『歌壇』2024年4月号
①烏賊の身に手首まで入れ冷えわたる暗黒宇宙をつかみ出したり 小島ゆかり 烏賊のワタを抜いている。今は烏賊を捌くことも減って、切り分けられた身を買う人が多い気がする。烏賊は流水にさらして調理するので、常にイメージとして冷えている。「暗黒宇宙」が壮大。
寒烏賊の腹をさぐりてぬめぬめと光れる闇をつかみ出だしぬ 河野裕子『ひるがほ』 この歌を思い出す人も多いだろう。どちらの歌も烏賊の胴の中に、その身体より大きい物が入っていると感じているのだ。
②もんしろともんしろもつれあふそらの