川本千栄

「塔」編集委員。短歌と短歌評論。第20回現代短歌評論賞受賞。歌集『青い猫』(第32回現…

川本千栄

「塔」編集委員。短歌と短歌評論。第20回現代短歌評論賞受賞。歌集『青い猫』(第32回現代歌人集会賞)『日ざかり』『樹雨降る』『森へ行った日』(ながらみ書房出版賞・日本歌人クラブ近畿ブロック優良歌集賞)。評論集『深層との対話』『キマイラ文語』。第五歌集『裸眼』2024年7月刊行。

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  • 川本千栄刊行物『裸眼』『キマイラ文語』

    川本千栄の刊行物についてのツイートをまとめました。第四歌集『森へ行った日』、第二評論集『キマイラ文語』、第五歌集『裸眼』などについてです。

  • 短歌総合誌『短歌往来』感想文

    短歌総合誌『短歌往来』を読んで、好きな歌の一首評をしたり、気になった記事の感想を書いたりしています。

  • その他の記事

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  • 短歌総合誌『歌壇』感想文

    短歌総合誌『歌壇』を読んで、好きな歌の一首評をしたり、気になった記事の感想を書いたりしています。

  • 短歌結社誌『塔』感想文

    自分の所属する、短歌結社誌『塔』を読んで、好きな歌の一首評をしたり、気になった記事の感想を書いたりしています。

最近の記事

『水甕』2024年11月号にて

 『水甕』11月号の「歌壇新刊歌集歌書紹介」欄にて加藤直美様が川本千栄『裸眼』をご紹介下さっています。〈短歌作品に仕立てるための修辞が随所に見られる。〉ありがとうございます!皆様、ぜひお読み下さい。 2024.10.28. Twitterより編集再掲

    • 2024年9月16日の「毎日新聞」にて

       9月16日の「毎日新聞」新刊歌集紹介にて中川佐和子様に、川本千栄『裸眼』をご紹介いただきました。小島ゆかり『はるかなる虹』、伊藤一彦『若山牧水の百首』と一緒です。中川様ありがとうございます!皆様ぜひお読み下さい。 2024.10.27. Twitterより編集再掲

      • 斉藤梢『青葉の闇へ』(柊書房)

         第三歌集。2013年から2024年2月までの455首を収める。2011年3月11日の東日本大震災から13年が経つ。海の見える名取市の家を手離し、仙台市に越して10年。海から離れても、震災時に津波を見た記憶はまだ作者の心の内にある。震災の日を詠うたびにそれらは新しい歌として残されてゆく。詠い続けることが亡くなった人々への鎮魂であり、作者自身の心の支えになっているとの思いを強く受けながら読んだ。 被災地に行くではなくて帰りくるここが被災地 海見て暮らす(P14)  まだ海の見

        • 『短歌往来』2024年10月号

          ①白川ユウコ「「少女の友」というSNS」 〈明治三十二年「高等女学校令」を受けての出版界の反応として明治期残り十年間で十誌、大正十五年間で十八誌の少女雑誌が誕生したことは特筆にあたいするだろう。〉  その中で「少女の友」に焦点を絞った評論。すごく面白い。 〈思春期の女子たちの好奇心、表現意欲、承認欲求、そしてどこかに自分の仲間がいるはずというコミュニケーション領域拡大意識に着火した。〉  この評論の注目すべき点は、戦前の少女たちが実は今と同じ精神構造を持っていることをくっきり

        『水甕』2024年11月号にて

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        • 川本千栄刊行物『裸眼』『キマイラ文語』
          109本
        • 短歌総合誌『短歌往来』感想文
          63本
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          188本
        • 短歌総合誌『歌壇』感想文
          72本
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          171本
        • 短歌同人誌、個人誌、他結社誌感想文
          92本

        記事

          映画『SOUND of LOVE』

           吉川鮎太監督『SOUND of LOVE』を見に行った。一気に非日常の世界へ。現代が舞台だが、なぜか70年代の『時計じかけのオレンジ』や『Tommy』が頭に浮かんだ。    吉川監督と染谷有香さんの舞台挨拶ありました。監督のサインも貰いましたよ。 2024.10.25. Twitterより編集再掲

          映画『SOUND of LOVE』

          『短歌研究』2024年11月号にて

           現在発売中の『短歌研究』11月号で川田由布子様が川本千栄『裸眼』の歌集評を書いて下さいました。タイトルは「アネモネの眼が揺れて」。深く読んでいただきありがとうございます!皆様ぜひお読み下さい。 2024.10.23. Twitterより編集再掲

          『短歌研究』2024年11月号にて

          『歌壇』2024年10月号

          ①特集「全歌集の味わい」 川本千栄「全「歌集」と「全歌」集」 〈ある歌人を「短歌史に残す」ためには(…)全歌集の刊行が必要と思うからだ。〉  全歌集について考察しました。お読みいただければ幸いです。 ②藤原龍一郎「全歌集は想いの結晶」 〈永井陽子の場合は、遺歌集を含む既刊の歌集をそのまま収録するという「全「歌集」」というスタイルである。〉  私の論と藤原の論は共通するところが多かった。使ってる用語も一緒。汎用性の高い語なんだとうれしかった。 〈(作者に)落とされた作品をも改

