『半券』006 2024.9.
①紫陽花が眩暈のように咲いているあなたを過不足なく愛したい 山本夏子 他者を過不足無く愛することはできない。愛はいつも多過ぎるか少な過ぎる。おそらく受け取る愛も。主体も多分わかっている。「眩暈」の画数の多さが花弁の密度と重なり、くらくらする感じがある。
②梔子のつめたさに肘ふれているイメージで嘘を通すあなたに とみいえひろこ 梔子は花も葉もつるっとしていて、触れたら冷たそうに見える。そんな梔子の冷たさに肘が触れている気持ちで嘘をつき通す。関係性の微妙なすれ違いとその違和感が