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『歌壇』2024年8月号

木香薔薇の押しの強さが苦手なり隙間がないと助言もできぬ 永田紅 「押しの強さ」に笑った。木香薔薇に喩えられている人が目に浮かびそうだ。隙間無く押してくる感じ。きれいではあるんだけど。

時間のむだ時間のむだと思いつつやってしまうことをいくつ持っていますか 永田紅 それはもう…。youtubeとか、ネットのマンガとか、無限に時間を溶かすものをいっぱい「持っています」。持っています、というといいことみたいでちょっと面白い。

③特集「私の講演回想録」 永田和宏「シカゴで詩歌語」
〈そもそも私の英語力で歌の話がうまく伝わるのか、おっかなびっくりで臨んだ講演会だったが、みんな興味を持ってくれ(…)何より英語で聴衆を泣かせてしまったのには、自分でも驚いた。俺の英語って、結構いけてるじゃん!〉
 えー、聞きたい。100%同じネタでいいので、もう一回講演してもらえないものか。しかしその場合、講演地がシカゴじゃないから、このタイトルは使えない…。

④「鼎談 空穂を語る」
馬場あき子〈土岐善麿は気楽な人で、足袋に履き替えるときに足を見せて、どうだ俺の足を見ろ、トルストイに似てると言う人がいるけど本当かねえと言って、我々を笑わせるようなところがあった人だから(…)〉
 空穂を語る、というタイトルの鼎談のここだけ抜き出すのは気が引けるが、ちょっと面白いエピソードだったので。歌人のこういう素顔のエピソード、もっと聞きたいな。短歌史が俄然、生き生きしてくる。足がトルストイに似てるって何なんだって突っ込みたくなる。

⑤藤岡武雄「近代歌人うた物語⑤」
〈晶子は、自分をせめない滝野に書簡を送り、感謝しているのよ。  
 下記は現在の辻野旅館跡を示すものです。(後略)〉
 この連載が始まった時から、文章の特徴に興味を持っていた。話し言葉のままの文章、と言えばいいだろうか。実験的な意図でされているのだろう。「~だね」「~とさ」「~のよ」等インタビューを文字起こししたような。その上さらに、普段の発話以上に話し言葉にしたような。  
 今回は文章の途中で「~のよ」調から突然「ですます」調に変わった。これも気になる。

2024.8.16.~18. Twitterより編集再掲

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