          『歌壇』2024年10月号

          『現代短歌新聞』2024年10月号にて

           現在発売中の『現代短歌新聞』10月号にて中川佐和子様に、川本千栄『裸眼』の歌集評をいただきました。深く読んでいただきありがとうございます。皆様、ぜひお読みください! 2024.10.21. Twitterより編集再掲

          『現代短歌新聞』2024年10月号にて

          『現代短歌』2024年11月号

          ①酒田現「延長戦のルール」 〈長谷川麟は人生を勝負として捉え、その体感のなかで身体を動かし、歌をうたおうとする。〉  ここ,おもしろかった。確かにこの歌集のある一つの面を言い表していると思う。 ②弘平谷隆太郎「故郷としての恋」 恋のやうに沈みつつある太陽が喉をふさいでなほ赤いんだ 染野太朗 〈この歌には修辞の微妙なねじれが織り込まれていて(…)自然さを回避した屈折した詠みぶりをしている点である〉  六首の歌を丁寧に評することで歌集を読み解く。 花を火にたとへるやうなおろかさ

          『現代短歌』2024年11月号

          『塔』事務所10月開所日

           今日は「塔」事務所の開所日。今日は「塔」関係の新聞記事をファイルに整理しました。メインは「熊本日日新聞」に髙本文明さんが連載中の「河野裕子 うたのこよみ」。『塔』9月号でも紹介された熊本の歌誌「人間的」も挙げられています。とても読み応えのある連載です。 2024.10.17. Twitterより編集再掲

          『塔』事務所10月開所日

          『塔』2024年9月号(3)

          ⑭夏が来る、というより春の去る速度 五月雨をメールに降らせつつ 北虎あきら 心地良い季節である春はあっと言う間に去ってしまう。下句には様々なイメージが広がる。時おり湿度の高いメールのやり取りがある、というように取ったが意味的に突き詰めなくてもいいだろう。 ⑮食べれると言えど字幕は食べられるテレビはわりとそこに拘る 白澤真史 私もその違和感は感じていた。耳では明確に「食べれる」と聞いているのに、目で見る字幕は「食べられる」と出る。言語学の本では「食べれる」に徐々に変化していく

          『塔』2024年9月号(3)

          『塔』2024年9月号(2)

          ⑦本読めば何とかなると思ってた甘さを殺す気持ちで読むよ 吉岡昌俊 この世界で自分を何とかするために読書を重ねて来た。しかしそれは甘かった。その甘さを噛み殺すような気持ちで、でも読書は続ける。私も同じようなことを最近思ったので苦く共感した。 ⑧信長はいかに見るらんこの夏に岐阜高島屋ついに消えたり 村瀬美代子 いや、彼はそもそも創業を知らないし。ネットでの買い物が主流になってかつての百貨店は苦戦している。それをいきなり信長の時代は栄えてたのに、みたいに昔に接続するのが楽しい。文

          『塔』2024年9月号(2)

          『塔』2024年9月号(1)

          ①花山多佳子「河野裕子の一首」 自意識は肌いろなのに違ひない 曇り日に象が一頭だけゐる 河野裕子 〈大きい体の皮膚を曝して見られている象。たいてい一頭だけで。その存在はどこか傷ましい。その傷ましさのなかに作者は入っていく。(…)この歌は「象」を通すことによって、自分の自意識を出て自意識そのものを対象化した普遍性を獲得している。〉  花山の評の言葉は難しい。私はこんな難解な評を書けないけれど、憧れがある。自分がこの評を理解できているかどうか心もとないけれど、こうして書き写してお

          『塔』2024年9月号(1)

          花山多佳子『三本のやまぼふし』(砂子屋書房)

           第12歌集。2015年から2020年までの5年間の494首を収める。作者60代後半から70代前半の歌である。ベランダの前にある三本のやまぼうしを始めとする、身の回りの小さな出来事を丁寧に詠った歌が光る。この作者独特のたくまざるユーモアは本歌集でも健在だ。歌集後半はコロナ禍の歌が多くなる。現在はコロナも沈静化しており、振り返る目線で一冊を読んだ。 極端に短くなりしを生命線と思ひをりしが頭脳線なり(P25)  年齢を重ねたせいで、身体の不具合が様々に起こり、そのため手相の生命

          花山多佳子『三本のやまぼふし』(砂子屋書房)

          小島ゆかり『はるかなる虹』(短歌研究社)

           第十六歌集。コロナ禍の2020年末から2024年始めまでの486首を収める。自身の老い、母の老い、子の婚姻、孫の成長など変わりゆく家族を足掛かりに、同じく変わりゆく社会を詠う。いつもどこかで続く戦争。同じ言語のはずなのに通じない言葉、そしてそのことのもたらす不安。一首一首が確かな描写力を持つ筆致で描かれ、読者が漠然と持つ不安も、作者の不安とともに顕在化していく。 輪になって坐つただけで次々に鬼になつたねはんかち落とし(P35)  子供の頃の楽しい遊び。輪になって座ると鬼が

          小島ゆかり『はるかなる虹』(短歌研究社)

          2024年10月7日の『京都新聞』にて

          10月7日の『京都新聞』「詩歌の本棚」で真中朋久様が川本千栄『裸眼』をご紹介下さいました。ありがとうございます。西風泰子『愛染明王』、太田裕万『二本目の杖』、門脇篤史『自傾』、藪内亮輔『心臓の風化』と共に紹介していただきました。皆様、ぜひお読み下さい。 2024.10.10. Twitterより編集再掲

          2024年10月7日の『京都新聞』にて