。同じ作者がいつもできるのでもない。  高野公彦〈連作で大切なのは、歌同士のつながりと展開である。〉〈一首一首のレベルが低いとその連作はガラクタの山となる恐れがある。熱意の底に冷静な判断が必要かもしれない。〉つながりと展開は大切だけど、あまり緊密にや

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『水原紫苑の世界』『百人一首』

『水原紫苑の世界』『百人一首』

☆mediopos-2326  2021.3.30 歌とは何か それを問うために 秀歌撰は編纂される 歌を選ぶということは 短歌観を示すことによって 歌論の姿をとらない 歌とは何かを問う歌論ともなっているからだ そのため『百人一首』の編纂者・藤原定家も 『八代集秀逸』『近代秀歌』『詠歌大概』『秀歌大体』と 数々の秀歌撰を編纂しているが 『百人一首』はそのなかでも かなり特殊な編纂方針がとられている 百人一首はほぼ年代順に配列されているが 従来の秀歌撰はすべて歌合形式で

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角川『短歌』2021年1月号

角川『短歌』2021年1月号

①無理を通すことなく過ぎし生(せい)といへ知らず傷つけし人もあらんか 尾崎左永子 傷つけた方は無意識で覚えていなくても、傷つけられた方は絶対忘れないってよくあることだ。というか人を傷つけずに一生過ごすとかあるのかな…。やはりこの結句は文語体でキマリだ。 ②マグネシウム焚(た)くフラッシュの良き時代マリリン・モンローこちらを向けり 小池光 昔の大仕掛けな写真撮影を詠う。キュートに振り向きフラッシュを浴びるマリリン。男性の思う良き時代の中での「女らしい」女。彼女の痛みを伴う人生

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『歌壇』2021年1月号

『歌壇』2021年1月号

①斎院の性のなやみにふれんとし書きなづみたる若き日ありき 馬場あき子 斎院とは賀茂神社に仕える未婚の内親王または女王。神に仕えるために未婚のままいなければならない斎院にも性の悩みがあった。人間なのだから…。それを書きなづんでいた作者もその悩みを共有できたのだろう。 ②栗木京子「歌の根幹にあるもの」〈一人の歌人の中には必ず認識や感性の中核を成すものが存在していると思う。〉黄の鯉をおおきく見せる冬のみず雪は黄色を揺らして消える 小島なお〈地味な一首かもしれないが、こうした粘り強

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そんな日のアーカイブ 馬場あき子講演 「日本の恋の歌」

そんな日のアーカイブ 馬場あき子講演 「日本の恋の歌」

まことに大きな題である。いつかやりたい大きなテーマではあるのだが、今日は近代の恋の歌に話を絞る。 落合直文という歌人がいる。 地味なぱっとしない歌人である。彼が44,5歳のころ、明治34年に作ったこんな歌がある 「かのひとの 目より落ちなば いつわりの 涙をわれは うれしとおもわん」 華やかな派手な情熱ではなく、身を引いたところで歌っている。今から思えばひどく斬新な感じがする。対象に距離をおき、知的な気取りがあって、沈静化されている。恋人の涙への憧れはヨーロッパ近代詩

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角川『短歌』2020年11月号

角川『短歌』2020年11月号

①マスクして言ふこと少なくなりしより思索太るといふにもあらず 馬場あき子 おっしゃる通り。無口なら思索的とかいうのはイメージで、単にしゃべりにくいから口数が減っただけ。考えが深まったわけではないのだ。結句の遠回しな否定のしかたが内容に合ってると思った。 ②目に見えぬコロナウイルス思ふときひつそり浮かび来たる色悪(いろあく) 高野公彦 この文脈で色悪が来るか?という驚きと戸惑い。高野公彦にとって「ものすごく悪いもの」という定義なのだろうか。ここまで飛躍すると却って可笑しい。可

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