永田紅

『現代短歌新聞』2021年4月号

①すり替えて何かを言った気になって修辞の葉先は黄ばみやすいよ 永田紅 うーん、鋭い。修辞ってそういうものかも知れないな。上句全部が批評になっている。でも下句が、比喩という修辞なんだけど。古い歌の古い修辞は確かに黄ばんで見える。 ②眼裏にきみの裸体を彫る 風が日暮れの木々をぞわぞわ…

『現代短歌』2020年9月号

①いつぽんで森になる木の欅の木こころに立てて睡りゆくべし 黒木三千代 上句に惹かれた。欅の木を確かに言い表している。その堂々として清々しい姿を思って眠ると、重い不安が少し減るのだ。 ②窓枠が並ぶがごとし顔顔顔 隣の部屋へはみ出せぬまま 永田紅 Zoom会議を詠んだ歌。たしかにZoom画面…

永田和宏&永田紅“父娘歌人”が選ぶ「コロナ禍の歌」

コロナ以後、朝日歌壇への投稿が増え、そのうち6割~7割がコロナ関連の歌だという。永田和宏さんと永田紅さん親子は、歌人の河野裕子さんを10年前に自宅で看取った。どんな時でも日々の生活を歌にして詠むことへの思いを明かす。/文・永田和宏(歌人・細胞生物学者・JT生命誌研究館館長)×永田紅(歌…

人はみな馴れぬ齢を生きている(いもうと)

あねへ 毎日暑いね。甥は2学期が始まりましたか? 今年、いや去年から、札幌は暑さのレベルが上がったように思います。ここに住んでもう10年以上になるけれど、住み始めた当初は、夏なんて窓さえ開けていれば何とかなったのです。扇風機すら滅多に使わなかった。 ところが去年は8月の頭に連日の真夏日…

永田紅さんのオヤジの話。

著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、永田紅さん(歌人・細胞生物学研究者)です。 うまちゃん 「うまこさん」は、父の顔が長いから、と母がつけたニックネーム。馬ほどは長くもなかろうが、兄と私の子どもたちも、祖父を「うまちゃん」と呼ぶ。 「うまちゃん」は、歌人で細胞生物…

ひとこと一首鑑賞19

君の手の触れゆく道のほうきぐさかぜくさもはや理性は飽きた /永田紅 ほうきぐさってどんな草だったかなあと思って検索したら、思っていたより可愛らしい、チアガールが持ってるポンポンみたいな木が出てきた。ほとんど360度にぽわあーっと広がるほうきぐさは、塵を集めるほうきというよりは何かを…